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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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王都オランデール伯爵家3

予定通り夕食後のサロンで伯爵は、キャストール侯爵がスカーレットの話し相手を探しているということを家族へ話した。そしてあの手紙の内容を確かめる為にもクリスタルの様子を窺うことにしたのだった。


「クリスタル、キャストール侯爵令嬢の話し相手を卒なくこなせば一目置かれるだろう。良い縁談にも繋がる機会だ、候補者として名乗り出てみないか?」

「ですが、お父様、わたくしはお顔を合わせた程度ですので、上手くお話が出来るかどうか」

「同じ時期に学院生だったんだ、共通の話題はあるだろう。それに、この話、リプセット公爵も手伝おうとしているそうだ。我が家としても、リプセット公爵が動くならば候補者を立てるくらいの協力はしたいところ」

「公爵様が…」

「他家も動くだろう。遅れを取らぬよう、早々に決めなくては。どうだ、クリスタル?」

「わたくしは…、やはり務まるか不安です。上手く行かなかった時は家にも公爵様にも迷惑を掛けてしまいますし」

「クリスタルが無理ならば、我が家としてはサブリナでも構わないと思っている。兎に角候補者を立てようとしている姿を見せなくては」

「あなた、それではただでさえ跡継ぎが未だなのに、更に遅れるではありませんか」

「少しの間だ、構わないだろう」

「いいえ、跡継ぎ以外にも伯爵家の嫁としての教育も山ほどあります。いつも言うように、子爵家出身のサブリナには教えることだらけなんですよ、六年経っても」


リプセット公爵の名前を出してもクリスタルは食い付いてこなかった。ジョイスに直結する公爵へアピール出来る機会だというのに。

その理由はリプセット公爵へ良い顔を出来ないと端から諦めているか、後ろめたいか、どちらかの可能性が高いと伯爵は考えた。どちらにしても、妻は反対しているがここはサブリナを使うことも検討しなくてはならない。


ジャスティンも夫人もサブリナを可愛がっているようだが、評価は低い。次の伯爵夫人としては教養が足りず、日々長々と様々なことを教え、行わせているようだ。伯爵としては、日常であまり役に立っていないサブリナならば他で有用に使いたい。手紙の送り主が本当のスカーレットだったら大金星になるし、そうでなくても公爵へのそれなりのポーズになる。


ただ、どの筋書きを取るにしても確認しておかなくてはいけないことがある。それはクリスタルが本当にスカーレットと顔を合わせるだけの関係だったかどうかだ。


「少しクリスタルと話したい。悪いが二人にしてくれ」

当主である伯爵の言葉は絶対だ。ジャスティンとサブリナはそれぞれ伯爵にお辞儀をしてサロンを出た。夫人だけは、クリスタルの将来の為と伯爵に説得するよう伝えてから退出したのだった。


それから数分後、伯爵は深い溜息を吐くこととなってしまった。これ以上深いものは不可能だと思うくらいのものを。

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