鉱山のドワーフの長
鉱山のドワーフの長は、ドワーフらしく、鎧と兜をしている。
これぞ、力強いドワーフと言うイメージがピッタリだ。
豊かな白いヒゲを蓄え、5等身位のずんぐりむっくりとした姿をしている。
ガチムチの筋肉を誇っており、力は物凄く強そうである。
自慢の斧は、壁に立てかけてあるが、よくこんな物騒なモノが振り回せるなといった感じだ。
身長は140㎝位あり、他のドワーフよりは、一回り大きい。
ただし、人間の成人と比べると、どうしても子供のような大きさであると感じてしまうかもしれない。
だが、子供の体形ではなく、大人の身長をギュッと上下に凝縮させたような感じなのだ。
「ふぉふぉふぉ。よく参られましたな」
話し出すと、ドスの利いた大きな声だった。
一括りに小人と言っても、色々な部族や種族がいる。
普通のドワーフは、身長1m~1.3m前後の小さな種族である。
巨大ダンジョンのドワーフの長のグランピー(おこりんぼ)は、小人でも、魔法使いのような感じがする出で立ちだった。
身長も1m位であった。
ヒョロ長い紫色の帽子をして、紫色の布のような服をきていた。
白ヒゲは生えていたが、ストレートに長い印象がある。
ドワーフなので力もありそうだが、知的なような感じもするのだ。
村のハーフリング部族の長は、ヒゲを生やしておらず、普通の人間を小さくした感じだった。
身長は、成人の半分くらいの大きさである。
わずかに耳が尖っていて、はだしで歩いていたような気がする。
足の甲にも毛が生えていた。
ほかの小人と同じように、こぶとりのようではあった。
タバコが好きなようで、タバコを吸う姿が見受けられた。
どうも、見た目は似ているのだが、ドワーフとハーフリングは、正式には異なる種族というのが、この辺りに住んでいる者の共通認識のようである。
ドワーフの男性は、皆立派なヒゲを蓄えている。
ハーフリングの男性は、ヒゲを生やしていない。
ドワーフの女性とハーフリングの女性の差については、言われなければ分からない点も多い。
これでは、ドワーフの国ではなく、小人の国の方が正確なのかもしれない。
ドワーフのドック(先生)から、ドワーフの事を色々と教えてもらっていた。
「私はジン、勇者とも呼ばれている。魔王討伐の為に、新しく村の開拓を手伝ってくれるドワーフをさがしている」
手短に挨拶をしている。
鉱山のドワーフの長は、ノッカーが同行していることを確認すると、もう一人の小人を呼び出した。
「スタッフィー(堅苦しい)は、どうする?」
するとスタッフィー(堅苦しい)は答えた。
「偉大なる勇者様に、同行させて頂きたいです」
即答だった。
「このスタッフィーは、堅苦しい所もあるが、ハーフリングとの合いの子で、牧畜も鉱山探しや鉱山掘りも得意だ」
「若いし、能力はバッチリだ。保証する」
スタッフィーは、他のドワーフほどヒゲが濃くなく、チョビヒゲのようになっている若者だ。
おなかは、ちょっとポッコリしているが、腕の筋肉は凄いモノがある。
どうも、ハーフリングとドワーフの両方の特徴や能力があるようだ。
「それよりも、ノッカーは決めてくれたか?」
鉱山のドワーフの長が、大きな声を出した。
すると、ノッカー(叩く者)は、
「オレは勇者に同行する」
と言った。
「よく言ってくれた。ふぁっふぁっふぁ」
ドワーフの長は、大きく頷き、笑顔となった。
「このノッカー(叩く者)は、鉱石を掘らせたら、右に出る者はいない」
「きっと役に立つだろう!ふぁっふぁっふぁー!」
かなりの貫禄があり、ある意味では羨ましく思えた。
「このような貫禄は、どうやったら出せるのだろうか?」
と思ったが口には出していない。
ノッカー(叩く者)は、男性らしい濃い顔つきをしている。
このドワーフの新メンバーの中で、一番のガチムチ系のようだ。
上半身の筋肉の付き方が、他の男のドワーフと違っている。
女性からよりも、男性好きの男から、言い寄られそうな感じもしている。
これは、男らしいことから感じる、勝手な想像である。
他の男性のドワーフのメンバーは、小太りでポヨン・ポヨンしている感じがする。
それは、それで個性でもある。
女性のドワーフは、丸みを帯びているが、ヒゲは生やしていない。
背が130㎝前後と、少し小さい位であるが、普通の丸みのある女性のようにも見える。
そんなことは、別にどうでもいいことなのかもしれない。
要は、能力があって、役に立てる人財が欲しいのだ。
これで、予定をしていた10名のドワーフの雇用が確定した。
別に、ドワーフを10名超えて採用をしてもいいのだが、まずはこの10名で村をつくる作業を優先させることになる。