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領地経営クエスト  作者: 小説クエスト
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ヴェロニカの憂鬱

 私はヴェロニカ。

 今は、偉大なる勇者と呼ばれているジン様の下で働いているわ。


 8年前に妹のアリエルと一緒に『エルフの里』を出てから、冒険者や勇者一行のパーティーとして一緒に働いているの。

 私が外の世界に行きたいと言って、『エルフの里』を出ようとしたところ、アリエルも付いてきてしまったわ。

 結局、妹のアリエルは、人間の世界に慣れることができず、『エルフの里』に帰りたいと言うようになってしまったかしら。

 でも、アリエルがエルフの里に戻りたいとワガママを言ったから、ジン様に出会うことができたわ。

 その時は、メグミ様ともお付き合いをしていないようだったの。


 あの時は、オストマルク王国を侵略してきた魔王を討伐して、間もない頃だったようなの。

 魔王を倒して、世界を見たいと冒険者として旅やクエストをしていたと聞いているわ。

 本当に、たまたまジン様が、冒険者をしている時でよかったわ。

 私は、冒険者として、丁度行き詰まっている時でもあったの。

 アリエルを『エルフの里』に送り届けてもらってから、無理矢理ジン様に同行することにしたわ。


 私は、ジン様にとても恩があるの。

 だから、どんなことがあっても文句は言えないわ。

 いつ死んでしまうかわからない、戦線を幾度も乗り越えたから・・。

 でも、ジン様は、その後すぐに、メグミ様と付き合うようになってしまったの。

 私は、その時、急に胸が苦しくなったわ・・。

 この気持ちは、誰にも言えていないわ。

 

 オストマル王国の王都が、魔王に襲われて、王都が陥落してからは、各地で戦うようになったわ。

 ジン様も勇者の任務に復帰し、トリスタン王子など各メンバーと連携していたけど、いつもメグミ様が傍にいるの。

 2人目の魔王を倒して、王都を奪還したら、ジン様はメグミ様と結婚をしてしまわれたの・・。

 もちろん、笑顔で祝福したわ。

 一緒に戦った仲間ですもの・・。


 ジン様が結婚すると、ソードマスターのランドルフからの求婚が酷かったわ。

 何を勘違いしたのかわからないし、この結婚の流れに乗りたかったのかしら。

 私のタイプでは無いのに、色々なアタックをしてきたの。

 三流貴族の息子だし、飲んだくれているし、魔法も使えない・・。

 もちろん、すべてお断りしているわ。


 ドワーフのメンバーは、女性が好きのようね。

 冗談半分、本気半分なのかしら。

 特に、スタッフィーが、堅苦しくデートに誘ってくるの。

 私はイヤだと言っていたけど、しつこかったわ。

 メグミ様が仲裁してくれたから良かったけど、何か不思議な感覚だわ。


 メグミ様は、私の気持ちを知ってか、知らないつもりなのか、結婚指輪の自慢をして、結婚をすすめてきているの。

 私は、どうしたらいいの?

 もしかして、私に対しての嫌がらせ?


 確かに、勇者同行メンバーは、格好いい人は多いわ。

 ランスロットさんも勇者だし、アルフォンスさんもガッシリしているわ。

 でも、わたしは、ジン様がいいの。

 これは、譲れないわ。


 でも、ドワーフの料理人のギャビーさんは、ジン様のことを色々悪く言うわ。

 抜けているところは、確かにあるわ。

 いきなり、ドワーフ料理を振る舞うように、無茶ブリをするし、食糧も足りないのにグリーンゴブリンをいきなり大量捕獲をするし、ディアトリマも解体するのに苦労する位、大量に捕獲してくるし。

 結果を見れば、無茶苦茶なリーダーかもしれないわ。

 でも、それは、人間誰しもあるところ。

 ジン様は、完璧ではないわ。

 そこが、いいかもしれないの。


 自由都市のコルテスやオストマルク王国では、エルフは差別の対象だったの。

 子供には、石をぶつけられたわ。

 売り物もふっかけた値段を言ってきたりするの。

 あやうく奴隷商人に売却されそうになったこともあるわ。

 そんな酷い目にもあっているの。

 そこを助けてくれて、導いてくれるのがジン様。


 私が、やらなきゃならないことが多いほど、幸せを感じるの。

 ジン様の秘書に指名された時、ほんとにビックリしたわ。

 興奮をおさえるのに苦労したの。

 だって、メグミ様に、私の本心がバレたら、大変なことになりそうだもの。

 両親と再会した時も、メグミさんが隣にいたから、私の本心は伝えられていないわ。


 せっかくジン様と二人っきりでいれる時間が増えたのに、ホブゴブリンのゴブコちゃんを押しつけてきたわ。

 なにか嫌がらせで、計算しているのかしら。

 それとも、何か探りを入れようとしているのかしら。

 本心が読めないわ。

 ゴブコちゃんは、素直で優しいけど、まだまだ大人の仕事をちゃんとできるワケではないわ。

 確かに、『エルフの里』に行く際に、留守番とするのに、役に立ったわ。

 でも、グリーンゴブリンの騒動を治めることができなかったの。


 ゴブリン達は、ボヤ騒ぎを起こすし、乱闘や暴力行為、お酒を飲んで器物を破損したりしていたわ。

 でも、それは消防や警察組織がしっかりしていないから。

 そう、すべてランドルフが悪いのよ。

 そうなると任命責任で、ジン様が悪いと言う人もいるわ。

 でも、それは違うの、いくら出来の悪いランドルフでも、経験をさせなきゃ、成長しないの。

 

 私は、ジン様のことが好き。

 でも、この気持ちを知られてしまうと大変なことになるの。

 私は、この気持ちを悟られないように、冷静に対応して、できるだけ感情を出さないように努力はしているわ。

 ジン様は、全然気付いていないようなの。

 でも、他の女性メンバーには、気付かれているのかもしれないの。


 それで、皆から抜けていると言われる原因になっているなら仕方ないわ。


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