5話 ???な人に会いました
私はいつも通り街に買い物に行った時に、とある噂を耳にしてしまった。
その噂は、この国と隣の国との貿易の問題が発生していて、上が少し揉めているようだ。
ーー私がもし王子だったら、こういう問題も巻き込まれるイベントがあるんだろうな〜!っていう、妄想は終わりにして、これが本当で仮に上手くいかなかったら、争いが起こりかねないのである。
この国の情勢が心配になりながらも、私は服を買いに来たのだった。
以前の私だったら、サイズ的に絶対入らないような可愛い服や若い子が着るような服を、今では普通に着れることがとても嬉しい。
前より服を買うのが楽しくなった。女の子になったんだから、楽しまなきゃね!と思って、気分はスキップしそうなぐらいルンルンしていた。
すると、2メートルぐらい先にパン屋さんの前で怪しい動きをする人がいる。
何をしているのかとても気になるが、話しかける勇気は無い。だがしかし、気になる。
もう気になってしょうがないから、話しかけちゃおう。そう思い、彼女に近づく。
「あの〜?すみません、どうかされましたか?」
相手は動揺しているのか、先程の変な動きを止めたがら目が合わない。私は心配になり再度声をかける。
「あの、大丈夫ですか?」
するとやっと彼女から声が聞こえた。
「僕は大丈夫です。すみません、失礼しました」
彼女は会釈して、足早に去ってしまった。
私は何だったのだろう?と思いつつ、あの子可愛かったなとかふしだらなことを思う。
見た目は金色のサラサラなストレートなショートヘアで、綺麗なエメラルドグリーンをした目、ブルーのヒラヒラのついたフリルワンピースを着た可愛い少女だった。
まさに乙女ゲームの世界の王族って感じの子だったなというか、私の好みのキャラがそのまま現れたという感じだった。
そういえば第3王子もそんな容姿をしている話を聞いた気がするが、こんな所に王子が来るとは思えない。そもそもあの子は女の子だから、性別が違う。
あの子の1番の好きポイントはボクっ娘なところ。可愛い女の子が僕って言ったら、こんなのみんな好きじゃないか!あくまで私の感性であるけど。
もうちょっとよく顔を見ておけばよかったな。
そんな失礼なことを考えながら、お母さんにも頼まれていた物があったことも思い出して、買い物を続けた。