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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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ジョイスが指示した手紙の要点は三つ。先ずはオランデール伯爵の心遣いに礼を書くこと。そんな気持ちをサブリナが微塵も持ち合わせていなくとも。そしてその申し出は、キャストール侯爵家の庇護下で再出発すると決めたサブリナには不要であると丁重に断り、最後に今後ファルコールからは出るつもりはないと締め括るようにというものだった。


その一方、ジョイスが両親に依頼した口裏合わせは、その手紙を王都へ向かう途中倒れてしまったデリシアから、ファルコールへ向かう際に偶然通り掛かったリプセット公爵一行が見つけるというものだった。デリシアが倒れた理由は空腹なのに旅費がなく歩ける区間を徒歩で進んでいたことにすればいい。伯爵家は心当たりがあるだろうから、事実としてそうであってもおかしくないと思うだろう。ただし、公爵家から手紙を渡された時にオランデール伯爵家はデリシアが途中で使い込んだとか、管理が悪く盗まれたなどと言うかもしれないが。


「ジョイスは伯爵がそう言った場合には、そもそも女性の使用人を一人でファルコールまで遣いにやること自体が間違いだと教えてあげて欲しいと言っていたわ。そしてデリシアさんが使い込んでいないことは、僅かな所持品と空腹で倒れたのだから否定もしてあげて欲しいと。若しくは、そんな信用出来ない使用人を伯爵家が雇用し、更には金を握らせ遣いに出すのはおかしいのではないかと指摘するなりして欲しいと言われたわ。あの子なりに、デリシアさんのこれからを考えたみたいね」

「はい。ジョイス様は公爵家からわたしの感謝の言葉が綴られた手紙を渡されることが重要だとおっしゃっていました。公爵家にはいい顔をしたいだろうからと。そして、公爵家が倒れたデリシアを助ける為にファルコールへ連れていったと伝えれば、それを納得せざるを得ないとも言っていました。わたしの優しさに対する感謝の言葉でいい顔になった伯爵ですもの、デリシアにも優しさを見せなくては」


夫人はサブリナの言葉に頷いてから『その筋書きは変えない。伯爵には気分良くいてもらうわ』と言った。


「でもね、ジョイスの考えた筋書きはあなた達を中心に考えた今回の件に関してのもの。けれど、この話を持ち掛けられたわたくしと旦那様はリプセット公爵家の者として、派閥内のオランデール伯爵家のことを考えなければならない。それももっと長い先を見て。だからジョイスの計画を修正して、先々への対策を取らなければ。そこで、折角お茶を用意してもらったのだもの、ここでわたくしの得意とするお茶会をしましょう」


夫人の提案は情報共有をしようというものだった。お互いがどこまでを知っているのか分からないと、良い計画を立てられないと。そしてそれはオランデール伯爵家の人々にも言えることなのだと夫人は言った。誰が何をどこまで知っているかをこちらが把握することで、伯爵家の人々が情報共有できていないところに隙が生まれるのだと。


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