大都市ブルージュ
ブルージュは、ヴィエラ山脈の拠点の村から約700㎞離れているオストマルク王国の大都市だ。
つまり、オストマルク王国の昔の国境の砦からも500㎞離れている。
ルドルフ皇国にも近い位置にあるのだが、オストマルク王国の北側の最大の都市となる。
対ルドルフ皇国用と対ガリア帝国用に、栄えている軍事都市とも言えるのだ。
その為、軍人が多くなっており、ここの領主も、国王派の貴族である。
結果として、偉大な勇者とされている私への対応も良い。
ブルージュのギルドも、親切丁寧なのだ。
「ありがとう」
「またのご来店、お待ちしております」
軍事都市と言っても、ただ軍隊だけがあるワケではない。
オストマルク王国では、南部に海があり、南西には商業都市のゼルトブルク、南東には宗教都市国家のテーベがある。
オストマルク王国の南側の海では、海運業も発達しており、多くの船団が行き来しているのである。
その為、オストマルク王国は、国の南側が栄えていることが、一般的となっている。
ここブルージュでは、近くに山脈も多く、森林に囲まれている箇所も多くなっている。
だが、ブルージュは、ゼルトブルクから、それほど離れていない場所にあるのである。
ゼルトブルクとブルージュの間には、立派な石畳の交易路が整備されており、ブルージュが北側の中枢都市とも言われている。
この大都市である、ブルージュと交易することが大切となる。
ルドルフ皇国から、鉄や鉱石なども定期的に入って来ている。
オストマルク王国の王都は、まだまだ復興中であり、商売についてはゼルトブルクに支配されかけてもいる。
下手な行動をすると、ゼルトブルクへ情報が、ダダ漏れになってしまう。
宗教都市のテーベの動きも怪しい。
表立った行動はしないが、裏側から徐々に行動することも多い。
そして、王都とゼルトブルクには、罠が多く存在する。
できるだけ、そのような面倒に合わないことが大切だからだ。
ただし、大都市のブルージュについては、木材が有り余る程ある。
つまり、木材をブルージュで買うことはできるが、売ることには、適していない。
環境的に言えば、山に囲まれて、森林が豊富なので、拠点の村の周辺と同じような感じでもある。
そんな中で、大きな巨大都市が、城壁に囲まれて、ポツンと佇んでいるのだ。
ここのギルドは、設備も人員もしっかりしていて、気持ちがイイ。
メグミやランスロットも良くココのギルドを使っているようだ。
ギルドへの依頼も多いようだが、優秀な冒険者も多いようで、次から次へと依頼が片付けられている様子だ。
確かに、見知った名のあるベテラン冒険者も多い。
冒険者は、仕事が無くなった時には、傭兵として雇われることもある。
このブルージュは、冒険者にとって一石二鳥の場所なのかもしれない。
「ここで、求人募集をすれば、良い人材は来るのか?」
そんなことも考えている。
だが、ここの冒険者達を雇うには、高額なカネが必要となってくるだろう。
戦うことが出来る冒険者は、残念ながらいらない。
今のところ、戦争をする予定もないので、兵力については、それほど困っていないからだ。
どちらかと言えば、特殊なスキルなどを持っている者が希望なのだ。
すなわち、内政などの生産系のスキルを所持していることが望ましいのである。
今は、一次産業の林業が主力となっている。
すでに、ドワーフが加入しており、二次産業の建設業や工業などの下準備ができている。
では、その次は三次産業の小売や金融なども必要となってくることもわかる。
「まずは、一次産業がしっかりとできなければ話にならないな・・」
「その次は、二次産業かな・・」
「メグミにも、知り合いのギルドに勤めているような、いい人材を紹介してもらうように頼んでみよう」
こんな時に、女性のメグミは有利なのだ。
ガンガン勧誘する場合もある。
ドワーフの勧誘では、メグミからの書状でほとんど片付いていたのだ。
能力があれば、男性でも女性でも亜人でも獣人でも魔人でも奴隷でも構わない。
ここは、大賢者に相談すべき課題である。
「巨木の木材を200本購入したい」
「はい。今回は、金貨102枚となります」
ブルージュの商人ギルドで、木材を200本購入したところ、今回は金貨102枚と少し値上げされている。
「巨木の木材を200本売却したい」
「買い取り価格は、金貨196枚となります」
王都へ行って木材を売却したところ、こちらは金貨196枚と少し値下げされている。
つまり儲けは、金貨94枚となっている。
徐々に、歪が、解消されて来ていることが分かった。
これは、私がオストマルク王国の各都市のギルドで、木材を大量に購入して、王都で売買したせいもある。
あまり、同じ場所や近くの場所で、売買をし過ぎると、直接価格に影響を及ぼしてしまうのだ。
「うーん。相場が動いてきたようだ」
逆に言えば、オストマルク王国の各都市からは、木材は売りにくくなっていることも示している。
こちらは、資金ゼロ円で木材を手に入れることができるので、売値が即儲けとなる仕組みだからである。
「まぁ、ほどほどにやろうか」