ホブゴブリンへの進化
拠点の村の近隣で伐採されていた木材を集め、皮を剥いだりと確実な処理をして、王都に持って行き売却をしている。
「巨木を1,000本売却したいのだが」
「かしこまりました。査定をさせていただきます。今回の査定金額は、金貨900枚となります。」
「わかった。その値段で売却しよう」
「ありがとうございます」
1,000本の巨木を持って行くと、金貨900枚に変わった。
儲けは、日本円で約9億円になる。
やはり、売値の相場が下がってきているようだ。
「王都の売却相場は、下がる一方だな」
一番最初の相場ならば、10億円の利益が出ていた計算となっていた。
相場が変更になっていたので、合計で1億円分下がっているのだ。
「歪は、いつか無くなってしまう」
どうも、大量に木材を持ち込んだので、値段が下がった可能性もある。
しかし、これだけあれば、拠点開発について、十分な軍資金となる。
「なにせ、原価がゼロ円だったのだから」
◇◆◇◆◇
喜んで、拠点に戻ると、一つの出来事があった。
ゴブリンの一名が、ホブゴブリンへと進化したのだ。
そのゴブリンは、ランドルフから、ゴブリン67と呼ばれていた。
ゴブリンの性別はわかりにくく、どうもこのゴブリン67は、女性だったようだ。
このホブゴブリンについては、ランドルフと相談の上、ゴブコと名前を付けなおした。
ゴブコは、基本の知能が高くなり、【鑑定スキル】でステータスを確認すると、普通の人間の知能を遥かに上回っているのだ。
ホブゴブリンになると、少しばかり人間に近づいた形にもなるようだが、身長は低く145㎝にも届かない。
ホブゴブリンには、どうなったら進化するのか、よくわかっていない。
ゴブコに確認しても、よくわからないと言っている。
ゴブコのレベルは13であり、あまり高くなっていない。
年齢も17歳のようで、少女の部類に入るようだ。
体形については、おしりは出ているが、胸のでっぱりは分かりにくくなっている。
ゴブコは、ゴブリンだった時代のことも、ちゃんと覚えており、しっかりとした言葉を書いたり、話したりすることができた。
ゴブコのパワーは、普通の大人の人間と変わらないが、元々は獰猛な性格のはずなのに、大人しい性格に変わっているようだ。
ランドルフの元に、メグミとヴェロニカを集合させて、ゴブコの処遇を決めることにした。
「ゴブコちゃんは、ヴェロニカちゃんの補佐をお願いするワ」
すると、ゴブコはエルフであるヴェロニカの補佐にすることが決まったのである。
「ゴブコちゃんは、モデルケースになるわね。通常の人間よりも知能も高いようだし、人間と同じ給与や待遇でいいんじゃないィ」
奴隷ではあるが、普通の人間よりも知能があるので、人間と同じような給金や処遇にすることも決まったのだ。
エルフのヴェロニカは、ゴブコに業務のことを、かい摘んで話している。
「ゴブコちゃんの仕事は私の補佐をすること。つまり、私が困っていることなんかを代わりにやる場合もあるの。結構大変な仕事なのよ」
そこで、ニンジャマスターのゲンゾウとトレジャーハンターのルークを呼ぶことにした。
私、メグミ、ヴェロニカ、ゲンゾウ、ルークで、ゴブコと話をしている。
ゴブコは、だいぶん飲み込みもいいようだ。
「明日、エルフの里に行く予定だけど、ヴェロニカも行くか?」
ヴェロニカの代わりに、ゲンゾウとルークとゴブコの3名を置いて行けば、大丈夫だろう。
「久しぶりにエルフの里に戻ってみます」
エルフのヴェロニカは、そう答えた。
「メグミは、大丈夫?」
念のために、メグミにも聞いておく。
「私は全然、問題無いワ」
あっさりと、承諾した。
大きな湖での出来事もあり、メグミの機嫌がとても良い。
「ヴェロニカが戻ってくるまで、勝手な事をしないように」
とゴブコに言明しておく。
これで、ゲンゾウとルークは勝手なことができなくなる。
丁度いいお目付け役なのだ。
夕食の際、食堂は、ゴブコを祝う豪華な食事となっている。
ギャビーも麓の村から、昨日に老婆2人を雇うことができ、今日から出勤していた。
「今日は、ぶ厚い牛肉のステーキか」
「これ、めちゃくちゃ美味い!」
「麓の村からも、老婆ならば、もっと雇うことができそうだ」
とギャビーも言っている。
ビールやワイン、その他のお酒も出してきて、乾杯をしている。
ゴブリンがホブゴブリンに進化することがわかったので、ランドルフにホブゴブリンへ進化させるように命令している。
全ゴブリンが、ホブゴブリンになれば、大幅な戦力アップとなるからだ。
ゴブコを見ていると、家庭の手伝いはもちろんだが、アルフォンスやランドルフが、キッチリと教育をしたこともあり、言うこともしっかり聞いている。
どうも、ホブゴブリンになれば、メイドとして雇うことも可能のようだ。
もちろん、その他の仕事についても、就労は可能となるのではないだろうか?
色々な可能性をメグミと話しながら、一緒にワインを飲んでいる。
後は、エルフを勧誘することと、ユニークスキルを持っている冒険者などの勧誘となるだろうか。