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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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王宮では3

時間は少し前のことです。

「アルフレッド、明日から五日間、重要な会議がいくつかある。おまえは全てに側近を伴い出席するように。かと言って、通常の執務を疎かにすることは許さん」

「承知いたしました」

「会議の内容は聞くだけではなく、側近に全て内容を書き取らせよ。そして、議題の内容をおまえ達で熟考し、解決策を少しでも見出すのだ。先に言っておくと、議題のほとんどがおまえに起因する。分かるな、この意味は」

「はい、国王陛下」


シシリアの養女先が決まらないまま二週間が過ぎた。この後、何が出来るのか、どうすべきか父へ尋ねたくともそれは叶わない。

父が国王として王子に命じたことは、先ずは会議に出席し国の運営へ身を投じろということだ。父の態度はアルフレッドからの質問はそれからだと言っているようだった。



「明日から五日間、全ての会議へ出席するよう父上に命じられたよ。おまえ達も一緒に出席して、会議の内容を全て書き取ってくれ」

「全部?」

「ああ、そうだ、全部。それを元に毎日俺達三人で議題をもう一度話し合い、更なる良い策がないか考えなくてはならない」

「国の運営に携われるか否かの試験ということか」

「だろうな、試験結果が悪ければシシリアの養女先を探す必要性もないということだろう」

「ところでシシリアは今どうしているんだ?そうとう落ち込んでいるんじゃないか?」

「今は、子爵家でピアノと作法を重点的に学び直している」

「そうだな、シシリアの成績で芳しくなかったのはその二つだけだったからな。しかし、その二つで養女先が決まらないなんて酷い話だ」

「ああ。それぞれの家がどこに落第点を付けたのか教えてもらえないのも辛いよ。闇雲に学ぶよりは、ポイントを絞った方が効率的なのに。でも、俺の為に頑張っているんだ、それに応えないと。明日からはおまえ達二人にもしっかり頑張ってもらわないとな」


父からは議題の多くがアルフレッドの行動に起因すると聞いている。しかし具体的なことを知らされていない以上、事前に対策を立てることも出来ない。十中八九、スカーレットへ婚約破棄を突き付けたことが原因で引き起こされることばかりだとしても、既に違約金の支払い額と方法も決まりこれ以上話し合うことは無いはずだ。

では何故会議の日程は五日も用意されているのか。キャストール侯爵の顔色を窺う必要でもあるのだろうかとアルフレッドは考えた。


五日間の長丁場、救いはたった一人で参加させられ貴族院の重鎮達から冷ややかな視線と共に吊し上げにあわないことだろう。父の口ぶりは、内容を良く聞き今後を考えろということだ。過去に対してあれこれ言う場ではないことが窺えた。その為に、側近二人も出席するように言ったのだろう。


そしてこれは側近二人が理解したように試験だ。どのような解決策を考えるかにより、今後アルフレッド達が国の運営の蚊帳の外に出されるか否かが決まる。側近二人には試験結果が悪ければシシリアの養女先も必要なくなるとは言ったが、アルフレッドはそれだけでは済まないと分かっている。国の運営に混乱をきたしたとシシリアが何らかの罪に問われる可能性もあるのだ。それは側近二人も。


今となってはもうどうしようもないが、側近二人は貴族学院でシシリアを諭すべき立場だったのだ。スカーレットの立場を軽んじることなどあってはならなかった。今更こんなことを思ったところで、もはや後戻り出来ないが。


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