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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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偶然ではなく、それは作られた機会だった。


オリアナがやって来ることを事前に知ったケビンとジョイスは、開催されたばかりのパン作り教室を上手く利用したのだ。サブリナのこれからの為に。


サブリナは確かに離縁した。しかしそれは、状況から様々なことを判断し、希望を伝えただけ。それだけで離縁は成立してしまったのだ。


結婚生活自体は大変なものだったろうが、離縁だけに言えばサブリナは苦労や多くの時間を費やしたわけではない。それは今後何かの拍子に『ちょっと言ってみたら、あれよあれよと離縁が成立してしまった』と後悔に繋がってしまう可能性を孕んでいるとケビン達は考えたのだ。今は様々なことに挑戦し前向きに過ごしているサブリナ。しかし、人の気持ちは風向きよりも簡単に変わることがある。何が切っ掛けで弱さが出て来るかなど、本人にも分からないことだ。


ケビンとジョイスは情報を掴むや否や、最近多くの時間を共にしていたノーマンに相談した。そして今回の計画を三人で立てたのだった。

その計画は選択方式。全ての決定をサブリナに委ねるものだった。しかしノーマンはある程度サブリナがどういう意思を示すか予想は立てていた。おっかなびっくりだった料理手伝いも、今ではしっかりこなしている。最近では包丁もフライパンも持てるようになった。


だからノーマンはサブリナがオリアナを回避するのではなく、立ち向かうことを選ぶと信じていた。貴族学院でどんな状況でもアルフレッド達から逃げなかったスカーレットの話を聞いたサブリナならば、選択肢を与えても選ぶものは決まっていると。そして『乗り越える』と言ってくれた。


ケビン、ノーマン、ジョイス、この三人で様々な計画を立てた時もそれぞれが理解していた。サブリナがオリアナに立ち向かうと決めたとしても、出来ることは手助けだけだと。最終的にはサブリナ自身が行動しなければならないのだ。


そして今、サブリナは町で何があったのかスカーレットに報告しようとしている。それもとても良い表情で。



「サビィ、どういうこと、あなたの元侍女が何故ファルコールにいるの?」

「わたしを王都へ連れ戻す為に来たそうよ。ううん、ジャスティンの元へ」

「どういうこと?」

訝しげな顔でノーマンとジョイスを見遣るスカーレットに、二人は笑みで返した。問題は誰が次の言葉を放つかだ。三人とも我先にと言いたいことがある。


しかしこういう時は不思議とその場にいなかったケビンがその権利を持っていってしまう。


「キャロル、大丈夫。サビィの表情が安心して欲しいと言っているから、落ち着いて報告を聞くといい」

「そうね、ノーマンとジョイも一緒だったんだから、どんなことがあっても大丈夫ね。でも、サビィの報告の後にケビン達から今日、こうなるに至った経緯もご説明願いたいわ。何か知ってたんでしょ?」


まだまだ始まったばかりの報告会第二部だが、一部よりは長くなりそうだとナーサはお茶菓子を追加する為にキッチンへ向かったのだった。


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