if〜消えたある日の想い〜(レオン)
婚約を受け入れてくれたリディアに今日初めて会いに行く。
王宮に呼んでも良かったが、婚約を受け入れてくれたから、どうしても自分から行きたかった。
ウォード邸に行くと、侯爵と共にリディアが迎えてくれた。
「リディア、婚約を受けてくれて、ありがとうございます」
「まあ、私の方こそありがとうございます」
リディアは優雅に挨拶をした。
それからは、リディアは花嫁修業として王宮に通うことになった。
定期的に二人でお茶会をし、リディアと会うのは楽しみだった。
だが、リディアは手一つ繋いでくれとは言わない。
いつも穏やかな笑顔で話し、側にいてくれるが距離が縮まらないと感じる。
花嫁修業で王宮に来ても、会う予定じゃない時はさっさと帰ってしまう。
会う予定じゃない日に会いたいとも言わない。
思いきって、不意打ちでリディアに会いに行くと、友人の邸にお茶会に行っていた。
私を友人に紹介しようとは思わないのだろうか。
もし、友人の邸までリディアに会いに行くと、リディアは喜ぶだろうか。
婚約者だと、自慢してくれるだろうか。
そう思い、リディアの友人邸に行くと、リディアはいつもと変わらない様子だった。
お茶会に一緒にとは言わず、帰りますよ、と言った。
私と友人の中でお茶をしたくないのだろうか。
虚しさを感じると、友人の中の一人の令嬢が図々しくも、お茶に誘って来た。
そして、私も図々しくお茶会に交じった。
一瞬虚しさを感じたが、リディアとその友人達とのお茶会に興味があった。
リディアはいつもどんな様子なのだろうと。
リディアを見るといつもの穏やかな笑顔に見えた。
リディアは兄上にも私にも媚びない。
その、誰にも媚びない穏やかな笑顔に好感を持っているが、リディアが正直よくわからない時がある。
距離の縮まらないリディアにずっとモヤモヤしていた。




