緑ゴブリンとホブゴブリンの調査結果
緑ゴブリンとホブゴブリンの調査をしている。
大賢者のメグミの仮説では、ゴブリンのレベルが22になるか、知能がある程度上がると、ホブゴブリンに進化するのではないかと言われていた。
「うん。これで、メグミの仮説が証明されたな」
第二次【ディアトリマ】討伐から戻って来た、ホブゴブリンとゴブリンのステータスの確認をしていた。
低レベルで、ホブゴブリンに進化した者は、全員知能が高かった。
ホブゴブリンでもあるゴブコとインテリジェンスである知能を比べると、レベル13のゴブコの方が高くなっている。
低いレベルで、ホブゴブリンに進化できる者ほど、高い知能があるようだ。
つまり、ゴブコが緑ゴブリンの中で、一番の才女であることになる。
「ゴブコ、良かったな。ホブゴブリンの最年少記録を保持しているぞ」
「よくわかりませんが、ありがとうございます」
ゴブコも、良くわからないまま、お礼の言葉をいっている。
「実は、第二回の【ディアトリマ】討伐で、レベル15でホブゴブリンになった女性がいるのだが、その子は18歳だったんだ。だから、レベルと年齢で、ゴブコが最年少記録を保持していることになるんだよ」
「そうだったんですか。初めて知りました」
「でも、ちょっと困った問題も出てくるんだ」
「何が問題なのですか?」
ヴェロニカが、質問をしてきた。
「いや、実は、ホブゴブリンは皆ゴブコ位に賢い者だと思い込んでいたんだ。それが、伍長と同じ位となると、考え方や方針を色々と変えなければ、ならないかもしれないんだ」
全員が伍長クラスとなると、ホブゴブリンに進化しても、ゴブコと同レベルの仕事ができるか怪しくなってくる。
「伍長さんも、最近は文字の読み書きを勉強していますわ」
ヴェロニカが、答えた。
「そうなんです。私と一緒にエルフさん達からも色々と教わっています」
ゴブコと一緒に、勉強もしているようなのだった。
「えっ、エルフの誰から教えてもらっているの?」
「それは、ヴェロニカさんやアリエルさんやエクセリオンさんやエフィルロスさんに教えてもらっています。皆優しく教えてくれますが、一番エフィルロスさんが熱心に教えてくれます」
ゴブコが、答える。
「そうなんだ。エフィルロスは医者でもあり、教育者でもあるので、そっちの方面を希望していたな」
「そうなんです。エフィルロスさんは、医学の知識もあり、大学で教えることができる位、博学ですよ。才女のサエルミアさんにも負けない位です。私は、エフィルロスさんから、色々なことを教えてもらいました」
ヴェロニカの妹のアリエルが、興奮しながら、エフィルロスのことを誉めている。
「だって、私の学校の先生なんだもん」
アリエルは、エルフの学校で、エフィルロスに先生をしてもらっていたようでもある。
「なるほど、そうなのか。じゃあ決まりだ。『ホブゴブリンの学校』を建設しよう。エフィルロスも学校の先生がしたいと前の会議で言っていた。それじゃあ、昼間は仕事で、夜間学校で読み書きを学ぶことにしよう」
「わー。ありがとうございます。」
ホブゴブリンのゴブコは喜んでいる。
ゴブコは、自分自身の仕事もあるが、夜も独学での勉強をしており、しっかりとした所で学ぶことができることに感謝をしているのである。
「ゴブコ。期待しているよ。しっかり学ぶようにしてね」
独学で、なんでもできる天才もいるが、勉強では環境が重要である。
今は、インターネットで検索すれば何でも調べることができるが、異世界ではそんな便利なモノはない。
「早速、エフィルロスには、1,300名位の生徒のいる学校の先生をしてもらおう。結構、準備大変だよな」
しっかりとした教師がいるところで、学ぶことができれば、成長の度合いが高くなる。
ゴブリンならば、ランドルフで調度いいが、ホブゴブリンになると知能が発達する。
躾けは、軍隊式にしているので、教育部門はエルフが調度いい。
今いる1,300名近くのゴブリンが、レベルを上げて、ホブゴブリンへ進化することになることが決まっている。
そうなると、知識が豊富で、教えることに熱心なエフィルロスが、教師をする適任となるのだ。
「ホブゴブリンに進化させるには、【ディアトリマ】討伐が手っ取り早い。恐鳥の討伐にでレベルアップもできるし、食糧も手に入るし、乗り物にもなる。まさに、一石二鳥・三鳥と言ったところかな」
ゴブリンは、問題を多く起こすので、ホブゴブリンへ進化させるには、この地域では【ディアトリマ】討伐が必須である。
なかなか拠点付近は、【ディアトリマ】以外は、モンスターが弱いエリアとなっており、近隣ではゴブリンばかりとなる。
ヴィエラ山脈を越えた、マザーレイクまで遠征をすれば、他の亜人なども多いが、遠征で片道1ヶ月位かかってしまいそうなので現実的ではない。
ホブゴブリンの学校を建設することになったので、メグミとウォーレンとドクとショーティーとエフィルロスに連絡を回している。
当分は、エフィルロスに、ホブゴブリンの学校の先生をしてもらうことになるが、学校の建設も急ピッチで必要となる。