食堂でドワーフのショーティーとギャビーの話
食堂のカウンターで、ドワーフのショーティーとドワーフのギャビーが話をしている。
「ランスロットさんが【ディアトリマ】討伐に出っ放しで、全然道路の開発が進まないんだ」
「本当~。相変わらずね~。ジンさんは、よく抜けてるから~」
「風の精霊魔法で木を切ることはできるけど、作業スピードが全然違うんだ」
「そうね~。ランスロットさんも勇者だし、剣技も凄そうだからね~」
「それに、前からいる少し作業のできるゴブリン達は、【ディアトリマ】討伐でレベルアップや進化をしてるところだから、残りのゴブリン達では、なかなか仕事にならないんだ」
「あら~、大変ね~」
「そんな中で、ドクが【ディアトリマ】牧場の方にいたり、洋服店や製作所などの建築作業を手伝ってて、道路工事には手をかしてもらえない状態なんだ」
「本当~。相当抜けてるわね。あの人~」
「村から砦まで、200㎞もあるから、まだ半分も終わってないよ」
「まぁ。大変ね~」
「立派な勇者だと思ってたんだけどなー」
「あら~。やっと気づいたの~。あの人は、見かけダケなのよ~」
「そっ・・、そうなんですか?」
「あら。やだ。そうなのよ~。でもね~。安心しなさい。ちゃんと相談をする人がいるわよ~。メグミさん。そう、メグミさんに相談をしたら一発で解決してくれるから~」
「えー。はじめて知りました」
「そうなのよ~。あの人は、抜けてるから、しっかりしたメグミさんに話を通せば、すぐに解決してくれるの~。その後に、エルフのヴェロニカさんに報告をしておけば、問題ないわ~」
「いい情報を仕入れることができました。ありがとうございます」
「あら~。いいわよ~。洋服店のニフティも同じように悩んでいたのよ~。でも、メグミさんに相談したら一発で解決しちゃったのよ」
「あの洋服店には、メグミさんが絡んでいたんですね」
「そうなのよ~。裏で、色々と計画や段取りをしてくれて、オープンしているのよ~。ニフティも喜んでいたわ~」
「へー。そうなんですね」
「これを食べたら、さっさとメグミさんの所へ行ってらっしゃい。最近は、ジンさんが抜けていることがバレてきて、皆メグミさんの所に行くようになっているわ。あまりに忙し過ぎて、エルフのサエルミアさんを秘書にして、サエルミアさんの手まで借りているようよ」
「そうだったんですね。サエルミアさんがメグミさんの所で秘書をしているんですか」
「そうなのよ~。ジンさんなんて、全然忙しくないのに、いっぱい秘書を雇っているじゃない。あれ、絶対おかしいわよ~」
「そうなんですか?」
「本当~。イヤになっちゃうくらい、最終的には、メグミさんが後片づけをしているのよ~」
「でも、ジンさんの方には、ヴェロニカさんも、いるんでしょ?」
「そう・そう。もう~。ヴェロニカさんもいるけど、ヴェロニカさんが、ジンさんの部下の尻拭いばかりしてるのよ~」
「えっ。そうなんですか」
「ヴェロニカさんの妹のアリエルさんとホブゴブリンのゴブコちゃんっているじゃない。全然ゴブリンの躾けや管理の仕事ができなくて、全部ヴェロニカさんがやっているのよ。」
「そういえば、この前ボヤ騒ぎもありましたよね」
「そうなのよ~。あれ、緑ゴブリンが暴れたじゃない。片付けは、全部ヴェロニカさんなの。そして、ジンさんがゴブリンに威嚇するまで続いていたわね」
「そうなんですね。まぁ、あれからはゴブリンも大きくは騒いでいませんね」
「でもね。やっぱり、あれだけゴブリンがいたら、怖いかもしれないわ。やっぱり警察は必要よね~」
「あれ、ランドルフさんが、ゴブリン隊長兼警察署長と聞いていますが・・」
「冗談じゃないわよ。あの飲んだくれのランドルフでしょ~。あんなのに、警察を任せるなんてどうかしているわよ。絶対に反対だわ」
「でも、ランドルフさんに、ゴブリン達はなついていましたよ」
「あれは、みせかけよ。甘やかしてくれるから、ランドルフのところにいるのよ。騙されちゃいけないわ。あの飲んだくれのチャランポラン男に」
「ランドルフさんに何かあったんですか?」
「あの男、遠征が無ければ、いつも遅くまで食堂で飲んだくれているのよ。ビールが好きかもしれないけど、こっちも営業時間があるの。いいかげんにして欲しいわ~」
「そうだったんですね。」
「そうなのよ~。ランドルフは、お酒が好きかもしれないけど、勝てるワケないのにドワーフに酒で勝負を挑んできたの。どうなるかわかるじゃない?」
「自殺行為ですね」
「本当~。負ける戦いをして、無駄なお酒の飲み方をされたんじゃぁ、この食堂を経営する身にもなって欲しいわ~。ビールが品切れしたらどうしてくれるのかしら~」
「そんなことになったら、ビールが飲めない皆が、暴動を起こしますね」
「ね~。怖いでしょ~?」
「そんなことまで、起こりそうなのですね?」
「今は、村が小さいから何とかなっているけど、早めに片付けとかないと、もっと問題は増えるわよ」
「ひー。ちょっと脅かさないでください」
「こんな件も、メグミさんに相談すれば、道路と一緒に解決できるわ~」
「ごちそうさまでした。食べ終わったので、このままメグミさんの事務所へ行ってきます。ありがとうございました」
ドワーフのショーティーは、急いでメグミの事務所へ駆け込みました。