ドワーフの勧誘活動
ドワーフの巨大地下ダンジョンから、すんなりと、外に出ることが出来た。
瞬間移動の魔法ゲート紋があった場所を、秘密の出入口として、上書き保存をしたのだ。
魔人の国からの瞬間移動の魔法ゲート紋は破壊してあるが、魔人や魔王に呪文で復活させられても迷惑なので、上書きをして復活させられないように対応していたのだ。
巨大地下ダンジョンの通常の出入口からは、少し離れた場所にあるが、特別な者しか知らない特別通路で出てきたことになる。
【テレポート】は、神聖な場所やダンジョンの中では使うことができない。
巨大地下ダンジョンの外に出たので、私とメグミのメンバーに分かれて、ハーフリングの村へ【テレポート】する。
どうも、ハーフリングの村からの方が、鉱山には近いからである。
すでに、夜となっていたので、宿を取り、飲み屋で歓迎会をしている。
各メンバーの武器や防具、特技を一つ一つ確認をしている。
流石、ドワーフである、一般の人間と比べて、明らかに優れていた。
ゴブリンとは、月とスッポンであり、比べることも憚られる。
最年長のドクは、先生と呼ばれ、聡明でもあるので、ドワーフの国の内情についても詳しく教えてくれている。
ハッピーは、さらに陽気になって、ビールを飲んだくれていた・・。
おしゃべりな女性ドワーフのギャビーは、ベラベラとしゃべっており、隣にあるカウンター席まで乱入していた・・。
「あら、お一人?」
「ちゃんと飲んでる?」
「ふふふ、おしゃくさせてもらおうかしら?」
そこで、話し相手となっていた、飲み屋のお客の小人がいる。
ほかの小人と比べて、明らかに小さい。
赤ちゃんよりも小さいサイズの小人だったのだ。
男か女かも見た目ではわからなかった。
気になって、そばに寄ると、何か謙遜をしている。
「連れが迷惑をかけているようだ。すまない」
「いえ。いえ。とんでもございません」
「私はショーティーと申します。あなたは、勇者のジン様でしょうか?」
迷惑をかけているのを謝罪すると、少し話をしてくれた。
名前は、ショーティー(ちび)のようだ。
「私は、名前の通り小さいですが、これでも男性なのですよ。ここにいるドワーフ達とは、多少種族が異なり、亜種とされています」
一応、男性だと言っている。
どうも、ドワーフの中でも亜種に分類されるようだ。
歓迎会も終わりに近づき、解散しようとしていると、ショーティーが近づいて来た。
「偉大なる勇者様。私を是非とも連れて行ってください」
どうも、ドワーフを勧誘していることを知っているのか、そのような提案をしてくれた。
断る理由も無いので、ショーティーも同行してもらうことになったのだ。
ドクはドワーフのことにも詳しいので、少しショーティーの部族についても聞いてみた。
すると、ショーティーの部族は、とても優秀であることがわかったのだ。
手先は器用であり、魔法の力も強力、そして、なによりも知性が高いようなのだ。
私のパーティーには、武力が強いメンバーが多い、魔法も使えて、知性も高いメンバーもいるが、破壊活動が得意分野となっているケースもある。
今後、新しい村に必要とされる能力は、知性の部分でも、内政の能力となる。
徐々に、内政の能力を向上させる必要もあるが、内政について、優秀な人材がいることに越したことはない。
朝からリリパット山脈に出かけるので、早々に寝ることにした。
ユニコーンとグリフォンに分かれて、ドクの指示で、空を駆け抜けることになった。
すぐに、リリパット山脈のドワーフの住んでいる鉱山が見つかった。
何事にも、先導役が重要となる。
先導役が、道がわからずに、迷子になったら、普通は終わりとなるからだ。
鉱山には、トンネルのような大きな入口があった。
ドワーフの警備兵が立っていたので、私とメグミとドックで挨拶をし、事情を話た。
警備兵に案内されて、その大きなトンネルから、中に入っていった。
警備兵に案内されているが、壁のところから、何か音が聞こえてくる。
警備兵が言うには、ノッカー(叩く者)が鉱石の場所を教えてくれているようだったのだ。
すると、そのウワサされている男性のノッカー(叩く者)と言う人物が、近づいてくる。
何か、考えるようなポーズをしている。
「あなたが、有名な勇者の方ですか?」
ノッカーが私に聞いてくる。
「私は、ジン。オストマルク王国の魔王と巨大地下ダンジョンの魔人を討伐した者だ」
そのように答えた。
すると、ノッカーが、「今、決めました。オレもついて行くことにする」と言ったのだ。
いきなりの事で、何かよくわからない。
ドクが手助けしてくれる。
「あなたが、長から推薦を受けていたドワーフなのですか?」
どうも、ノッカーは、鉱山に住んでいるドワーフの代表として、私の所に行ってくれないか嘆願されていたようなのだ。
ただし、見たこともない人物に仕えるのはイヤだと、返事を保留にしていたようなのだ。
しばらくして、鉱山のドワーフの長に面会することになった。