表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
領地経営クエスト  作者: 小説クエスト
7/90

作戦会議

 オストマルク王国の王都に戻ってくると、まだ残ったメンバーで作戦会議をしていた。

 様子を見ていると、メグミとウォーレンを中心に、真剣に話し合いをしている。

 議論は、白熱しているようであった。


「この話は、これで上手く行きそうですかな」


「私は、それがいいと思うワ」



 ドアを開けて戻ってきた事を伝える。


「ただいま戻ったよ」


「お帰りなさい」

「お疲れ様でした」


 と皆が出迎えてくれる。


「まだ、ランスロットは顔を出さないのか?」


「そうなの。まだ連絡も取れていないノ」


「問題ですな。どうしましょうか?」


「うーん。困ったな」


 ウォーレンも流石に心配をしている様子だ。

 すでに集合時間から、2時間以上経過していた。

 流石に、朝寝坊は考えられない時間となっている。

 絶対に、おかしなことになっていることが想像できる。


「お昼休憩にするから、ランドルフは、ランスロットを探しに行ってくれないか?」


「ハィッ。わかりました♪」


 ランドルフは、返事をすると軽快に走っていった。

 なんとなくランドルフの考えが読めている。

 ランドルフは、緊張する作戦会議などが、好きではないのだ。

 別の言葉でいえば、鬱陶しくなっていたのだが、その場から上手く理由ができて、『逃げる』ことができたのだ。



 ランドルフ・オブライエンは、ソードマスターの40歳の男性だ。

 金髪なのだが、なんとなくモテそうな顔ではない。

 身長は188㎝と大柄なのだが、いい年なのに、結婚もしていない。

 彼女も・・、いそうにない。

 決して、女が嫌いなワケでも、男が好きなワケでもないので、そこは安心してもらいたい。

 ただ・・、普通の女性からは、モテないだけである。


 もともと、勇者召喚時の従者として採用されていた、貧乏貴族の三男坊なのだ。

 本来ならば聖騎士としてパラディン職になることが普通なのだが、魔法が一切使えず、剣に生きることになった。

 本人としては、贅沢のできる王都での暮らしも良いが、親戚からバカにされるのも嫌なのだろう。

 トリスタン王に頼めば、王都での士官も十分可能なはずなのに、それをしなかった。

 器用ではないが、辺境地にも付いてくるので、忠誠心はあるのかもしれない。



「休憩。休憩」


 これを言わないと、いつまでたっても作戦会議をしているかもしれない。

 クールダウンをさせるのも上司の務めなのだ。


 人は長い間、集中して仕事をすることが難しい。

 上手に休憩を与えながら、仕事をしなければ、キャパオーバーをしてしまうこともある。

 気分転換も大切なことなのだ。



 休憩ついでに、トイレの方に向かった。

 そして、トイレに行ってから、手を洗っている。

 このオストマルク王国は、ちゃんと上下水道が通っているのである。


「やっぱり、上下水道は必要だな」


 私の記憶が確かなら、中世ヨーロッパは下水の処理ができてなく、道路に糞尿を垂れ流していたようなのである。

 あまりにも臭いので、香水が流行ったと伝え聞いている。

 ここは、異世界なので、中世のヨーロッパと似ているようではあるが、まったく違う別の世界なのだ。


 やはり、オストマルク王国は、都市機能として、この世界の上位のランクになっている。

 まだまだ、この世界では、発展途上の村や町も多い。

 この辺りの都市機能については、オストマルク王国は流石である。



 昼ごはんは、メグミが会議の邪魔にならないように、サンドウィッチを全員分つくってくれていた。

 バターが塗られている卵サンドがメインとなっている。


「いただきます」

「うん。美味い」


 メグミは料理についても、上手である。

 流石に、料理人には負けてしまうかもしれないが、遠征時にとても重宝した。

 サンドイッチは、会議時や携帯用としても有用である。


 軽食であるサンドウィッチを頬張りながら、会話をする。


「領地経営の方向性と具体案は進んだかな?」


 サラッと重要なことを聞いてみる。


 すると、

「バッチリです」

 と返事がある。


 サンドウィッチをゴクリと呑み込むと切り出した。


「では、聞かせてくれないか?」

 と言った時、ランドルフはランスロットを連れて帰って来たのだった。



「ギー。バタン」

「遅れてすみませんでした」


 開口一番、頭を下げて謝ってきた。



◇◆◇◆◇




 ランスロット・パウエル。


 金髪の30歳の男性であり、シールダーの役割を担っており、守備力が極めて高い。

 身長は、高めで185㎝となっている。

 レベル40のクラスアップを行った後、レベル50になると勇者のアイコンが出てしまったのだ。

 なんと、この世界の普通の住人から、勇者を排出してしまったことになる。


 異世界人ならばわかるのだが、守備も攻撃もできる本当に珍しい例なのだ。

 性格もシールダーらしく、質実剛健としており、内に秘めた力は相当なものがある。

 第二回の魔王討伐の際には、私と一緒に行動し、最前列で魔王を倒したのだった。

 彼がいなければ、魔王を倒せたかわからない位だ。

 まさに鉄壁と言っても良い高い能力を持っている。

 このパーティーの壁となってくれる貴重な人物なのだ。




「何かあったのか?」


「そっ、それは、・・」


 すると何があったのか、包み隠さず話してくれたのであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ