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領地経営クエスト  作者: 小説クエスト
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お引越しの準備

「いかがいたしましたかな?」


 ウォーレンが問いかけてきた。


「いや、ちょっとヴィエラ山脈の辺境地へ偵察に行っていた。黙って行って悪かった」


 実は、王都に戻ってくると一言も言わずに勝手なことをしていたことに謝罪しに行ったのだ。


「それは、それは、大変でしたなぁ」

「勝手に行動されることは問題があるかもしれませんが、誰かが先に行かなければならなかったので、丁度良かったのではないですかな。ふぉっふぉっふぉ」

「それに、引越しの準備で、バタバタしていたのもありますしなぁ」

「次から会議では、ちゃんと報告をしてくださいな」


 怒ることを予想していた参謀のウォーレンについては、それほど怒ってはいなかった。

 しっかりと現場を見る必要があるのと、誰かが【テレポート】を使用可能な状態にしなければならなかったからだ。

 その辺りについて、適切な判断力を持ち、怒りを我慢する力も高いのかもしれない。


 老人だからと言って、ただ怒りっぽいワケではない。

 TPOティー・ピー・オーをしっかりと、わきまえているからである。

 TPOとは、Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)に応じた使い分けのことである。

 つまり、時と場合に鑑みて、適切に振る舞うことができているのである。




 逆に、家に帰った後、一番怒ったのは、妻のメグミだったのだ。


「えー。なんでー。勝手にィー」


「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」



 何度、謝ってもすぐに許してくれない。


「まぁ当たり前だけど、ちゃんと下見に行くと説明していなかったのが問題だった・・」

 対応を誤ったことについて、反省はしている。

「他の人達は、引っ越し準備で大変だったから気にしていないとのことだったのに・・」


「ハァ・・」

 溜息が出てしまった。


 実は、まだ新婚なのに、ヴィエラ山脈の辺境地へ一緒に連れて行かなかったことが、ご立腹の原因だったようだ。


「せっかくデートできる機会だったのにィー」

 と怒っていたのだ。



 そもそも、妻となったメグミには、12年前の14歳の時に、出会っていた。

 さすがに、14歳の子供に手を出すのは、大人のやることではないと遠ざけていたが、アプローチが凄かったのだ。

 冒険者となった時に、メグミが18歳になっていたこともあり、つい魔がさして手を出してしまったのだ。

 そして、最近になって魔王を倒したので、籍を入れさせられたのだ。



 ずっと勇者パーティーで、公私共に一緒に過ごしているので、息抜きと思って辺境地へ出て行ってしまったのもあるかもしれない・・。


「結婚式もしていないし、新婚旅行も行っていないしィー」

 とブツクサ言われてしまった。



 薬草と鹿肉、鹿皮、猪肉、猪皮を渡しても・・、機嫌は良くはならなかった。

 これは、これで難しいものである。

 相手が欲しがっていないモノをいくら渡しても、喜ばれないからだ。


「じゃあ、罰として、指輪を買ってくれたら許してあげル」


 自分の思いと他人の思いが、全然違うことを、さらに痛感されられてしまった。

 最後には、強引に指輪を買わされる約束をさせられてしまったのである。


「結局こうなるんだな・・」


「これは、良い勉強になったのだろうか・・?」

心の中で、そう思うのであった。



◇◆◇◆◇



 やはり、知らない土地での単独行動は危険が伴う。

 戦闘中に、自分勝手な個人プレイをすると死んでしまうプレーヤーが多い。

 自分の力を過信すると、この世界では一発でやられてしまう。


 その点、トレジャーハンターやニンジャマスターは上手にできてしまうのだ。

 逃げるための走るスピードが速いことや周囲を見ることのできる視力も高い。

 そして、逃走などを可能にするのは、スピードはもちろんのことなのだが、【索敵スキル】の範囲が広いこともある。

 自分達より強そうな強者がいれば、即座に躊躇なく逃走をするのだ。



 この世界では、エルフであっても、死者蘇生は難しい。

 死者蘇生を強引にすると、スケルトンのモンスターになったり、ゾンビになったりする場合もある。

つまり、魔人になってしまうのだ。



 そのため、ゲーム感覚で戦闘をしていると、身体が動かなくなって大変なことになってしまうので、注意が必要なのだ。

 HPエイチピーが半分を切ってしまっても、ロクに動くことができなくなる。

 痛みによって、行動スピードが極端に落ち、集中できないので、魔法やスキルの発動すらできない場合もある。


 強者であっても、調子に乗って連戦を繰り返していたら、そのうち退路を断たれて、集団リンチでやられてしまうのだ。

 魔法、飛び道具、トラップなど、何でも有りだから注意が必要となる。

 もちろん、即死トラップなんかも多いのだ。



 ダンジョンでも一緒だが、しっかりと準備をして行動をしないと、最悪の結果をもたらすことがある。

 召喚された後、調子に乗ってすぐに起こった、あの事件のように・・・。


「あの事件は、今でも完全にトラウマになっている・・」


 整理・整頓をして、明日の朝から全員が出発できる準備をしよう。


誤りを訂正しております。

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