エルフ達との面会を終えて
新規のエルフ達の面会が終わると、会議室から、隣にある指揮所の事務所に戻った。
「フー。ひと仕事終わった。ゴブコ。留守番ありがとう。誰か来たりした?」
「はい。ドクさんが、【ディアトリマ】牧場の高台や納屋や倉庫が完成したとの報告がありました」
「そうか、他には?」
「ララリアさんから、【ディアトリマ】牧場に老人を雇う件での報告の書類が届きました」
「なるほど、ヴェロニカそれでは、手続きをしておいてくれ」
「はい。わかりました」
「別件ですが、ドワーフのヒッキーとスイフトさんが、道具屋をつくりたいと言っているのと、ドワーフのニフティさんが洋服屋をつくりたいと言っています」
「ありがとうヴェロニカ。なるほど、製作所の建設が進んでいるので、それを見てドワーフ達も制作意欲が湧いているのかな。メグミとウォーレンとドクとショーティーにも、このことを伝えてくれ。あとヒッキーには、紙工場とポーション工場の建設も手伝ってもらうことになる」
「はい。わかりました」
「ヴェロニカとゴブコ、他に困った点はある?」
「緑ゴブリンの皆さんは、だいぶん大人しくなったとは言え、自分勝手な行動をするので、ドワーフさんやエルフさん達からも苦情が多いです」
ゴブコが、困った顔をしながら、話をする。
「それについては、私もゴブリン達の対応が重要であると思います」
ヴェロニカは、冷静に話をする。
「うーん。【威圧】で、大人しくはしたが、緊急での対応が必要となるな」
「メグミさんが、面会が終わったら、ミーティングを開きたいと言っておられ、今も座っておられます」
ゴブコが、メグミがイスに座っていることを伝えてきた。
「うん。そうか」
そのまま、事務所でミーティングをすることになった。
「メグミも来てくれていたんだ」
「そうヨ。色々と相談したいこともあってネ。皆が、いる時の方がいいと思っテ」
「そうだな。エルフ達の方向性も見えてきたので、全体の見直しも必要となりそうだからな」
「じゃあ、ミーティングを始めよう。皆集まって」
事務所には、私、メグミ、ヴェロニカ、アリエル、エクセリオン、ゴブコ、サエルミアの7名がいる。
「サエルミアは、こんなミーティングは初めてだね。メグミとは仲良くなれた?」
「はい。聡明なメグミ様と話をしていると、私の未熟さを思い知らされます」
「またァー。サエルミアちゃん謙遜しちゃってェー」
「いえ。私はそんな謙遜する性格ではありません。」
「そおォー。ありがとウ」
メグミは返事をすると、サッと顔つきが引き締まった。
「皆に集まってもらったのは、ちょっと色々と段取りをしなければならないからなノ。ゴブリンちゃんとホブゴブリンちゃんの件。村の計画。ドワーフさんの件。エルフさんの件。ディアトリマの件。大工の件。いっぱいあるワ」
「そうだな。ひとつひとつ解決しないとな」
「もうサエルミアちゃんには、大体のことは説明しているノ。この村の発展に必要なことは、伝えているワ。まずは、ホブゴブリンちゃんの件ね。」
「そうだな。今後、進化したホブゴブリンが、大量に戻ってくるので、ステータス確認などの準備が必要となる。ヴェロニカは、ドンドン仕事をアリエルとエクセリオン、そしてゴブコに振ってね」
「一体・一体チェックをして、ホブゴブリンちゃんの特徴を把握して、進化の謎を完全に解明するワ」
「ホブゴブリンになれば、一般人と同等以上になるから、十分に戦力としてカウントできる」
「そうネ。ドワーフさんやエルフさん達と比べると能力的には全然敵わないけど、今の拠点では十分ネ」
「第三回の【ディアトリマ】討伐も、考えないといけないな」
「そうなノ。労働力としてホブゴブリンちゃんを増やすには、一番効率的なノ。ひとつ提案があるノ。データをしっかり取るのだけど、次回は、ホブゴブリンに進化できなかったメンバーと緑ゴブリンちゃんのナンバーが若い順から、出兵をしてほしいの。」
「そうなの。なんで?」
「だいたいの仮説はできているノ。レベル22になれば、ホブゴブリンに進化することは確定ネ。ゴブコちゃんを見ていると、知能指数が関係しているんじゃあないかしラ。女性の知能指数が高そうなゴブリンちゃんの方が、ホブゴブリンにレベルが低くて進化するのも、現場で確認できているノ」
「ふーん。そうなんだ。流石の分析力だね」
「ホブゴブリンに進化させるには、レベルを22にする方が早そうなので、力が強い緑ゴブリンを連れて行く方が効率的となりそうなノ。」
「そうか。じゃあ次の【ディアトリマ】討伐では、そのようにしよう。そして、ホブゴブリンに進化した者2名で、チームリーダーと副リーダーを任せてもいいかもしれないな。固定メンバーだけでは、時間がかかり過ぎる」
「ホブゴブリンに進化すれば、緑ゴブリンちゃんの問題はおのずと解決するわネ。でも、緑ゴブリンちゃん以外にも他のゴブリンちゃんの部族もいるみたいネ。そちらの準備をしておかないとまた混乱するんじゃないかしラ」
「そうかもしれない。緑ゴブリンですら、この混乱状態になってしまったのならば、対策が必要だな」
「ホブゴブリンちゃん達は、エルフのエフィルロスちゃんをメインに教育をするのがいいかもしれないワ。仕事の時間と学校の時間を分けて、しっかりと対応をすれば、拠点の発展もしやすくなるワ」
「そうだな。ホブゴブリン用などの学校も必要だな。ヴェロニカ、ドクやショーティーにも伝えてくれ」
「はい。わかりました」
「【ディアトリマ】に騎乗できることがわかったので、選択肢が広がっているワ」
「そうだな。【ディアトリマ】は、特産品としても、乗り物としても活用できる」
「そうなノ。【ディアトリマ】を馬の代わりに、活用して行くことが大切だワ。ララリアに、鳥車の開発も要請するべきネ。ドクやショーティーやウォーレンにも、鳥車の大きさでの町づくりを進めるようにプラン変更をしなければならないかしラ。そのまま、ブルージュまで行けるようにすれば、交通網が繋がるようになるワ」
「そうだな。交通網の整備は大切だ」
「ドワーフさんも、やる気になっているし、エルフさん達も方向性が決まって、やるべきことは多いわネ」
「そうなんだ。多極的に対応をしなければならない状態となっていて、メグミ達にも、しっかり管理してもらわなければ、すぐにパンクしてしまいそうだな」
「わかったワ。皆で協力して、対応をしましょう。サエルミアちゃんやヴェロニカちゃん、アリエルちゃん、エクセリオンちゃん、ゴブリンちゃんもよろしくネ」
「はい。わかりました」
全員が返事をしている。
「町の発展には、大工さんが必要になっているワ。すでにブルージュには、何組か麓の村からの移住者が戻って来る予定なノ。もっと段取りをするからよろしくネ」
メグミがドンドンと提案をしてきている。
ブルージュへのお買い物と移住者の引き上げ作業をしに行くが、ヴェロニカやアリエル、エクセリオンにも、ホブゴブリンに進化と第三回の【ディアトリマ】討伐の準備対応の仕事をしっかりと落し込んでいる。