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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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このモヤット感は何なのだろうか。薫は自問自答してみた。そして分からない、けれど実は分かるような…。こんなだからモヤットするのだ。


デズモンド達を夕食に招くことにしたのは薫。その理由はサブリナの髪型を男性目線、それも女性を多く知るデズモンドの目線で評価してもらいたかったから。サブリナにも伝えた通り『女性を間近で沢山見てきた二人の意見は重要』だ。


勿論ここにいる他の男性陣だって家族や友人を含め女性と無縁で生きてきた者はいない。特にキースは現在進行形でサラという特別な縁とより良い関係に向け努力中。だからこんなモヤット感を抱くのならば、ここに住む男性陣だけで留めておけば良かったのだ。サブリナの髪型はどうかという質問は。


でも、サブリナの新しい髪形を見た瞬間にやはりデズモンドだと思ったのは、ただ単に女性を沢山見てきたという理由だけではなかった。


王都でのデズモンドには、自分に振り向いてもらいたい女性が常に近寄ってきたことだろう。沢山いる女性の中で振り向いてもらうには、誰だって同じことを考え実行する。それは努力。

ドレスや装飾品にはお金が掛かる。これは家の経済力がものを言うが、努力は自分次第。手持ちのものに工夫を凝らしたり、どうしたら自分が魅力的に見えるか髪型を考えたり。


前世で薫が行ってきた努力は、自分の力なしでは会社が上手く回らないと見せつけること。確かに努力だったが、それは力を見せつけるということで、薫自身を磨いたかと聞かれると違う気がする。あの男が将来手にする会社という箱の中に薫という価値をせっせと詰め込んでいただけに思えたのだ。だから薫は前妻にもなっちゃんにもなれなかったのかもしれない。


そしてサブリナに恋をしてみると宣言してから、何か努力をしただろうか。スカーレットという素晴らしい容姿を手に入れ、磨いてくれるのはナーサ。じゃあ、薫は?


この世界で今のサブリナの髪の短さはかなり度胸のいること。しかし、サブリナは活発になる努力の皮切りとして髪型を変えた。そして目の前ではデズモンドがその勇気と新しい髪形がとても似合うと褒めている。


女性の努力を良く知るデズモンドが、サブリナに『可愛い』と言っているのだ。


このモヤット感は、何も努力をしていないのにサブリナを羨む薫の心が発しているのだろう。それとも、デズモンドがサブリナを褒めたという行為に対して?だとしたら、それは…。



「さあ、デズもリアムも入ってちょうだい」

「キャロル、招いてくれてありがとう。夕食もさることながら、君と一緒に食事が出来ることを楽しみにして来たよ」


デズモンドの言葉は嬉しい。けれど何かが足りないと薫は思った。それは、デズモンドではなく薫に足りないものなのだろう。


今日はとてもウイットに富んだ必要最小限で済む誤字報告をありがとうございました!

二年目以内にこの話が終わるよう、努力いたします。

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