ツインは関係ない
「おい、何でそっちのベッドで寝るんだ!」
「ツインルームなのですから、別々でいいじゃありませんか」
ダンスの後、夜会を早々に退散し、部屋に二人で戻った。
アレク様に用意して頂いた部屋はツインルームの客間だった。
オズワルド様はベッドが二つあり、何だか不機嫌になっており、耳障りなほどぶつぶつ呟いていた。
そして、私は気にせず持ってきた本をベッドに膝を立て読んでいた。
「何の本を読んでいるんだ?」
「呪いの本ですね。よくわからないことばかりですが…もしまたかけられたら嫌なので」
「アリシアとは接点がないだろう。それに、リディアにかけられた呪いはもうかからないと思うぞ」
「どうしてですか?」
「同じ呪いはかからない。大体、事切れる呪いなら二度かける必要はないし…確認してやろうか?」
「確認できるのですか?」
「呪いが完了してたら、もしくは完了寸前なら呪いが完了した場所にアザが出来ているはずだ」
「ということは?」
「アリシアに最後に杖を突き立てられた所を見せろ」
それは服を脱げと?
絶対無理に決まっているでしょ!!
「腰辺りにアザなんてありません!マリオンだってアザがあるなんて言ったことないですよ!」
「二人とも魔力がないだろ。そういう者は見えにくいはずだ」
なんか頭が痛くなってきた。
聞かなかったことにしようかしら。
「オズワルド様、もうお休みの時間です。寝ましょう」
「人の話をなかったことにするんじゃない」
「大体、今まで言わなかったじゃないですか」
「今まで、呪いを気にしてなかっただろうが。どうせ見せんと思っていたし」
「そう思っていたなら急に言わないで下さい」
そう言いながら、本をナイトテーブルに置き、寝ようと転がるとオズワルド様がベッドに入ってきた。
「オズワルド様のベッドは向こうですよ!」
「嫌だね。一緒がいい」
絶対ベッドから出ていく気がないな、と思うとどこか諦めている自分がいる。
そっとオズワルド様の胸に頭をコツンとうずくまるように当てるとオズワルド様はギュッと抱き締めてくれる。
「早くウェディングドレスを作って下さいね」
「そうだな、早く結婚式をしよう」
「結婚式は質素でお願いします。派手なのはあまり好きではないので」
「そうするよ」
そうして、唇を塞がれいつものように夜が更けていった。




