3話 異世界転生とは·····?
もう何度目の転生だろうか·····?
数えるのも面倒になるくらい、色々な生物や植物に転生した。
だけど、報告させてください!
ーー私、とうとう人間になる事が出来ました!!!
やっとだよ。諦めなくてよかった!!
今の私は街の娘A的な存在。いわゆるモブ。
とりあえず人間になれたので、ひとまずよかった。
今まで通り一応前世の記憶はあるのだが、残念ながらこの転生した子の記憶はない。
転生というか、この子に憑依してしまったと思われる。
だから、突然記憶喪失になってしまったと、この子の両親に伝えた。
両親は当たり前だが、とてもショックを受けていた。
両親の心の傷は癒えないが、まずこの子のことを知らないといけないので、教えて貰うことにした。
そしてやっと、この世界についての説明が出来る!
でもあまり詳しくないので、ざっくり説明しよう!
1 この世界には王族がいて、この国はアルステラ王国というらしい。
(ファンタジーでは王道ですね!)
2 アルステラ王国には第1王子~第3王子がいて、この王族はみんな美男美女らしい。
(まるで、乙女ゲームのような設定だな!)
3 ーーしかし、王子達は、性格に問題あるらしい。
(でもイケメンならOKかな?
A.ゲーム内ならOKかもしれないが、実際に会うとダメだと思う)
だが、私はこの国の姫でもなく、ただのモブ。
だからそんな王子達を遠くから眺めるだけで、幸せ!!!
むしろ、イケメンを見せてくれてありがとう!!
この世界って素晴らしい!
こう思えるのも、今までの転生があったから言える!
そして、私はやっと穏やかな日常を過ごす事が出来る。
この嬉しさで、今日は胸がいっぱいになった。
この子の両親には申し訳ないが、私はこの子の分まで楽しく生きようと誓った。
私のお腹から、ぐぅーと音が鳴った。
母親が
「そういえば夕食にしようとしていたんだった
今日の夕食は、シチューよ!」
キッチンに赤いお鍋が置いてあるのが見えた。
「食べたいな」
シチューという言葉を聞いて思わず口に出していた。
久々に人間の食事を目前にし、お腹はより鳴った。
「そんなにお腹空いていたのね!
早く用意しなくちゃね!」
母親は先程までの戸惑いの表情から、一旦切り替えて明るく振舞っていた。
私は父親と共に椅子に座って、料理が来るのを待っていた。
そして、まず各々のシチューが運ばれてきた。
湯気が立っていて、鼻にシチューの香りが入ってきた。お腹が空いてきた。
そして、テーブルの真ん中にパンが入ったバスケットが運ばれてきた。
私はスプーンを持ち、目の前の置いてあるシチューをすくい上げ、口に運んだ。
温かくて優しい味がした。
美味しすぎて、自然と涙が出てきた。
涙を拭うと、両親が私を見て驚いていた。
「急にどうしたんだ?」
父親が心配そうに聞いてきた。
「美味しすぎて涙が出たの」
「ああ、そうか!よかったな!」
反応には困っていた父親だったが、母親は嬉しそうだった。
私は無心でパンとシチューをお腹いっぱい食べた。
人間の食事は本当に美味い。
人間であることに感謝をして、心の中でごちそうさまでした!をした。
両親に心から感謝をした。
「そんなに褒めても何も出ないわよ!」
母親が嬉しそうに話した。
父親は何も言わなかったが、照れているように見えた。
私の心もお腹も満足したところで、自分の部屋に向かった。
そして、ベッドにダイブした。
ふわふわしていて、気持ちよかった。
安心したのか、眠くなってきた。
まだ眠るには早いのだが、眠気に逆らえず、そのまま夢の世界へ誘われた。