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領地経営クエスト  作者: 小説クエスト
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エルフの勧誘活動

 エルフであるヴェロニカの実家にて、昼食をいただいている。

 肉料理は出てこず、植物でつくられている料理なのはわかるのだが、食べたことのない味付けの料理が多数並べられていた。


 ヴェロニカの妹のアリエル(高貴なる娘)が、私の村に来たいと言っている件で、予想以上に進捗状況が思わしくない。


 確かに、12歳の当時のアリエルは、ホームシックになりエルフの里に帰りたがっていたのだ。

 5歳年上のヴェロニカに着いて人間の国へ行ったのだが、そのような結末となっていた。

 今は、20歳の大人の女性となり、親に決められた許嫁もいる。

 ヴェロニカと同様に、婚約破棄となってしまっては、目も当てられない状況になってしまう。

 このような事をヴェロニカの両親は心配していたのだ。


 この事については、私やメグミやヴェロニカでは、どうすることもできなかった。

 ヴェロニカの妹であるアリエルを呼んで、一緒に話をしているが、朝から昼になっても、結論は出ていないのである。

 エルフを勧誘する為に、エルフの里に来ているのだが、この場でヴェロニカの妹を強引に勧誘するワケにもいかないのだ。

 私の中では、完全に膠着状態となっていたのであった。


 そうこうする内に、エルフの里の長老達の準備が整ったと、ヴェロニカの実家にも連絡が入ってきた。



 ヴェロニカの母親がつくってくれた昼食を食べた後、エルフの里の長老達の集まる会議室へと移動することになった。

 もちろん、ヴェロニカの父親や母親、アリエル達も同席することになっている。



 ふと、会議室に入る前、メグミがこちらを向いて、「全部任せて」と小声で言って来ていた。

 こちらは、目を見てコクリと頷き、「任せたよ」と返答している。



 エルフの長老たち10名が、会議室に入っている。

 神妙な面持ちだ。



「この度は、いきなり訪問したにもかかわらず、長老様にお集まりいただき、ありがとうございます。私はオストマルク王国の辺境の地の領主をしております。カトウ・ジンと申します。詳しい内容につきましては、私の妻であるメグミが説明をいたします」


「みなさんこんにちわ、紹介にあずかりましたメグミと申します。勇者であるジンの妻であり、魔王軍の討伐に一緒に参加して、撃退をしております」


 挨拶を交わすとエルフの長老の代表は、メグミの話を聞いている。

 ヴェロニカの父親や母親とアリエルは、大人しく黙っていた。


 メグミは、辺境地の現状や将来展望などを事細かく説明している。

 ハッキリと言って、物凄く上手なプレゼンだ。

 魔王軍の討伐には、今ある辺境の地を、しっかりとした大都市へと発展させて、人間や亜人や獣人が力を合わせて戦わなければならないと言った内容だったのだ。



 私が、現在考えているプランや内容の以上のプレゼンをしていたのだ。

 やっぱり大賢者の称号は、まがい物ではない。

 このプレゼンを聞いて、エルフの長老達も、完全に納得をしたようなのだ。


 エルフの長老達は、100年以上の年齢を積み上げてきた知識と知恵がある。

 私が情熱的に話をしても良いのだが、論理性や知識の面で、大賢者であるメグミの論理的な話プラス、的確な話し方の方が受けてしまう。

 悲しい現実であるが、それは受け止めなければならないだろう。

 不得手や苦手な部分で、相手と真っ向勝負をしていては、現実問題では撥ね返されてしまうからだ。

 勝負の世界では、少しでも勝率の高い方を使うのが監督の仕事でもある。



 ヴェロニカの父親や母親もメグミのような存在がいるようであれば、大丈夫だと安心してくれたように見える。

 アリエルについては、もう内定となっているだろう。

 エルフの長老を納得させるプレゼンをできる者はそうそういない。

 これは流石と言える。


 エルフの他のメンバーについては、午前の訪問した段階で、各候補のエルフ達へ通達文が送られていたようだ。


 メグミの手紙での文章力も一般人レベルではなく、相手の心を動かし、上手に勧誘しているのだ。

 人は、無理やり動かされることについては、嫌悪感を抱いてしまう。

 ただ、メグミの場合は、このような嫌悪感を感じさせずに、人を動かしてしまう能力に長けている。

 つまり、相手に気付かれないように、手の平で上手く転がす術を使えるようなのだ。

 これは、ユニークスキルなのか、技術なのか【鑑定スキル】を使っても分からない能力なのだ。

 もしかすると、これがカリスマと言うモノなのかもしれない。



 エルフの長老達は、自分達の思いを述べて行き、ドンドン時間が過ぎていった。

 本来、エルフは人間嫌いであり、厄介事を避ける傾向にあるが、魔王軍の事もあり、今までの方針を変更して、人間とも協力して、魔王を退けようと言った話になってきている。


 そして、何やらだいぶん隣の部屋が、騒がしいようにもなってきている。


 そうこうしているうちに、求人募集依頼によって、やって来たエルフ達が会議室の隣の部屋に集まっているようなのだ。

 そこには、ヴェロニカの妹のアリエルを入れて10名が揃っていた。


 今回集まったエルフは、女性が7名と男性が3名である。

 なんと、アリエルの許嫁も参加するようであった。

 アリエルの父親が、先に手を回していた可能性があるのかもしれない。



 そして、新規に加入するエルフ達が会議室に入って来たのである。

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