ブルージュでのお買い物
物資が足りなくなってきているようなので、ちょくちょく大都市のブルージュへ来ている。
ロジスティクスである在庫管理をしているとも言う。
ブルージュは、オストマルク王国の大都市の中でも、海産物は難しいかもしれないが、比較的品ぞろえがいい都市となる。
流石に、緑ゴブリン1,332名は、極端に増えすぎてしまっていた。
「こんなに、いきなりは、無いですよね」
ヴェロニカからも、相当キレられている。
顔だけではなく、声にも露骨に表れていて、ビックリしてしまった。
「ヴェロニカも、けっこう怖いのね・・」
それはさておき、しっかりと補給をしなければ、皆がヒモジイことになるかもしれない。
そして、「腹が減って力もでない」と皆からクレームを受けることも嫌だ。
「それは、勘弁してほしい」
一週間に最低でも1回は、ブルージュへ補給しに来なければ、さすがに料理人のギャビーも怒ってしまうだろう。
「クレームが来る前に、先に対応をしておこう」
このあたりの優先順位を間違うと致命傷になる。
拠点の村で、チーズや卵や牛乳などについても、生産活動ができていない。
その他、小麦や牛肉や酒やビールや生活用品も足りないのである。
足りないモノだらけの欠陥村でもあるので、その都度、改善が必要となるのだ。
「不足分は買い足せばいいが、それがしょっちゅうだと、皆にストレスを与えることになるな・・」
また、建物も増やさなければならないので、大工などの勧誘活動もあり、大都市のブルージュに来ているのもある。
それは、ヴィエラ山脈の麓の村の住人の親戚を呼び戻すためである。
縁故関係から、攻めるのも一つの手である。
無理やり馴染みのない人を勧誘するよりも、ヴィエラ山脈の麓の村に住んでいた元住人達をスカウトする方が早いからだ。
最悪、相場の3倍までならば、勧誘できるようにも、メグミが段取りをしている。
ブルージュのギルドには、ヴィエラ山脈の麓の村人の家族を連れて来れるようになれば、双方にボーナスすようにも手配をしている。
さらに、出稼ぎにきている家族も一緒に移住ならば、特別ボーナス付きの条件を付けて、人材の募集をしているのだ。
募集元は、ブルージュのギルドになってもらい、連絡や待ち合わせについても、すべてブルージュのギルドにしておいた。
もちろん、ブルージュのギルドにも、先に報奨金を渡している。
無名の村なんて、最初はこんなモノである。
何故、集まりにくいのか理由を聞いていると、拠点の北側に、恐鳥がいることが、原因の一つであったのだ。
「やはり、アイツを倒す方が早いのかもしれないな」
アイツとは、【ディアトリマ】のことである。
勇者一行からすれば、たいしたこともない問題なのだが、領民などからすれば大問題となる。
問題を解決するのには、一番いい方法でするのがベストだ。
恐鳥の【ディアトリマ】をやっつけて、食用として飼育まで出来れば、一石二鳥や一石三鳥かもしれない。
恐鳥であっても、鳥だから食べられるだろう。
「翼人のアルフォンスだけには確認が必要になるかもしれないな?」
自分自身に翼が生えているので、「鳥を食べることができない」なんて言われたら大変だ。
そして、住人については、歩くにしても、道路が整備されていないので、ブルージュに帰って来れないことが問題となる。
輸送手段も確保しておかなければ、本当に「片道切符だけでいい」と考える人でなければ難しくなる。
「なかなか、新しい村と心中しようとまでする一般人は、いないな・・」
「道路の開通は、急がなければならない」
いくら勇者の村で、求人募集の条件がすごく良くても、片道切符でブルージュに帰って来ることもできなければ嫌がるだろう。
さらに、恐鳥などに食べられてしまえば、それで終わりである。
また、今までの大都市の環境とは180度変わり、娯楽施設のないような、ヘンピな田舎で暮らせるかと言った問題があるのだ。
「この問題は、意外と根深いな」
「いっそ、奴隷を大量に購入して、村に投入する方が早いかもしれない」
そんなことまで、考えるようになっていたのである。
大都市のブルージュにも、奴隷商の店がある。
ついでに、ブルージュの奴隷商の所に、顔を出してみる。
人間の奴隷は、金貨10枚位となっており、その能力と比べると、非常に割高と感じてしまう。
金貨10枚は、1,000万円の価値と同等となっている。
投資効率については、金額が高すぎて、投資に似合っていないが、手っ取り早い方法ではある。
「100人連れてくるだけで、10億円かー」
「フー」
亜人や獣人もいるのだが、戦闘系が多く、技術系については、パッとしないように思える。
やはり、ドワーフやエルフを直接雇えることは、凄いことだったのである。
奴隷では、なかなか、領地経営に役立つようなスキルを持っている人財の確保は難しい。
「難しいのであれば、やはりつくるしかないのかな?」
なかなか、自分自身の考え方や方向性がまとまらない。
即戦力が欲しいのだが、ブルージュの奴隷商では、今一パッとしない。
そうなれば、長期的視野で、有能な人材を育てていくことも、考えて行かなければならないのかもしれない。
もしくは、世界各地の奴隷商をまわれば、気に入るような奴隷が手に入るのかもしれない。
そうなると、ゼルトブルクに、情報や行動が筒抜けになって、吹っかけられたり、邪魔をされてしまう恐れもある。
とても難しい問題となるので、そうなるとメグミ達に、また相談をしなければならないのかもしれない。