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「今日もいいのか?」
「はい。本来イービル様は人の世に直接干渉しません。わたくしもそれに準じなくては」
薫が知らないだけで、スカーレットとイービルはたまにこうして様子を見に来ている。この世とは縁を切ったスカーレットなのだ、イービル同様干渉してはならないのは当然のこと。それでもこうして様子を見に来てしまうのは、家族、領と領民、そして育ってきた環境から国の将来が気になってしまうからだろう。
あの時スカーレットに見えたいくつもの魂。最期に一際輝いてその光を失おうとしている姿が何を表しているかなど説明不要だった。スカーレットもまた同じことをする直前なのだ。
急いで選ばないと消えてしまう。でも、次に現れるものがもっと良かったら。しかし、待つ間に自分の光が消えてしまえばそれまでだ。だから、スカーレットにとり一番強く輝いて見えるものを選んだ。そして不思議なことにそれは共鳴した。
本来の世界からスカーレットの選択により逸れてしまった輝く魂。選んでしまった者の責任として、様子を見にくることは当然のことだ。
「七つも必要なかったのではないか」
「わたくしもそう思います。でも、心に余裕を持ってもらう為の保険です」
「どうせ、三つでも五つでも、いざという時に足りなければスカーレットが俺に掛け合ったのだろう」
「そうしない為の七つです」
「まあ、今迄の分もかなり拡大解釈されているがな」
「ふふ、ありがとうございます、イービル様。でも、イービル様も薫さんのことを気に入っていますよね。モンド様とイマージュ様のように」
「さあな、あいつらは気に入っているのではなく面白がっているのだ」
スカーレットは少し前にモンドとイマージュから、少しだけ彼らの方法で薫に干渉したいと言われた。既に薫に夢を見させたと知っていたスカーレットは不思議に思ったが頷くしかなかった。何故なら首を横に振ったところで無意味。モンドとイマージュは『干渉したい』という意思をスカーレットに宣言したのであって、許可を取ろうと質問したのではないからだ。
「この世界には、人の基準で言うところの良い未来はなかっただろう。それを俺が干渉し、異分子を入れたことでどうなるのかあいつらは興味本位で覗いている。その日々の楽しみを与えてくれる薫にそれこそ贈り物をしたかったのだろう、喜ばせる為に。スカーレットがこうして自分が存在しない世界を気に掛けているのを見て、これが人の喜びだと思ったのかもしれない」
「そうだったのですね」
「恐らく。あいつらのことは良く分からない。けれど俺はスカーレットのことは良く分かるから安心して欲しい」
「本来は干渉しないあなたから干渉されてわたくしはとても幸せです」
「スカーレット、今日はもういいだろう。サブリナはああして楽しそうだ。もう我々の世界へ戻ろう。そして互いに干渉し合おう」
イービルは現在仕事を干されている。創造主達から過干渉だと注意を受けたのだ。お陰で暇な分、スカーレットにべったり。
薫同様、元いた世界とは常識も基準も違う空間で生きるスカーレット。恐らく上の立場の創造主達から注意を受けたら反省するのが普通に思えるが、イービルはそうではない。このまま何もすることなく、スカーレットとの仲を深める方が良いと言う始末。
そしてスカーレットは思う。イービルが働かない期間が長ければ、後々植え付ける悪が少なくなる。案外自分達の愛は悪を増長させないのではないかと。
「イービル様、愛しています」
「分かった」
スカーレットの言葉を聞いた瞬間、イービルが自分達の空間へスッと消えたのは言うまでもない。
今日でこの話、二年目に入りました。そこで、始まりを作った二人の話をどうしても入れたく…。この二人が一番恋愛な感じですね。




