表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
領地経営クエスト  作者: 小説クエスト
66/90

食堂のオープンテラスにて

 夕食を食べに、メグミと一緒に、食堂へ来ている。


 メグミの機嫌は、良いようだ。

 【ディアトリマ】討伐では、魔法をほとんど使わず、杖でブッ叩いて、何匹もの【ディアトリマ】を戦闘不能の一歩手前にしていたからだ。

 ストレスを上手に発散できていたようなのだ。

 それと、麓の村の住人の移動が、本格的に開始したこともある。

 数字の結果が出てくると、嬉しいモノなのだ。



 食堂を任せているドワーフのギャビーは、せわしなく【ディアトリマ】の解体の仕事をしている。

 今日、届けた【ディアトリマ】の処理が、いっぱいあるからだ。

 夕食の準備をした後に、【ディアトリマ】の解体と下処理で、てんてこ舞いとなっている。


 前回同様、ドワーフのヒッキーやスイフトも手伝っている。

 麓の村から老婆は10名に増えており、前回来ていた5名は、ずいぶん慣れてキビキビと動いている。

 他の5名は、少し驚きながら、裏方の処理の手伝いをしている。


「うん。うん。よく働いているわネ」


「今日も、【ディアトリマ】料理かー」


 【ディアトリマ】が、この村の特産品にもなりそうである。

 そして、【ディアトリマ】の討伐をしたところなので、仕方がない部分も多い。

 食料問題の解決まで、時間はまだまだ掛かりそうである。



「ギャビーのつくってくれた【ディアトリマ】のレモンバターソテー。これは美味い」


「このレモンバターソテーは、サッパリして美味しワ」


「このサッパリは、たまらないな。こう何日も【ディアトリマ】ばっかり食べているのに、止まらないな。そして、この優しい味のスープのいい」


「そうね。うんうん。この食堂をつくったことは、大成功ネ」


 スープを飲んでホッコリしていると、外が騒がしい。


「ガヤガヤ、ガチャン、〇△◇、ハッハッハー」


 どうやら、グリーンゴブリンが、どんちゃん騒ぎをしているようだ。


「うーん。困ったな」


「これは、ちょっと騒ぎすぎネ」


 うたげではないのに、どんちゃん騒ぎは許されがたい。


「これは、規律違反だな」


「そうね。ちょっと、お仕置きが必要なのかしラ」


 グリーンゴブリンが、食堂に併設されているオープンカフェで食事をしている。


「ワイワイ。ガツガツ。キャッキャ。キャッキャガッシャン。ゴロンゴロン」


「あーあ。やっぱりな。これじゃ、ヴェロニカも怒るはずだ。そして、アリエルじゃ、とてもしつけはできないな。一発かますか」


 机から立って、オープンテラスへ歩き出した。


「おい!ゴブリンども!うるさいぞ!」

しつけがなってないなら、力づくで黙らせる!さっさと黙れ!」


 オープンテラスに出て、注意をしたが、言葉が理解できないようだ。


「ワイワイ・ガヤガヤ、◇▼※✖」


「良く聞け!忠告は、したからな!」


 早速、【威圧】のスキルを発動する。


「バタ」「バタ」「バタ」「バタ」


 1,300名近くのグリーンゴブリンが、一斉に倒れてしまった。


 【奴隷紋】の魔法アイテムを使用しても良かったが、【威圧】のスキルを利用した。

 しっかりとした躾けが、必要と考えたからだ。


「ゴブリンごときに、なめられたモノだ・・」


 いくらなんでも、ゴブリンですら統制が取れないようであれば、村としても当然失格となる。

 ここは、領主として、最低限守らせる『規律』が必要であると考えたのだ。



 ヴェロニカとアリエルとゴブコと伍長ゴチョウが駆け寄っている。


「フー。どして、こんなことになったの?」


「ごめんなさい」

「すみませんでした」

「申し訳ございません」


 アリエルとゴブコと伍長ゴチョウ達が、ヴェロニカに謝っている。

 ゴブリンの躾けが、できていなかったからだ。


「まぁ、まぁ、大目にみてやって・・」


 ヴェロニカに対して、フォローを入れている。

 今まで、散々グリーンゴブリンを放置していて、ヴェロニカに負担をかけていた。

 今回、自分達の力不足を感じたに違いない。

 グリーンゴブリンのほとんどが気絶したり、身動きができない状態となっている。


「これで大人しくなるだろう。2日もすれば、ホブゴブリン達も戻ってくる。ほとんどホブゴブリンに進化しているから大丈夫だ」


 2日間、ホブゴブリン達を待っていれば良かったのだが、『領地経営』をするのに、余計なことに時間を取られるのはマイナスでしかない。

 ゆっくりと時間をかけて教育をするのも有りなのだが、チンタラとやっていると、時間がいくらあっても効果が出ない。

 まして、こちら側のストレスも溜まってしまうのだ。


「私も聖人君主ではない。ヴェロニカ達も、ゴブリンに対しては、聖女のような対応はしなくていい。このまま、ただのゴブリンのままならば、あくまで奴隷だ。風紀を乱すようならば、もちろん取り締まらなければならない」


「わかりました。ありがとうございます」


 ヴェロニカとアリエルとゴブコと伍長ゴチョウは、感謝をしているようでもあった。

 何でもかんでも、ニコニコしていれば、いいという事ではない。

 舐めてくる相手には、しっかりとお仕置きをしなければならない。

 力を見せなくてはならない時は、力を使う必要がある。

 『領地経営』や軍隊となれば、もちろんである。


「今後、この隊に入る場合は、【威圧】スキルを使ったほうがいいかな?」


「そうね。相手を見て、【威圧】スキルを使う必要がある相手には、使う方がいいんじゃないィ」


「うーん。できれば、強制的には、使いたくなかったんだけどな」


「そうも言っていられないみたいよ。ヴェロニカちゃん達も困るでしョ。ゴブリンちゃん位ならば、知能が低いから仕方がないんじゃないィ」


 理想と現実は違う。


 『領地経営』では、領地内の『規律』については、当然重要である。

 核戦争が起こった後の世紀末のような、無法地帯の領地にするつもりはない。


 グリーンゴブリンがいるのならば、ゴブリンの教育問題は、どうしても付きまとう。

 この問題を解決しないことには、領地の発展は有り得ないのである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ