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領地経営クエスト  作者: 小説クエスト
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ホブゴブリンとディアトリマの謎

 ゴブコは、ゴブリンからホブゴブリンへと進化している。

 ゴブコのレベルは13であり、レベルが高くもない。


「どうすれば、ホブゴブリンへ進化するのだろうか?」


 レッドゴブリン、ブルーゴブリン、イエローゴブリン、ホワイトゴブリン、グリーンゴブリンの差についてもわからないことが多い。

 ゴブリンだから、それ程大きな差があるワケではないだろう。

 ゴブコから聞いていると、部族単位での、肌の色の差位のように感じる。


 そんなことなどを、新しくできた指揮所の中の事務所で、秘書のヴェロニカとアリエルとエクセリオンとゴブコの5人で話合っている。


 すると、事務所のドアがいきなり開いた。


「ジン、大変だー」


「慌てて、いったいどうした?」


「見たらわかるだろー」


 ランドルフが、もう一人を連れて、こっちに寄ってくる。

 どうやら、ゴブリンではなく、ホブゴブリンのようなのだ。


 このゴブリンは、もともとゴブリンのリーダーをしていたゴブリン1だった。

 それが、レベルが22になり、急に進化してホブゴブリンとなったのだ。


「ホッ・・、ホブゴブリンに進化しましたっ・・」


「おー。よかったな。これからも、ジャンジャン働いてもらうぞ」


「ハッ・・。ハイ。わかりました」


 ピシっと敬礼をして、ホブゴブリンが挨拶をしてきたのだ。

 以前に【威圧】を使って従えたので、このホブゴブリンは、私に対して完全にビビッている。

 たぶん、ホブゴブリンとなっても、まだまだレベル差がありすぎて、【威圧】を使えば、また倒れてしまうだろう。

 これ以上やるとトラウマになるので、イジメルのはやめている。



 名前は、伍長ごちょう・ゴチョウに改名した。


 本来、伍長という名称は、一般的に軍隊の階級の一つである。

 伍は文字の作りの通り5人という意味なのだ。

 古代の中国の軍隊が、5人を最小単位として編成したことに、基づいていると言われている。


 5人位の長だと思うから、これでいいんじゃないか。

 またしても、適当な名前の付け方と言われても仕方がない。

 ゴブリン達のリーダーとしては、難しいかもしれないが、他のゴブリンよりも何倍もマシになっている。



 期待をして、【鑑定スキル】でステータスを確認したところ、ガッカリしたから、これに改名した部分もある。

 兵士としては、レベル22の冒険者と、さほど変わらない。

 これと言った特徴も無いのである。

 普通の部隊の伍長クラスならば、これ位となるのだろうか。


 会話はできるようになっている。

 多少は、知能が向上したようだ。

 しかし、字を読んだり書くことについては、練習すればできるようになりそうだが、まだ厳しいようでもある。

 厳しい業務は難しそうだが、普通のゴブリンからは尊敬されるだろう。



 伍長ゴチョウとゴブコとの差については、知能の部分なのかもしれない。

 ゴブリンからホブゴブリンへ進化したのはいいが、知能の部分に、だいぶ差があるようである。

 同じホブゴブリンであっても、個体差があることも確認できた。


 ランドルフの副官として、当面の間、使ってくれればいいのかもしれない。

 この件については、メグミと相談しなければならないだろう。



「麓の村を破壊してスミマセンでした」


 伍長ゴチョウが頭を下げている。

 そこから、色々とこのエリアの事がわかってきたのだ。


「恐ろしい【ディアトリマ】が存在する・・」

 

 伍長ゴチョウの緑ゴブリン部族は、北から【ディアトリマ】が暴れたことによって、亜人や他のゴブリンズ族に拠点を追い出されてしまって、南下して来たようである。



 【ディアトリマ】は、大型の肉食鳥だ。

 全長は2m以上になる。

 体重も400㎏と、完全に化け物の恐鳥きょうちょうなのである。

 猪や鹿なども、丸のみにされてしまう。


 かつての世界でも、大昔に同じディアトリマと言われる陸上歩行性の恐鳥類きょうちょうるいは存在した。

 現在では、すでに絶滅をしているのだが、こちらの世界では生き続けているのだ。


 高速での移動も可能であり、戦闘力も高い。

 頑丈なクチバシと強靭な足の爪を武器にしている。


 ただし、過大な体重によって飛べない鳥となっているのだ。

 このあたりは、ダチョウやヒクイドリやエミューと同じかもしれない。


 ひと言でいえば、『チョ〇ボ』である。

 あの名作のファイ〇ルファンタジーに出てくる生き物を想像するとわかりやすい。

 ただし、【ディアトリマ】は、それほど可愛らしくはない。



「一度戦ったことがあるが、他のモンスターと比べれば、それほど強くはなかったな・・」


 こっちの世界では、伍長クラスが一対一で戦えば、五分五分位になるだろうか。

 普通の人間達であったのなら、逃げ出してしまう。

 冒険者であっても、かかわらないように、避けてしまう強さだろうか。



 そういえば、拠点の村より北側に、恐鳥きょうちょうがいると聞いたこともある。

 その噂は、本当のことだったようである。


 屯田兵でやって来た村の先祖達は、北上した時に、恐鳥きょうちょうをみてビビッてしまったのである。

 それ以来、北側の方へは進出せず、麓の村に留まっていたようなのである。



「そこで、お前らグリーンゴブリンが、ディアトリマから逃げる為に南下をしたのか」

「だいぶん話が繋がってきたな」


 他のゴブリンの部族もドンドン南下してきて、食糧の取り合いとなっていたのだった。

 ホブゴブリンであるゴブコが、なぜ南下していきたのか、よく理解していなかった理由がわかった。


「玉突き現象だな」

「これが本当ならば、他のゴブリン達も困っているはずだ」

「ディアトリマの討伐もしなくてはならないかもしれない」

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