最終話
帰ってからは大変だった。
オズワルド様も後始末に駆り出されて、私達は城から邸に帰れなかった。
またオズワルド様が捕らえられたらとも、微かに思ったが、テレンスという方が魔法騎士団時代からオズワルド様を僻んでいたと、証言もあったし、あの状況だとオズワルド様は会場の皆を守ったと思われていた。
実際、それはあると思う。
腹黒いオズワルド様だけどむやみに人は傷つけない方だから。
そして、オズワルド様は私の懐妊をかなり喜んでいる。
「マタニティドレスも準備せねばならんな」
「まだ早くないですか?」
「腹が大きくなってからでは遅いだろう」
ベッドに座る私のお腹に耳を当て、撫でる様は私とお腹の子を大事にしているように見える。
「…後一年はお預けですよ」
「まぁ仕方ないな。リディアを手に入れるのに随分時間がかかったから、それくらいは待ってやるぞ」
「それはどうも…」
時間が戻る半年は私に片想いしていて、時間が戻った後は結婚式まで関係をもたなかったから随分待ったのだろう。
「男でも女でもどちらでもいいな」
「…オズワルド様みたいな腹黒になったらどうしましょう?」
「それの何が悪い」
堂々とそう言うオズワルド様は、いつものオズワルド様でどこか安心してしまう。
そして、キスくらいなら腹に悪くないだろうと、起き上がり軽く唇を何度も重ねてくる。
「…もう一人で逝かないで下さいね…」
「悪かった…」
「一人は嫌ですよ…」
「…なら、死ぬ時も一緒に逝くか?」
「…そうしたいです。二人で時間も戻ったんですから…ずっと一緒にいます」
オズワルド様は私とお腹の子を愛おしむように大事に抱きしめてくれ、私はオズワルド様の腕の中で温かい鼓動に安堵していた。
━━━━━━完。
長い間、お付き合い頂きありがとうございます。
リディアとオズワルドの話はこれで終わりです。
この作品でアルファポリス様主催第14回恋愛小説大賞にて奨励賞を受賞したりと皆様のおかげです!
感謝でいっぱいです!
次作も近いうちに投稿します。
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これからも、どうぞよろしくお願いいたします!




