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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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デズモンドのこの女性を虜にする能力はどうやって伸びていったのか。

微笑み掛ける度に、異性が喜ぶからと自然に伸びて行ったとも考えられる。若しくは、異性が喜んでくれるからと、その能力を伸ばす努力をしたとも。


いずれにせよ、その根底は相手を喜ばせる為。薫はこの数日間の会話の中でデズモンドはただのタラシではないと感じていた。


薫の質問に対し、言い辛そうに顔を赤らめながら王都でのデズモンドのことを教えてくれたハーヴァン。照れて口籠りながらも、かなり際どい話をしてくれた。あれは真実に対し七から八掛けといったところだろう。いくら薫がキャロルと名乗っていても、キャストール侯爵令嬢のスカーレットに対しあまりにもあからさまな話は出来ないだろうから。


ハーヴァンの話からすると、デズモンドの恋のお相手はコロコロ変わる。不思議なことに、相手とは揉め事もなく綺麗に終わっていくそうだ。それは相手を傷付けることなく、楽しい思い出と共に去ることが出来ているということ。さもなければ、一度や二度は刺されてもおかしくない人数とデズモンドは付き合ってきた。

大人の付き合い方に長けているのか、そもそも相手を見定めた上でアプローチしているのか。兎に角、恋愛の上級者ということだ。


現に薫も頷いた次の瞬間から、デズモンドがどういうリボンを選んでくれるのか楽しみだと思ってしまった。こんなにも心の中で気を付けなくてはいけない男だと警戒しているというのに。


「リアム、デズはどうしてこんなにも誰かを喜ばせようとするの?」

「えっ…」

「わたし何か変なことを言った?」

「否、言ってない。ただ、俺がキャロルからそんな質問を受けるとは思っていなかったもんで」

「それで、キャロルがリアムにそんな質問をするのは贈り物を喜んでくれるってこと?」

「そうね、楽しみ。何より、新緑のような黄緑ってデズが言ったことが嬉しいわ。大豆と砂糖の原料を上手く育ててくれそうで。実はわたし、あなたの農業指導に関する手引書を読んだことがあるのよ」

「それはちょっと恥ずかしいな」

「あら、あんな大人な会話ばかりをするデズでも恥ずかしがることがあるのね。先日このファルコールで本当のあなたを取り戻す手伝いをすると言ったのを覚えている?」

「ああ、勿論。どんなことをしてくれるのか楽しみにしていたからね」


言葉では恥ずかしいと言っておきながら、デズモンドが浮かべる大人の男の余裕の笑み。その顔で『どんなことをしてくれるのか楽しみ』だなんて言われると、どうしても男女のことを匂わされているように思え言葉が出辛くなるだなんて前世アラフォーの薫は恥ずかしい限りだ。

やはり男女事は年齢ではない、経験値なんだろう。


「どんなことも何も、デズモンドの手引書が見事だったからファルコールでそれを検証する為の環境を贈ろうと思っていたのよ」

表情を変えることはなかったが、デズモンドが心の中で驚いたのは言うまでもない。

リボンを贈ろうと思っていたデズモンドに対し、キャロルが用意しようとしていたのは農業指導の為の用地・人員・サンプル作物ということだ。さすがキャストール侯爵家のお嬢様といったところだろう、規模が違う。

そして、デズモンドが新たに出した条件に対し、キャロルは贈り物予定だったものの体裁を変え条件にしたということだ。

デズモンドにはキャロルが互いに得意なことを条件に出し合うように、帳尻を合わせたように思えたのだった。

書いているわたしが言うのもなんですが、進みが遅くて長い話にお付き合いいただきありがとうございます。インフルエンザに罹り思いました、更新できないのが辛いと。もう少し、飛ばして書いていけるといいのですが…。

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