第二回恐鳥ディアトリマ討伐
第二回目の恐鳥【ディアトリマ】の討伐に出かける。
前回は、【ディアトリマ】の生け捕りと討伐がメインであった。
今回の目的は、緑ゴブリンをホブゴブリンへ進化させることだ。
そのため、朝一番にブルージュで武器や防具、そして干し草も購入している。
緑ゴブリンの選ばれたメンバーに武器や防具を装備させている。
各自のリーダーにはHP回復用のポーションを配っている。
進軍をするので、軍がどのようなモノなのか緑ゴブリンに教育する目的なのだ。
「ハイッ。早く集合するように」
「今回は、軍事訓練としても、進軍する」
緑ゴブリンは、初めての行軍である。
歩いて進軍をするので、時間がかかるが、それは致し方無い。
森林地帯を通るのに、ちゃんとした道もないからだ。
甘やしていれば、いつまで経っても、ホブゴブリンに進化することはない。
領民が増えないのならば、領民となれる人材をつくることも『領地経営』となる。
かと言って、無慈悲にゴブリンに特攻を命じれば、すぐに玉砕することになる。
この辺りのバランスも大切になる。
進軍は、最高の訓練となっている。
近隣の弱小モンスターも倒すことも、緑ゴブリンのレベルアップにつながっている。
他部族のゴブリンは、我が軍を見るとサッと逃げてしまっている。
近づこうともしないので、今回は何もしない。
深い森林となっているので、帰りやすいように木を伐採して、道らしくしている。
そのあたりについては、上手に様子を見ながら、対応している。
辺境地から北側については、森林地帯となっており、弱小モンスターが多い。
だが、拠点から約40㎞離れた所から、草原地帯も増えてきており、恐鳥である【ディアトリマ】の生息地域となるである。
戦闘準備をしながら、1日は森林で駐屯することになっている。
野営をして、明日への準備をしている。
◇◆◇◆◇
朝から進軍を開始して、【ディアトリマ】の生息地へ進入している。
3匹の【ディアトリマ】のフォルスラコス種がいたので、討伐している。
この戦いによって、3名がホブゴブリンに進化している。
緑ゴブリン1である元の緑ゴブリンの長が、ホブゴブリンに進化したのだ。
緑ゴブリン1から、緑ゴブリン長と名前を変えている。
レベルが22になったのだが、ステータスとしても、伍長よりも大幅に高い。
ゴブリン35についても、ホブゴブリンに進化している。
こちらは、レベルが20だったが、女性である。
ゴブリン35から、ゴブアと名前を変えている。
ゴブリン4も、ホブゴブリンに進化した。
レベルが22の男性であり、ゴブイと名前を変えている。
幸先がいい。
【ディアトリマ】を見つけるとすぐに戦闘開始となる。
今回はチーム戦となっている。
6名で1チームとなる。
正面のリーダーが【ディアトリマ】の攻撃を受けとめるか、【ディアトリマ】を動けないようにするか、瀕死の重傷を負わせるか、3つに一つとなっている。
リーダーが完全にトドメを刺さないようにする必要があり、眠らせる魔法や痺れ魔法でも可能となっている。
トドメを刺すのが、ゴブリンの方が経験値稼ぎとなるからだ。
【ディアトリマ】は、側面からの攻撃を苦手としており、側面からの攻撃では、ゴブリンの攻撃でも急所を付けば一撃で倒れてしまう場合もあった。
一チームであっても、6名いるので、連携さえできれば、挟撃することも理論上は可能であるが、そこはゴブリンなので、そのようなチームワークを結成させることが難しい。
ホブゴブリンに進化したメンバーがいるチームは、リーダーとホブゴブリンの2方向から攻めることができるので、【ディアトリマ】を倒すことは、比較的難易度が低くなる。
昼までに、1/3位まで、ゴブリンがホブゴブリンに進化している。
もはや、名前のつけ直しは、後回しとなっている。
【ディアトリマ】のギャビーの解体作業を見ていたので、肉食の【ディアトリマ】を一匹解体して、その場で料理をしている。
冒険者ならではであるが、何も食べずに戦うことはできない。
すでに、お弁当や非常食も無くなってしまっていたからだ。
野戦では、現地調達の現地料理が多くなる。
冒険者メンバーも多いので、そのあたりのスキルは発達しているのである。
戦場で食べる【ディアトリマ】は、また別の味がして、美味しいように感じた。
野外でのバーベキューのようなモノだからだ。
【ディアトリマ】のガストルニス種が私に向けて突進してきたので、【威圧】のスキルを発動させた。
すると・・、ガストルニス種もフラフラしているのだが、味方の緑ゴブリンの方が倒れてしまった。
「しまった。やっちまった。緑ゴブリンの方が倒れてしまった」
「あーあ」
なんか、やな気分となったので、気分転換に【ディアトリマ】のガストルニス種に乗ってみた。
それは、ただ単に気分本意だった。
すると・・、すること【ディアトリマ】のガストルニス種に、騎乗ができたのだ。
【威圧】のスキルを使ったことにより、ビビッて完全に配下となってしまったようだ。
ちょっと、乗って走ってもらったが、配下の緑ゴブリンが倒れているのを思い出して、その場に戻っている。
どうも、馬よりも早く走れるようである。
もちろん、ユニコーンよりは遅い。
ランドルフが、こちらの様子に気づき、ニコニコしながら近寄って来た。
「ちょっと乗せて欲しいんですけど。いいですか?」
【ディアトリマ】のガストルニス種に、騎乗してみたいようだ。
「ああいいよ」
すると、ランドルフは・・、【ディアトリマ】のガストルニス種に、簡単に騎乗できてしまった。
「ヒャッホー」
ランドルフは、凄く喜んでいるようである。
「フッフッフッ。楽しそうだな・・」
【威圧】で圧倒して、従属させると、他の者でも騎乗できるようになることがわかった。