税金について その2
「はーい。今回も、税金についての話になる。課題がわかっていないメンバーは、会議に参加しなくてもいいぞー」
オストマルク王国では、秋の収穫時期が終わってから、収入に対して3割3分3厘の税金がかけられている。
つまり、収入の1/3の割合である。
それは、物納のような形でもOKとなっている。
食物が採れるのが、秋であることが多いので、このようになっているのだろう。
これについては、他の国でも、似たような形であることが多い。
税金は、高すぎると暴動が起きる。
それによって、いくつもの領主などが討伐されてきている。
だから、特に注意が必要なのだ。
それは、歴史によっても証明されている。
色々な国でも、市民革命が起こっているのだ。
日本でも、過酷な取り立てで、一揆などの反乱が起こっている。
『大塩平八郎の乱』についても有名である。
でも、私がいた頃の日本では、税金の話がされていなかった。
税金が、身近ではないからだろう。
そして、色々と誤魔化されているところが、多かったからかもしれない。
ただ、気付いていないダケの人もいる。
日本では、年収1,000万円あれば、所得税と住民税を合わせれば、税率だと4割位となる。
1億円の年収ならば、所得税や住民税で、税率だと5割近く税金で取られてしまう。
控除額があるから、実際にはだいぶん軽減され、税金の計算が難しいと聞いている。
もっと困ったことに、全体的に見ると、社会保険料や年金も一緒に差し引かれる。
つまり、1億円の年収ならば、所得税や住民税に社会保険料や年金をあわせると、実際に半分以上を徴収されるのである。
自分が働いて稼いでも、自動的に給与から差引されてしまう。
年金や健康保険もある。
年金や健康保険は、税金とは別とされているが、これは目くらましである。
実質的に、社会保険税であり、年金税である。
ただ、名前を誤魔化しているだけと思ってもいいのかもしれない。
色々なトリックが使われているのである。
そこから、更に消費税などの税金も取られてしまうのだ。
サラリーマンならば、会社によって給与天引きになるので、あまり気付かないのかもしれない。
でも、事業をしている人ならば、給与から半分が税金で徴収されてしまうと、どう思うだろうか?
源泉徴収でなければ、色々な方法で、節税をすることも可能となる。
黙って、税金を支払うほど、経営者や金持ちは従順ではない。
徴税権を持っている側は、『マルサ〇女』のような映画などを作らせて、金持ちや経営者が悪者のように扱う。
納税は国民の義務ではあるが、過剰な演出は、プロパガンダと呼ばれる。
金持ちの多くは、悪いことをして、金を稼いでいるのような誤った考え方を押しつける。
僻み根性の極みである。
『お客様は神様』と言った間違えた価値観も、大手を振って歩いているからでもある。
そもそも、相手が神様だったら、お金が取れず、何でも無料になってしまう。
それならば、サービスなど何でもかんでもタダで提供することになり、商売になんてならない。
しっかりと、お互いが儲かるように、パートナーとして接しなければならないのだ。
金を払っているから偉いと言った間違えた考えをしてはならない。
お金は、サービスの対価だからである。
支払って当然のモノに、上下関係をつけるから、おかしくなるのである。
税金も同じなのである。
上下関係で、上から押し付けるからおかしくなる。
そして、問題となるのが、ワザと難しく見えるようにして、誤魔化しをすることである。
税金は、何であっても取ることが可能となる権力者の道具である。
上手な使い方をしなければ、ただの恐喝である。
悪い見本を考えてみる。
消費税は、取り扱っているモノから一律で税率がかかるモノであり、平等のように見える。
しかし、酒やガソリンなどには、元々別の名前の税金がかかっている。
その税金がかかっているモノに、消費税がかかるとどのような状態だろうか?
これは、二重課税となる。
所得税や住民税の税率が低ければ、消費税は問題ないかもしれないが、もともと税金を支払っているのに、法律ひとつで数パーセントが値上がりしてしまうと、庶民は大変なことになる。
商売や事業をしていればわかるかもしれないが、立場が弱ければ、それだけ高い利益率を出すことはできない。
だいたい、不動産の売買でも、手数料は3%プラス6万円である。
何もしていないのに、ゴッソリ税金を取ることは、民衆の不安を煽るのだ。
では、相続税はどうだろうか?
所得税や住民税を支払ってから、不動産取得税を払って不動産を買い、毎年固定資産税と都市計画税を支払う。
その上で、相続があった場合に、相続の税金を支払うことになるのである。
これも、二重課税である。
一見、金持ちから税金を取るので、良いことに思えるかもしれない。
しかし、金持ちが減ると、最終的に国力を減らすことになる。
それは、海外に移住をしたり、資産フライトが起こるからである。
それほどの高い税率をかけられるのであれば、金持ちほど、その国を離れるようになる。
当然のことなのかもしれない。
サラリーマンである官僚主体国家では、大変なことが起こる。
杓子定規で、税金を取ろうとすればするほど、納税者が逃げてしまうからである。
簡単に取れる所から取ろうとするから、制度が杜撰になる。
文句を言えない無知な者から搾り取ろうとするからだ。
だらか、小難しい税制になってしまうのである。
官僚は、ルールを作るのは上手だが、自分勝手なルールをつくろうとする。
自分達に手間がかからず、文句が入らないようにするからだ。
租税の理念は、「公平・中立・簡素」の3点が重要になってくる。
「うーん。問題ばかりだな。もう少し議論が必要だ」