土曜日の現場確認
メグミの仕事現場を確認している。
と言っても、直接メグミには現場の仕事を与えているワケではない。
メグミの仕事は、【統括】である。
すなわち、全部の仕事を細かな目で、チェックすることが仕事なのだ。
間違っていることがあれば、アドバイスをするし、人員が足りなければ補充をする。
最悪の場合、メグミが現場に入って対応をする。
組織のナンバー2の仕事を、確実にこなしているのだ。
つまり、問題点は、このメグミの所に集中してヤヤコシイことが回ってくるのだ。
私の場合、秘書のヴェロニカを通して、急ぎで無ければメグミにアドバイスをさせてから、最終的に問題点が回ってくる。
「ややこしい問題はないか?」
「そうね。まだ試行錯誤しているのはあるけど、まだ様子見ってところかなァ」
「そうか。わかった」
ヴェロニカやメグミで解決できない問題は、戦争を起こすこと位となるのかもしれない。
大賢者に解決できない仕事は、それ程大きな決断の必要な仕事となる。
そうなる前に、ある程度の情報が、私に入るように、秘書のヴェロニカには伝えている。
エルフのヴェロニカも、優秀な人財ではあるが、何でもかんでも一発で出来るワケではない。
特に、ギルドのような組織を立ち上げることは、大きな労力がかかる。
ゲンゾウやルークの知識があっても、すぐに組織化できるワケではない。
書式も一から作らなければならないし、連絡方法やら細かいことが目白押し。
人材を雇えば、給与計算や給与支払いが必要となる。
いくらメグミが側にいるからといって、上司であるメグミに、全てを丸投げにすることはできない。
「ゴメン。私が丸投げしているのだけどね・・」
と心の中で謝っておく。
「メグミ、頼みたいんだけど。知合いにギルドなんかに勤めている人で、優秀な人はいないかな?裏方の仕事ができる人を勧誘しておいてくれると嬉しい」
「ギルドについては、ルークを統括に、サブでフィガロがイイと考えている。そして、諜報部隊としては、ゲンゾウを統括にしようと考えている」
「わかったー。何とか手配してみるゥー」
ヴェロニカの仕事量が多くなるのが目に見えているので、裏方の仕事ができる人を募集してみる。
いずれ必要となるのは、行政・立法・司法や商売を専門とする人財だが、まだまだ先の話となる。
組織については、まだまだ改良の余地が残されているのだ。
◇◆◇◆◇
そんなこんなで、昼となり、食堂で昼食を取ることになった。
「いただきまーす」
「いただきまース」
保存用の干し肉をスープにして、付け合わせにパンを出している。
「これは美味い!この干し肉絶品だ!」
つい、無意識で、大きな声を出してしまった。
ギャビーの料理は、ドワーフ流の料理なのだが、オストマルク王国の高級料理店で出されるモノと変わらない位に美味しい。
遠征メンバーには、鉄で出来た弁当箱で、そのまま温めができるような工夫もされているようだ。
各自で、食料の調達や料理をしなくても良くなっているので、仕事の効率が驚くほど上がっているようだ。
これまでは、メグミとヴェロニカが料理を作ってくれていたが、その分を仕事の時間に回してくれている。
「ギャビー。ありがとねー」
業務上では、メグミとヴェロニカの調理時間を減らしてくれて、物凄く有り難い事なのだ。
「ありがとうございます。もっと腕をふるって料理をしますわ」
後は、ギャビーはドワーフでもあるので、本当の力を発揮させるように、ギャビーの手足となるべき人材を増やして行く必要もある。
「食堂の人員も増やすように動くからねー」
仕事を下に振って行けば、それだけ時間ができて、創造的な仕事が可能となる。
「食堂の人員が増えることを期待していますわ」
ドワーフ達の実力を考えれば、全然ちゃんとした仕事をさせていない。
これは、私に責任がある。
しっかりと実力にあった仕事ができるように、環境づくりをしなければならない。
「明日は、日曜日で休みなのだが、この食堂はどうするのだろうか?」
「作り置きをギャビーさんがしてくれているようねェ。後片づけもギャビーさんのようねェ」
どうも、作り置きをしておいてくれるようだが、結局食堂の後片付けもするようである。
そのように考えると、皆の行為に甘えてばかりはいられない。
日曜日も対応できるように、村の老婆でもいいので、配置できるようにしなければならない。
ギャビーはおしゃべりなので、ヴェロニカと共に、日曜日に麓の村で勧誘してくるように伝えている。
「この現状を考えると、ヴェロニカにも補佐する者がいるのかな?」
「そうね。そろそろ必要じゃないかしラ」
なかなか、それほどの人材が入るかわからないが、これからは人材を集めることも大切だと思うようになった。