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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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サブリナ達三人がファルコールの館に戻って来たのは夕方六時頃。パン職人へのフォローアップがどうだったか聞きたい薫に、ノーマンは無情にも夕食の準備を急ごうと促したのだった。


当然、夕食の時間は薫がノーマンとサブリナに質問を浴びせる展開となってしまった。

「キャロル、夕食の後にまだ伝えていないことを話すわ」

「ええ、お願い。このパン作りが上手く浸透すれば次はピザ作り教室だもの。デズがナスやピーマンの様な実が沢山生る野菜を畑の片隅で作る指導をしてくれたから、丁度良いと思うし」

「しかしノーマンもやるな。隣の畜産研究所のことも考えたメニューを教えるなんて。それにあれは上手い」

「分かったわ、キース。明日の夕飯に作る」

「何だか催促してしまったみたいで…」

「ううん、大歓迎よ」


夕食の片付けが終わると、薫はサブリナ達から早速パン屋訪問の報告を受けた。ファルコールでは乳牛を飼育する農家があるので、シチューというとホワイトシチュー。生乳を無駄にしない為にもそうして利用されることが多いらしい。そして直ぐに消費出来なかった分が隣の研究所で買い取られチーズやバターになる。領民が生産するものを無駄にしないようキャストール侯爵家が作った施設ということだ。


「常に作っているものを再利用して、少し豪華に見せればその分料金も取れると思います」

「そうね、シチューグラタンならお店によっても味が変わるから、ファルコールを訪れた人が食べ歩きたくなるかもしれないもの、いいアイデアだわ、ノーマン」

「そこの宿屋の食堂のものもとても美味しかったわ」

「わたしもいつか町のお店のシチューパンを食べ歩きたいな」

「…分かりました、いつか。でも、閣下から許可を頂いてからです」

「ありがとう、ケビン」


この時間の報告内容を含め文書にまとめようとしていたジョイスは、スカーレットの言葉に『今後の課題』と書き添えた。更に矢印を引き、『最重要問題、護衛』とも。ジョイスは王宮でもアルフレッドに成される様々な報告を同じように書き留め、自分の意見をところどころ添えていた。けれどここでのこの作業は王宮でのものとまるで違う。扱う内容が違うのだから当然だろうが、報告会自体が楽しいものなのだ。こうして新たな課題と問題が発生しようと。そしていつかは自分もこの会話に上手く混ざりたいと思った時だった、サブリナが次の報告をすると言ったのは。


「ジョイ、ここからは書き留めなくていいわ。キャロル、実は今日、町でわたしの元侍女、オリアナに会ったの」


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