表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

134/673

80

「とても良いお散歩が出来たわ。ランチボックスもすごく美味しかった」

「それは良かったです。ランチボックスは新鮮な空気というスパイスのお陰で美味しくなるんですよ」

「まあ。本当に美味しかったのよ、だから、新鮮な空気でより一層美味しくなったんだわ。あの子も…」

ハーヴァンはしっかりとゲストを楽しませることが出来たようだった。馬での散歩から戻ってきた前リッジウェイ子爵夫妻の様子を見れば一目瞭然だ。


ただ、楽しんだと報告してくれた夫人の言いかけた言葉が薫は気になってしまった。『あの子』までは聞き取れた言葉。夫人がそう呼ぶのは誰だろうか。何となく、薫にはそれがサブリナに思えた。


母親である夫人が楽しんだ後に、『あの子』であろう娘のサブリナにも同じ思いをさせてあげたいと思っても不思議はない。それを楽しかったと報告してくれたトーンのまま話してくれていたのなら、薫もさして気にはならなかった。でも、夫人には見逃せない一瞬の表情の陰りがあったのだ。それはサブリナの今が夫人には幸せに見えていないということ。


「とてもリラックス出来るハーブティがあるんですけど、少し喉を潤しませんか?」

「ここは本当に至れり尽くせりなのね。あなたもご一緒しましょう?」

「すまん。実はこの後、ハーヴァンに馬の手入れを見せてもらう約束をしてしまって」

「もう、あなたったら、ハーヴァンだって少しは休憩が必要よ」

「では、先ずはお茶をしてから、旦那様はハーヴァンと、夫人はわたしとの時間を楽しみましょう」


サブリナのことを少しでも知りたい薫には前子爵は少し邪魔な存在だったので、有難く引き続きハーヴァンに働いて貰うことにしたのだった。



「主人は本当に馬が好きで。まさかここにクロンデール子爵家のハーヴァン様がいるとは思わなかったわ」

「諸事情がありまして。ですが、そろそろリプセット公爵家へお返ししなければいけないと…」

「いいわ。帰路ではハーヴァン様に我が家の馬の調子を看てもらいながら帰ることにしましょう。序にリプセット公爵家の前を通ればいいのかしら?」

「ありがとうございます。確かサブリナお姉様が嫁いだ伯爵家はリプセット公爵家と領地の作物に関してお付き合いがあるお家でしたよね」

「ええ、流石ね。貴族同士の繋がりを、様々な要素から理解しているなんて、やはり…」

「夫人、わたしはただのキャロルです。でも、わたしのもう一つの側面が知りたがっているんです、サブリナお姉様が楽しい毎日を過ごしていらっしゃるか」

「やっぱりバレてしまったかしら」

「何となく。夫人が楽しいと思った後にサブリナお姉様を思い浮かべているようで」

「サブリナはオランデール伯爵家でとてもかわいがってもらっているのよ。それは嘘偽りないわ。でも、嫁いで六年、まだ子供が出来ないの。そのことがあの子の心を…」


そういうことかと、薫は理解した。なかなか子供が出来ないことでサブリナは肩身の狭い思いをしているのだろう。それにオランデール伯爵家といえば、スカーレットの記憶にしっかり残っているあの令嬢、クリスタルの家でもある。

貴族学院時代、クリスタルはジョイスにご執心だった。そのジョイスがスカーレットへ酷い物言いをするので、クリスタルもまた、あることないことをスカーレットにぶつけたご令嬢の一人だ。

嫌な予感がする。スカーレットと付き合いのあったサブリナへ、クリスタルのあの性格ならば子供が出来ないことを理由に何か言っていてもおかしくない。それも、サブリナの心を傷付けるような。

自分で自分の首を絞めているのは承知しているのですが、本当に登場人物が多い…。

ホテルを運営しているので仕方がないのですが…、それにそろそろ皆さんがかち合う

予定なので。名前間違えをしないよう気を付けます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ