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誰かがやって来た

昼食の為邸に着くとセシルは少し照れたようになっていた。


「本当に私が行っても大丈夫ですか?」

「私が招待したのはセシルだ」


心配そうに言いながらもセシルは少し微笑んでいた。

やはり連れて来て良かった。


昼食時、リンハルト男爵親子は気まずそうだった。

さすがに私を怒らせたと思っているのか大人しかった。


「リンハルト男爵、何故セシルの顔を治療しないのですか?」

「放置していたわけでは…、ブラッドフォード公爵様がお越しになった時に診せるつもりでした」

「いつ来るかわからないのにか?」


リンハルト男爵は無言だった。

どうして何もしないのか。

セシルが自分から言わないのは何となくわかる。だが、娘の顔に傷が出来て、放置しているのを痛ましいと思わないのかと。


「セシル、君は顔をどう思う?正直に言って欲しい」


セシルは無言でナイフとフォークを置いたがゆっくり話してくれた。


「な、治したいです。こんな顔は嫌です」

「では、私の邸で引き取ろう。しばらくは私の邸に居なさい。必ず闇魔法を使える者を探す」


そして、セシルは今夜から私の邸に滞在することに決めた。




夜にはセシルは既に休んでいた。


私はライアを部屋に呼び、話を聞いてもらった。


「ライア、私はセシルを助けたいのだ」

「いいんじゃないですか?邸に引き取ったのもとりあえず正解だと思いますよ」

「とりあえずとはどういうことなんだ?」

「…闇魔法使いがいないこととリンハルト男爵に話をつけてないことです!」


邸に引き取ると言っただけではダメなのか?

あれでリンハルト男爵は放って置いてもいいと思ったのだが、ライアは違ったようだった。


「まさかあれでいいと思ったんじゃないでしょうね」

「…そ、そんなことは思ってない…が…」


口角は上がっているがどこか笑顔ではないライアに見透かされ思わず焦ってしまった。


「闇魔法使いはいずれ見つけるにしても、男爵達がセシルを虐げないようにするべきです。顔が治っても邸に帰れば同じですから」

「セシルは邸に帰るのか?」

「ずっと引き取るつもりでしたか?」


確かに日にちは決めてなかった。

ずっといるものだと漠然と思っていた。


「少し考える」

「そうして下さい」


机に肘をつき考え込んでしまうと、窓の外が急に光を放った。

庭にある石造りの円柱に円錐の屋根の建物の頂点にある魔水晶が光ったのだ。

あの建物は邸内で唯一転移魔法が使える場所だ。他の場所は不審者も含め悪いものが入らないように邸内は転移出来ないようにしている。

その建物の魔水晶が光ったということは誰かが転移魔法で来たということだ。


「連絡はありませんが緊急で誰か来たのかもしれません。行って来ますので部屋から出ないようにして下さい。廊下にも魔法騎士は配置してますから」


ライアはそう言うと足早に部屋から出ていった。





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