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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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薫がデズモンドに伝えたのは、クロンデール子爵夫妻が別々の行動をしているようで、寄り添っているように見えたということだった。


しっかり話が聞こえてしまう位置にいるジョイスは『別行動ならば、話は聞いていないだろう。それなのに寄り添えるとは…』と更なる難しい課題を掲げられてしまったのだが。


「その二人の行動がなんだか面白くて、仕事をしていて楽しかったわ。わたしの提案にどういう反応を返してくれるのかって考えると」

「そうか、キャロルはそこに楽しさを感じたんだ」

「ええ、そして思ってしまったの。愛には色や形がないでしょう。でも、色や形が見えていたら結婚はもっと簡単なのではないかと」

「それはどうして?」


デズモンドの質問に薫は色や形が見えれば、最初からぴったり合うもの同士を結び付ければいいと答えた。そうすれば、間違いが起きないだろうと。


「それは合理的かもしれないけれど、大切なことを忘れている」

「大切なこと?」

「人の気持ちは変わるものだ、良くも悪くも」

「でも、最初からぴったりと隙間なく合わさっていたら…」


合わさっていたら、隙間は生まれない。そこには何も入り込めないとスカーレットは言いたのだとジョイスは理解した。相手を理解し言葉を発するデズモンドはこれに対し何と言うのだろうかと感心を持ちながら。


「キャロル、それは面白くない。楽しくないよ。もしも愛に色や形があるなら、人それぞれ。この世の人間の数分、愛の色形もあると俺は思う。だから、楽しい、出会う人の数だけそれを感じられるだろ?ねぇ、折角だから俺の愛の色や形を想像してご覧よ」


デズモンドはスカーレットの言葉を優しい言葉でそうでないと否定し、ポジティブな考えへ導こうとしている。癪に障るが、スカーレットよりデズモンドの考えの方がジョイスも共感を持てる。そしてもっと癪に障るのはリアムの視線。まるで『分かったか、小僧』と言われているようだった。

しかし、その先の会話が始めると、ジョイスは聞こえていない振りをし続け、どこまで冷静でいられるかわからなくなってきた。


「難しいわ、デズ。だって、実際には色も形も本当にないのだもの」

「だから人は触れ合うんだ。見えないから触って確かめる。口付けもその一つだよ。試してみる?」

「でも、唇では色も形も…」

「それは固定観念。唇から相手が甘くなったかどうかは感じ取れる。それを色や形にイメージするんだ。そして、その色や形を理解して、自分のそれを合わせようとする。さっき人の気持ちが変わるって言ったけど、愛の色や形も相手に合わせるように変形出来るだろうから。唇以外にも、もっと愛を感じ取り易い場所はあるけどね、試してみる?」

「えっ?」


前回の年末年始は更新が滞ったような…。あまり間が空かないよう一話でも書く癖を今年は目指しましたが、なかなか身に付きませんでした。一度手が止まると、ずるずるしてしまいそうで…。止まらないよう甘いものでも食べて頑張ります。

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