表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

650/673

378

厩舎へ向かうリプセット公爵夫妻。寄り添う背中だけしか見えないジョイスには、二人の機嫌や考えなど分かりようがなかった。

本当のことを言うならば、二人は最初からジョイスの頼みに協力するつもりでいた。勿論、おかしな頼みだったら撥ねつけたが。それにお粗末な内容だったら、修正を加えてあげる程度は仕方がないと思っていた。無表情で可愛げが無くても、やはり末っ子のジョイスは二人にとり可愛い息子なのだ。しかしそれを前面に出すわけには行かない。可愛いが先行しては、育てる手に甘やかしが加わってしまう。だから見送るジョイスに二人が見せた背は、リプセット公爵夫妻としての姿だった。


そう、だからジョイスは考えた。二人が協力をしてくれるか否かを。デリシアの状況を伝えたのは、母がそれを嫌うと知っていたから。格下貴族や女性だからと無下にすることを嫌う母に、その母を大切にする父。デリシアの状況が母に響いてくれれば協力が得やすくなるだろと思いジョイスは昼食の際に話したのだ。しかし、そのこと自体をジョイスがデリシアを利用したと取られはしないだろうか。否、事実としてジョイスは利用している。けれどそれだけではない。利用はさせてもらうが、その対価をデリシアには渡せるはずだ。しかも、二人が協力してくれればオランデール伯爵も上手く抑えられる。けれど、これは二人の協力ありきの話。両親の背が徐々に小さくなるに連れ、二人を当てにし過ぎたことをジョイスは反省した。重要なのはジョイスが目指す終着点。両親の協力はその通過点に過ぎない。

今のジョイスに必要なのは、通過点がブレた場合を考えること。


ジョイスは二人の姿が確認できなくなると、その足でスカーレットの元へ向かった。現状を伝える為でもあるが、ただスカーレットを傍で感じ話をしたいと思ったのだ。そうすれば、終着点への代替案を出し易くなるように思え。何故なら、終着点はスカーレットの心からの笑顔。それを思い浮かべる為にも、本人は必要不可欠な存在だ。


両親を食堂に案内する時はあんなに重く感じられた足。それが、スカーレットに向かうと思ったら急に『軽やかな足取り』に変わったことにジョイスは自分自身を何て現金なヤツだと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ