ディアトリマ牧場
恐鳥の【ディアトリマ】の牧場は、ヴィエラ山脈の麓の村に近いところに、急遽建築された。
「やっぱり【ディアトリマ】は、大きいなぁ」
2mを超える恐鳥なので、広大な敷地が必要となる。
麓の村までは、先に木を切ってあり、すぐに敷地が用意できたこともある。
予定をしていた拠点の村では、後々牧場をつくっても邪魔になることがわかっているので、麓の村側に牧場を設置しているのだ。
また、拠点の村に来た人が、【ディアトリマ】をパッと見て、気絶されても困る。
2mや3mの巨大な鳥である。
知らなかったら、ビックリするなと言う方が酷である。
ドワーフ達の考えでは、麓の村の住民も、巨大な2~3mもある【ディアトリマ】を見たら、びっくりして新しい町に、引っ越すかもしれないと思っての計画もあるようだ。
朝一番に、ドワーフ達へ、牧場を建築を依頼して、【ディアトリマ】の討伐に出ていた。
昼過ぎには、恐鳥の【ディアトリマ】ガストルニス種135匹、ドロモルニス種231匹を生け捕りにしてた。
すでに、捕獲していた食材の方は、ギャビー達に渡している。
他のメンバーなどは、すでに牧場に集合しているようなので、牧場へ行って【ディアトリマ】の放牧を試みることになる。
◇◆◇◆◇
「クエッツ!」「クエッツ!」「クエッツ!」「クエッツ!」
「クエッツ!」「クエッツ!」「クエッツ!」「クエッツ!」
「なんだ!ここは!滅茶苦茶うるさい!」
「ようこそ、おこしくださいました」
「ふぉふぉふぉ。新しくできました、ディアトリマ牧場ですぞ」
ドワーフのドクと参謀のウォーレンが出迎えてくれた。
そこには、鉄の柵で覆われた、巨大な牧場の中に、巨大な鳥がウヨウヨして、騒がしい。
「これ、大丈夫?」
鉄の柵を触って、確認してみる。
「今のところは、柵を破られておりません」
ドクが答えてくれているが、現状の話であり、未来については保証はないようだった。
「うん。じゃあ、ドク。柵などの強化の方もしておいてね」
「かしこまりました」
牧場は、安全第一となるので、やはり改良が必要となる。
念押しで、ドクにも見てもらうようにもしているのだ。
「ララリアは、どこかな?」
「では、すぐに呼んでまいります」
エルフのララリアは、近くにいたので、すぐに跳んできた。
「勇者様。何か御用ですか?」
「いや。今後のディアトリマ牧場について、少し話がしたいと思ってね」
「そうでしたか」
「何かあれば、ドワーフのスタッフィーに聞いてみるようにしてくれ。そして、スタッフィーでも難しいのならば、ドクに相談するといい」
「わかりました」
「牧草が足りない可能性が高いと思っている。エルフ達で協力して、ディアトリマの牧草を準備することはできそうかな」
「すみません。やってみなければわかりません」
「そうか。では、近隣の都市で、干し草を大量に購入することにしよう」
「それと、【ディアトリマ】のガストルニス種とドロモルニス種の鑑定結果は覚えているか」
「はい。ガストルニス種が2m位のネズミ色や茶色の羽で雑食。ドロモルニス種は3m位の白色やネズミ色の羽毛で草食ですね。特徴としては、ディアトリマの他の種と比べて丸っぽい感じがすることですね」
「うん。そうだ。ドロモルニス種の方が、草食なので牧畜に向いていると思う。だが、それは牧畜をやってみなければわからに部分も多い。やってくれるか?」
「はい。わかりました。私のできる限りでやってみます」
「では、エルフのララリアは、このディアトリマ牧場の主だ。色々とディアトリマについて研究をしてくれ。」
「そして、増員などについては、私かメグミかヴェロニカに、いつでも言ってくれ。今の所、空いているエルフに手伝ってもらうことは構わないが、その内他のエルフにも直接仕事が舞い込む。あまり、エルフ仲間に頼り過ぎないようにもして欲しい」
「わかりました。試行錯誤してみます」
「頼んだぞ!」
【ディアトリマ】牧場を見学している。
やっと、しびれたり、寝ていた【ディアトリマ】も全員起きて、とんでもない騒音を出している。
「クエッツ!」「クエッツ!」「クエッツ!」「クエッツ!」
【ディアトリマ】もストレスが、かかっているのかもしれない。
今まで住んでいた場所から移動させれて、拠点の村の牧場に来ているのだ。
おとなしくなってくれることを願おう。
ガストルニス種とドロモルニス種を見ていると、ガストルニス種の方がスピードがあるように思える。
どちらかと言えば、ドロモルニス種は、おっとりとしており、ノソノソと歩いていることが多い。
それに比べて、ガストルニス種は、しょっちゅう走り回っている。
広い牧場だからいいかもしれないが、今後、もっと多くの【ディアトリマ】が増えれば、また対応をしなければならないかもしれない。
詳しい研究は、エルフのララリアに任せるようにしよう。
紙工場についても、【ディアトリマ】牧場や緑ゴブリン部族の影響で、手が出しにくくなっている。
今後、確実なのは、この【ディアトリマ】牧場の【ディアトリマ】が、もっともっと増えることである。
上手に優先順位を決めて行かなければ、まわらなくなってきているようだ。