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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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王都キャリントン侯爵家15

キャリントン侯爵家自慢のバンケットホール。優しい光を放つシャンデリアの下、美しいフチ飾りのあるアンダープレート、ワイングラス、銀製のカトラリーが規則正しく並ぶ様は圧巻だった。そして、その雰囲気の中、キャリントン侯爵が特別来賓のアルフレッドに参加への礼を告げた。


それを受けアルフレッドは打ち合わせ通り、急遽この晩餐会に参加した理由を伝えたのだった。


「今宵は両国の今後の繋がりと発展、そしてわたしの側近のキャリントン侯爵家のテレンスが婚約者として選ばれたことにグラスを掲げようではないか」


アルフレッドが参加理由に次いで、祝杯の言葉を述べると大きな拍手が起きた。そのタイミングで侯爵家の給仕係達が一斉にグラスにワインを注ぐ。晩餐会は申し分のない演出で滑り出したのだった。


アルフレッドとしても、最大限キャリントン侯爵に花を持たせるよう努めた。それが、大切な息子、テレンスを他国へ向かわせたキャリントン侯爵への謝罪でもある。アルフレッドさえしでかさなければ、テレンスは側近として盤石な体制を築いていただろうから。


隣国から参加した貴族達もこの場にアルフレッドが居る意味を良く理解しているようだ。今後はテレンスを理由にキャリントン侯爵家及びその一門の者達が比較的自由にやって来るとあって、今後を見据えた話が始まった。正しく今後の繋がりと発展が開始されたのだ。ただ、両国は言葉が違う。だからこそ、ここには国から通訳が派遣されている。そしてそのことにより、会話内容を国が管理出来るのは有り難いとアルフレッドは感じた。それはここに居る貴族達も同じ。個々で国を跨ぐ取引に伴う高いリスクを回避し易くなると考えているだろう。


更にはセーレライド侯爵のような人物も。

リーサルトは父、セーレライド侯爵の顔を見て、一度小さく頷いた。


セーレライド侯爵はテレンスが邸に立ち寄った時にある可能性を考えていたのだ。今まで誰とも婚約しなかったマリア・アマーリエがもしかしたらテレンスを選ぶのではないかという。それはただの勘。ただし、理由が無くはない勘だった。国内、若しくは周辺国ではなく国交がない国から来たテレンスだから選ぶのではないかと思ったのだ。

本当のところは分からない。しかしその可能性を捨てなくて良かったとセーレライド侯爵もまたリーサルトの顔を見た。これで自分達もこの国に入り易くなると。

既にトビアスは動いている。それに、二日後に訪問予定のオランデール伯爵の情報も何故かキャストール侯爵から得てきた。百パーセント真実かは分からないが、今後の為にも確認し、場合によっては切らなくてはならないくらいの情報だった。


晩餐会、しかも他国で催されるものへの参加は面倒が多いが、今回はそれ以上に得るものがあるのではないかとセーレライド侯爵は考えたのだった。

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