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領地経営クエスト  作者: 小説クエスト
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小麦栽培

 農業は、『領地経営』に必要不可欠な要素である。


 農作物を全て輸入に頼ることについては、理論上は可能である。

 しかし、事故や凶作や貿易摩擦などが起こると、すぐに輸出のストップをされて、食料問題を引き起こしてしまう。

 食糧については、自給自足が望ましいとされている。

 まずは、自分の領地で農業をする必要があるのだ。


 農業自体については、作業の準備や作業の手順を確定しておけば、ある程度対応が可能なモノである。

 ただし、収穫するまでには、どうしても手間と時間がかかってしまうのである。



 小麦の生産については、秋に種をまいて、翌年の6〜8月頃に収穫になる。

 北海道であれば、9月や10月頃に種まきをして、10月頃に出芽し、冬を越して、春から夏に成長する。

 7月頃には、黄金のカーペットのようになっているのだ。

 7月~8月頃に収穫をして、収穫後の麦は、乾燥調製貯蔵施設に運ばれて、乾燥が行われる。

 九州などの温暖なエリアでは、6月に収穫できるのである。 


 そして乾燥された小麦は、パンやパスタやうどんなど、用途に応じた製粉が行われることになる。



 小麦を育てるには、どれ位の広さが必要であるか、知っているだろうか?

 1㎡の栽培で、うどん約1杯分が、やっとできる。

 1m×1mで、1㎡となる。


 つまり、10m×10m=100㎡となり、1年間で100杯分のうどん位しか、生産できないのである。

 素うどんならば、300円もしないのだが、100杯あったとしても、売上でも30,000円にもならないのだ。

 残念ながら、小麦などの食糧は、大量生産をしなければ、とても儲かるような商品ではないのである。


 実際、農場については、土地が余っているから、土地の景観保全などためにされている場合も多い。

 国から補助金を投入されて、やっと事業として成り立っている場合もあるのだ。



 では、小麦を育てるには、土地と水の他に、いったい何が必要か、知っているだろうか?


 まずは、小麦の種子が必要となる。

 そして、土の酸性を中和させるための石灰、土壌改良のための堆肥、肥料となる元肥もとごえが必要となるのだ。

 石灰をまくことを知らなければ、小麦を育てることができないかもしれないのである。


 小麦は、土の酸性が高いと、育ちにくい作物となっている。

 その為、あらかじめ耕作地に石灰をまいて、土地を中和させるのだ。

 有機石灰をつくるには、貝殻を砕いて使ったり、卵の殻をスリ潰す方法も可能となる。

 土に栄養分を与え、作物を育てる環境にするために必要となるのが堆肥となる。

 広葉樹の葉や牛糞などを熟したようなものが、堆肥となっている。

 元肥もとごえとは、種が栄養を取るために、土の中に入れておく肥料のことである。


 種をまく2週間前には、耕作地を小麦にあったものにする必要がある。

 土を深さ10数cm程度に、鍬などでよく耕さなければならない。

 そこに、堆肥1㎡に1㎏、石灰100gほどをまいて、土の中に空気を混ぜるのだ。

 そのまま、1週間程度置いて、土を馴染ませる。

 種まき1週間前頃に、今度は元肥をまくのだ。

 1m²あたり、70g程度を全面にまいて土に混ぜ込みをする。

 元肥が、種の栄養になって、成長を助けるようなのである。

 ただし、現在の元肥は、窒素、リン酸、カリウムなどの無機養分の入っている化学肥料である場合が多い。

 油粕あぶらかす、米ぬか、草木灰そうもくばい、魚粉、鶏糞、骨粉など、植物性や動物性の有機物を原料にした、有機肥料でも対応できる。



 次は、小麦の栽培についてである。

 幅60から70cmの間隔で、高さ約10cmの土を直線状に盛って『うねたて』をつくる。

 盛られた所である『うね』のところに、種をまきく。

 この『うね』と『うね』の間を溝と言う。


 小麦の種は、土の中に水分が多すぎると、呼吸できなくなってしまうので、注意が必要である。

 種まきは、雨の翌日などは避けるべきなのだ。


 種まきは、『うね』に10cm間隔で、深さ数cmの穴をあけ、2、3粒ずつ種子を入れて、パラパラと土をかぶせる。

 この種まきの方法を『すじまき』と言う。

 種子をまいたら、10日から2週間ほどで、地面に芽が出てくる。

 種まきから、およそ1ヶ月後、葉が4つ程度ついた頃に、麦踏みを始める。

 麦踏みは、土が乾いた状態で“横歩き”のように、麦の上全体を踏んで歩くことである。

 この後、1ヶ月後など、計4回くらい麦踏みを行う。

 同じ要領で、土が乾いた状態の麦踏み日和に実施する。

 3月に入ると、気温が上がりてきてしまい、麦が茎立ちしてくるので、麦踏みをしてはいけないのである。

 ※麦踏みをしなくとも育つが、麦踏みをすることで、より多くの実が取れるようになる。


 春になって、暖かくなると、雑草が増えてくる。

 雑草は、小麦の成長の妨げになるので、根こそぎ、雑草をこまめに取り除く必要がある。


 小麦の敵は、虫だけではなく、病気の場合もあるので、様子を見て対応する必要がある。

 小穂ができた穂は、春の到来とともに茎の中で成長して、葉鞘から顔を出す。

 穂が出て、4~5日経過すると、花を咲かせる。

 小麦の花は、普通の花のような花びらはなく、花の中におしべとめしべが有り、自家受粉を行う。

 他の多くの植物のように、虫や風が花粉を運んだりする必要はない。

 受粉が終わると、小麦の実が育ち始める。

 2週間ほど経過すると、ミルク状のでんぷんが溜まってくるのである。


 そして、収穫の時を迎えることになるだ。


 小麦をつくるにも、大変な時間や労力がかかるのである。

 ただ、何も考えずに、種をまいて、水をかけたら収穫できるモノではないのだ。


 

 特に注意しなければならないのが、その土地に、その植物が育つかどうかも、知っておかなければならないのである。

 コーヒーやサトウキビや果物などは、どこでも収穫できるような植物ではない。

 全国各地に特産品があるのは、気候や湿度や日照時間などの影響もあるのである。


 農業では、収穫できるまで、どうなるか分からない。

 せっかく育てることができても、動物などに横取りされたり、台風によって一発でアウトになることもあるのだ。

 つまり、2年間近く経過しても、収穫ができなければ、無収入の場合もあり得るのである。



 もともと野菜などの植物には、旬が存在しており、時期外れのモノは食べられないようなモノだったのである。

 しかし、昨今は、ビニールハウスの技術も進んだこともあるために、年中同じ野菜などが食べられるようになっている。 

 スーパーマーケットに行けば、季節を感じない食材ばかりとなっていることも多い。

 その為、現代人については、旬の食材について、知らない人も多くなっている。



 やっと、エルフ達が農業をすることになった。

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