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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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王都とある修道院21

既に今年の社交シーズンも棒に振ることが決まっているクリスタル。それに加え、今後王宮で催される舞踏会などに出れなくなってしまったら大変だ。潔癖だからという王宮の配慮は、簡単に他の貴族家へ直ぐに知れ渡ってしまうだろう。そんなことになったら、クリスタルはどこの貴族家での催しにも参加出来なくなる。即ちそれは、伯爵令嬢というクリスタルの価値が無くなるということ。


あの平民の子供にも触れたくないが、どうにかしなければ大変なことになってしまう。何か上手いことを言わなければと考えたクリスタルに、アルフレッドは追い打ちを掛けるようにこれは親切だから遠慮は不要という圧を掛けてきた。


ところがそれに続く言葉は、急に刺繍のこととなった。そしてアルフレッドの言葉を聞き終わったクリスタルは理解した、そういうことかと。だからアルフレッドが求める答えも直ぐに出て来た。けれど答えるだけでは、クリスタルらしさがない。そこでクリスタルは優雅に微笑み『是非、お見せに上がります』と答えたのだった。


「新作と分かるよう、オランデール伯爵令嬢のОを飾り文字にして隅に入れることは可能だろうか」

「はい、殿下。完成しましたら王宮へお伺い致しますので、その時はお時間を下さいませ」


表情は変わらないものの、アルフレッドは確かに頷いてくれた。クリスタルに会う時間を作ってくれるということだ。

これで全てが繋がった。クリスタルが思った通りだ。偶々やって来たあの平民の子供を利用してアルフレッドは都合の良い策を考えたのだろう。クリスタルが夜会などで男性の手を取ることがないよう。そして王宮で会う為の口実をくれたのだ。


素晴らしい新作を依頼したのは、王宮内でそれを従者など他の者の目に触れさせる為だ。それならばクッションカバーやハンカチが良いだろう。執務室で事務官達の目に触れる機会があるものの方が。そしてその刺繍を見た者達が誰の作品か尋ねる度にアルフレッドはクリスタルの名を告げる。誰もにクリスタルには素晴らしい才能があると伝える為に。


クリスタルはアルフレッドの横を歩きながら、自分に問うた『それはどうして?』と。『独占欲だけでないのは明白ね』と答えることも忘れず。

後は、クリスタルの手を取り戻せばいいだけ。そしてふと思った。ファルコールは随分遠いのだと。


この二人が同じ場面に登場することに、もしやこの二人の恋のお話?と思っていた方、すみません。


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