遠征の武器装備
第二回の恐鳥【ディアトリマ】討伐のゴブリンの武器装備は、青銅の剣、皮の鎧、皮の兜、鉄の盾だった。
強い武器を装備させても、レベルが低かったり、技能が低いと、充分に使うことができない。
これは、現実社会と同じである。
高級なモノを持っていても、使ったことが無ければ、上手に使えない。
安物でも、高級なモノでも、使えなければ同様に無価値となる。
つまり、『豚に真珠』や『猫に小判』と同じようになるのだ。
命を守る為に、鉄の盾をゴブリンに装備させるが、他に重い重量の装備をさせることは難しい。
重たすぎる装備は、動きが鈍くなってしまう。
そもそも、装備が重たすぎると、通常の移動をすることもできなくなる。
移動が遅いと【ディアトリマ】の攻撃が、避けれなくなる恐れもある。
モノは、使えるようになって、はじめて役に立つのである。
現実の社会でも、完璧な装備をするよりも、機動力重視にした方が、何倍も効果がある時もある。
RPGでは、何でも装備できるようになっているかもしれないが、この世界では、そもそもレベルや条件を満たしていなければ、武器や防具の装備は重たすぎて、できないような設定となっている。
第三回の【ディアトリマ】討伐も検討しているので、ゴブリンについては、同様の装備をザックリと大量購入することになる。
ホブゴブリンが、このまま装備では、次の遠征では見栄えも良くない。
その為、ホブゴブリンに進化した者については、鉄の鎧、鉄の兜、鉄の盾をの防具を基本装備とする。
そして、鉄の剣、鉄の斧、鉄の槍、鉄の弓、鉄のナイフ、鉄のショートソードの武器は選択制にすることを考えた。
武器には、色々な種類があるが、ホブゴブリンは、特殊武器を使用することは難しい。
熟練度が高くなければ、特殊な武器を使うこともできない。
特殊な武器は、熟練度が低ければ、通常の武器よりも何倍も弱くなってしまう。
それも、相手に当たらなければ、全くもって意味がなくなる。
拠点の村では、鍛冶屋もできていないので、ブルージュの武器屋と防具屋で、武器と防具を購入することになる。
そして、余分に購入すれば、大量購入になるので、2割引きの値引きしてくれている。
前回のと合わせても、戦争のないブルージュでは、珍しい大商いとなっているからでもある。
鍛冶屋と武器屋が、拠点で武器や防具生産できるようになるまでには、まだ相当時間がかかる。
拠点の村で、チーズ、卵、牛乳、小麦、牛肉、豚肉、酒、ビール、生活用品を購入している。
補給を怠ると、すぐに欠品を出すことになる。
ブルージュは、人口も多く、商店街についてや、色々な部分でも都市として繁栄している。
そのため、ブルージュには、1週間に1度は訪問することが、もはや義務となっている。
ブルージュのギルドにて、麓の村から、3組の出稼ぎ家族の移住の対応をしている。
直接、拠点の村へ来てもらうよりも、【テレポート】で瞬間移動をして、連れて行く方が確実でもあるからだ。
ギルドから、あと2組麓の村の親族から、移住の依頼を聞いている。
特別ボーナスも出すので、とても調子が良くなっているようだ。
無から有をつくることは、非常に難しい。
一から、二や三に増やすことは、意外と簡単になってくる。
初動が、一番難しいのである。
発展については、ひとつの段階を超えると加速度的にスピードが上がってくる。
人口についても、同じようなものである。
そうそう、人が住んでいない場所に、人が住もうとはしない。
人が住んだり、人が移動しているから、町や都市になるケースが多い。
それは、東海道を見ればわかる。
東海道五十三次と言われる街道を知っているだろうか?
江戸時代に整備された五街道の一つであり、東海道にある53の宿場を指す。
東海道に沿って、東京~京都までの53の宿場町があり、人が通る大きな道だったので、旅籠が多くあったのだ。
旅籠とは、宿や旅館やホテルと思えば、そう間違いではない。
関ヶ原の戦いで覇権を握った徳川家康は、政治支配力を強固なものにするため、江戸の日本橋を起点とする5つの陸上の幹線道の整備に着手した。
その5つの街道の中で、最も重要視されたのが、行政の中心である江戸と京の都を結ぶ東海道であった。
残り4つの街道は、中山道・日光街道・奥州街道・甲州街道となっている。
徳川家康は、重要な幹線道路である東海道に、公用の使者や荷物を無料で次の宿場まで送り継ぐ『宿駅伝馬制度』を設けた。
必要な人馬は、宿場が用意し、輸送範囲も隣の宿場までと定められていたのだ。
そして、隣の宿場に着くたびに、荷物を新しい人馬に積み替えて運ぶ仕組みだったのである。
東海道は、スタート地点が東京の日本橋で、ゴールは京都の三条大橋となっており、距離は、約492kmとなっている。
ほぼ、現在の国道1号線に沿っているのが特徴だ。
江戸時代の人達は、この長い道のりを、約半月近くかけて移動していたのである。
単純に距離を日数で割ると、1日当たりの平均歩行距離は、約33〜38kmとなる。
歩く速度を、だいぶん早足の時速5kmで計算しても、毎日平均で7時間前後は、歩くことになっていた。
道中には、『箱根の山越え』など、上り坂の難所もある。
その上、木曽川・長良川などの大きな河川が、大雨などで増水すると、数日にわたって足止めを食うこともあったのである。
やがて、それぞれの宿場を中心に、宿場町が栄えるようになった。
そして、その宿場や道路の側に、旅籠、茶屋、商店などが立ち並んだ。
東海道の53の宿場には、合わせて3,000軒近くの旅籠があったと言われている。
拠点の村も、ブルージュ同様の都市にしたいが、それほど簡単に、村が都市になることは無い。
何事にも、ちゃんと順番があるのだ。
その順番を飛ばそうとしても、結局は上手くいかないことも多い。
『領地経営』では、時間をかけなければならない部分については、時間をかけなければならないのである。