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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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王宮では33

アルフレッドが用意してくれた食事会の参加者は近衛騎士が二名、事務官が一名、ダニエル、それにジョイスだった。


「わたしは今回の人員ではないが、最近ファルコールの先まで行ってきたばかりだ。街道や宿泊地で質問があれば尋ねて欲しい」


ジョイスをこの場に参加させたのはアルフレッドの配慮だろう。道や町の情報は新しいものの方がありがたい。そしてジョイスがその移動をここで口に出来るのは、既にその理由が片付いているからだ。しかしファルコールの先とは随分大雑把な表現、場合によっては先になど行っていない可能性もあるとダニエルは考えた。


仮にジョイスが本当のことを言っていても、ファルコールの先にあるのは、伯父が治めるケレット辺境伯領、もっと大きな単位で言えば隣国、そして隣国の中には多くの貴族がいる。ぼかした表現は、そこは追及するなということなのだろう。


騎士達が道の状況、特に危険個所がないかを重点的に確認するなか、ダニエルはどうしてもぼかされた部分が気になった。ジョイスに答えられないのは、目的、何の為にそこまで行ったのかだとすれば聞き方を変えればいい。


「ファルコールに滞在はされましたか?」

「行程的に通過しただけだ」


ジョイスの言葉にダニエルはらしくないと感じた。滞在していないのであれば、『していない』、『通過しただけ』等と簡潔に答えるのがジョイスだ。それなのに、わざわざ『行程的に』という理由を付けた時点で通過だけに留まらないと言っているようなもの。


そこも触れられたくないのは、理由があるから。ファルコール、理由…、導かれるのはスカーレット、そういうことだろうかとダニエルは考えた。でもそれならば、アルフレッドがダニエルに二重国籍証明書を届けるようには命じないだろう。ジョイスから状況を確認すればいいことだ。


釈然としない、腑に落ちない、何かが引っ掛かっている、様々な言葉があるが、事実が上手い具合に見えなくなっているからこうなるのだろう。それは父とスカーレットが故意に隠しているから…。父はダニエルにファルコールの館へ行くことを許さなかった。それに、二重国籍の話も最初から教えてくれていたわけではない。この両方を与えてくれたのはアルフレッドだ。まるでアルフレッドの側に居れば、全てを見通すことが出来ると示しているかのように。

探求欲に駆られ、ダニエルが突き進むよう仕掛けているのだろうか。


そんなダニエルを止めるかのように、王都を去る前日のスカーレットが思い出された。情報を得ろとは言ったが、情報そのものは教えてくれなかったスカーレットを。まだ貴族学院での事実を知らないダニエルに、アルフレッドやシシリアとの間にあったことも何も告げなかった。もしもあの時、スカーレットから事実を聞いたとしてもダニエルは耳を貸さなかっただろうが。

そう、与えられる情報は危険なのだ。偏る可能性がある。ダニエルがシシリアの言葉だけを信じてしまったように。


父が何故多くをダニエルに話さないのか。理由は簡単なことだ、スカーレットを守る為。

では、何故ジョイスはファルコールに滞在したとは言わなかったのだろう。


見せる切っ掛けを作ってくれたのはアルフレッドだが、そのことは切り離して自身の目でしっかり事実を見なくてはいけないとダニエルは思った。そして再び話をするジョイスの表情を眺めたのだった。


バイト先が年度末と年度始まりの繫忙期になるもので…少しでも先をと急いでいたのですが…、わたしの手はのんびり、もしくは止まると思います。申し訳ございません。

くたびれたPCを買い替える為にも労働に勤しみます。

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