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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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努めて冷静に話せていたか薫は不安になってしまった。温泉から戻ってきたばかりだったようで、湿り気を帯びた髪のジョイスは普段とは違う雰囲気、言ってしまうと男の色気をふんだんに纏っていたのだ。それも恐ろしいくらい強力なものを。すっかりデズモンドのいつも漏れている男の色気で免疫がたっぷり出来ていると思っていた薫だったが、残念ながらその認識は大きな間違いだった。


風呂上がりの氷の美少年。本当に心臓に悪すぎたのだ。厳密に言うならば、普段は令嬢達からその冷たさが良いと言われているジョイスの氷の殻が温泉熱で溶けて、本質という素の部分があられもなく曝け出されているようだった。本人も無防備な姿が恥ずかしかったのか、若干焦っている感もあり、頬に少しだけ赤味が差しているのがまた色気というか、いやらしかった。


ジョイスは謝罪をしたいと言ったが、こんなことを思っていた薫こそ謝らなければいけない気がする。そして、助かったのは、ジョイスが謝罪を明日にしたいと言ったこと。とてもじゃないが、あのジョイスとこの後二人きりになっていたら、薫は公序良俗に反していたに違いない。


薫が恋をするならとサブリナに名前を告げた二人。だから二人から色気を感じるのか、それとも実は既に当てられていたからなのか。後者だとしたら、当てられていたから二人の名前を出した可能性がある。それに範囲を広げリアムや畜産研究所の独身職員までを含めても、薫の周囲にいる男性達は皆優しくて良い人ばかり。特別な切っ掛けがあれば、誰とでも恋に落ちる可能性があるように思う。まあ、キースの様に相手がいる人はべつだけれど。

そして刺激という面では、隣国からやって来たトビアスだ。新しいことを始めたら、お互いに良い刺激を与えられることだろう。

恋愛下手な薫にはある意味とても良く、ある意味とても怖い環境なのかもしれない。


「キャロルは優しすぎます。ジョイにまで」

「別に優しくはないと思うけど。本音を言うと、今更ジョイに謝ってもらっても過去は変わらないのだから、どうでもいいって思ってるくらいよ。でも、彼が次へ進む為に謝罪することが必要ならば、その機会を作らなくては。だって、その次はわたしの為に働いてくれるんだから。ね、優しくないでしょう」

「いいえ、結局優しいんじゃないですか!」


ナーサの話しぶりはいつもと同じ。あんな姿のジョイスを見ても薫のように心がざわつかないなんて、何という強い精神力だ。そして薫は思った、前回の慌ただしい滞在では見ることがなかったああいう姿のジョイスに慣れる日が来るのだろうかと。


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