会議の報告を聞いて
作戦会議の前に、ヴィエラ山脈の辺境地の状況報告を書面つくって配っていた。
現地訪問をして、すこし下見をしたので、報告書として会議の前に、ちゃんと提出していたのだ。
ちなみに、この世界では、紙は物凄く高価であり、ケモノの皮に書いたりもしている場合も見受けられるのだ。
中世ヨーロッパのような感じがするのが、今いるオストマルク王国となっている。
どちらかと言えば、オストマルク王国の北側が、南部ドイツやオーストリアのような感じとなっている。
そして、オストマルク王国の南側は、イタリアのような感じと思ってもらえば、想像しやすい。
オストマルク王国では、男女の関係もラテン系のようになっているのかもしれない。
普通、これほどまでに、愛だの恋だの、国政の場でするべきことがないことを議題にしていたりする。
婚姻が重要となっており、政略結婚が横行している。
借金の形として、裕福な商人に娘を売ったりする貧乏貴族もいるのである。
これらのオストマルク王国の貴族の常識について行くことができず、色々とストレスが溜まっているのかもしれない。
「ここは、やっぱりフランスやイタリアと同じなのか?」
「愛や恋について語り合っていることが多いので、自由恋愛が大好きな人には、持って来いなのかもしれないが・・」
「流石に、一ダースも恋人は必要ないしな・・」
「やっぱり、ここは良くわからないな」
この報告・連絡・相談については、アルバイト時代に徹底して教え込まれた時のモノだ。
バイト先の店長などには、口を酸っぱくして言われてたな。
TPOのことなどについても、アルバイト時代の名残りかもしれない。
「今から考えたら、ブラック企業で間違いないけど・・」
それはそれで、役に立てば問題はない。
逆に、そんなことも知らずに社会人になっていれば、あとで大変な目にあってしまう。
天然で済まされるのは、若いうちだけだからだ。
年がいってから、完全に天然だと、目もあてられなくなる。
不思議ちゃんや天然は、いい年になってからでは通用しない。
部下の教育については、とても大切となる。
状況報告書には、自然が豊だとか、人が少ないなど、誰でもわかるようなことを書いて報告をしていたのだ。
鹿や猪の生息、薬草が自然に生えていること。
滝や川があり、魚が釣れそうだといったことだ。
事実を事実として正確に記入することも大切なのだ。
「判断をするのが上司の仕事」
とネチネチ説教をされたりもしたっけ・・。
「報告は正確に、報告と意見を分けて伝える」
なんてのもあったような気がした。
そこから得られるのは、狩りをして、毛皮を売りましょうとか、薬草を採取して売りましょうとかだと思っていた。
農業もして、自給自足を目指しましょうとなると考えていたのだ。
そして、私はできるだけ自給自足をして、生活をすべきだとも伝えていた。
確かに、魔王を討伐したので、金貨も大量にある。
10名が生活する位なら、何十年分のストックがされている。
そして、冒険者としてクエストを達成したり、ダンジョンに潜ったりして、マジックアイテムも腐るほどある。
さらには、勇者として接することにより、王やギルドなどにも顔が利くのだ。
領地経営の前提条件としては、この上ない状態となっている。
でも、いきなり都市をつくると歪ができてしまう。
魔力を使ったダンジョンなどの人工都市もつくることも、技術上として不可能ではないだろう。
だがしかし、私財や魔法をすべて投入したとしても、収支が合わずに1年ももたなければ意味がない。
それでは、本末転倒になってしまう。
そのため、『持続可能な領地』にしようと書いて配っていたのだ。
特産品をつくって売ろうとは思っていたが、まずは生活のための食糧を確保することからと思っていた。
最悪、宝倉庫のマジックアイテムのバザーを開いて、食い物を買う金を稼ごうとまで思っていたのだ。
木が生えているから、伐採して木材として売却することや、加工して紙にすることも考えていた。
それと、大きな道路を開通させて、商売を盛んにできればとも思っていた。
だが、エルフとドワーフを各10名を現場配置してみれば、どうなるだろうか。
薬草は、ポーションとして販売することができるし、武器や防具まで生産することができる。
器具なのどの修理や製造も可能になる。
上下水道などのインフラも上手くいくだろう。
住宅の建築もバッチリ。
食料問題も解決するのではないだろうか?
さらに、特産品の生産もバンバン可能になるのではないか?
さらに、ギルドや商人とは仲がいいので、商品さえあれば何とかなる。
もちろん、【鑑定スキル】によって、紛い物を売買することはない。
すでに、しっかりとした信用が備わっている。
これならば、持続可能な都市として成立させることもできるのではないか?
そのように、仮説を立てることができた。
メグミの提案は、優秀すぎる。
これは、絶対に投資効率に合う投資だと判断を下すことになる。