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領地経営クエスト  作者: 小説クエスト
28/90

拠点移動の宴

 拠点移動が決まってから、新しく建築予定地に、10人全員が揃った。


 偉大なる勇者と呼ばれているジン、偉大なる賢者とよばれているメグミ、参謀のウォーレン、英雄のランスロット、翼人フォークマンのアルフォンス、エルフのヴェロニカ、ニンジャマスターのゲンゾウ、トレジャーハンターのルーク、スナイパーのフィガロ、ソードマスターのランドルフだ。


「やっと全員で、うたげをすることができる」

「待ちに待った事でもある」

「ヤッター」


「酒が飲める。酒が飲める。酒が飲めるぞー」

「酒が飲めるぞ。酒が飲めるぞ。酒が飲めるぞー」


 ランドルフが、メチャクチャ喜んでいる。


 本拠地の村の開発は、まだまだ先だが、魔王軍討伐をした勇者メンバーによる現地到着のお祝いなのだ。

 オストマルク城の戦勝祝賀会では、トリスタンの兄が毒殺されて、パーティーが中断されたこともあった。

 トリスタン王の就任パーティーでは、私が毒殺されかけたこともあり、その後オストマルク国内ではパーティーや宴会に参加していないのだ。


 その為、拠点の村になる予定地では、派手な宴が準備されている。

 宴の準備の指揮者は、メグミだ。

 メグミは、全員の好みを覚えており、ヴェロニカと共同して、確実な準備をしていのだ。


「前日も、キャンプファイアーをしていて、けっこう大規模な飲み会をしていることは、知らないメンバー達もいる・・」


 もしバレても、リハーサルだったことになるだろう。

 そんなことは、誰も気にしていない。


「全員が楽しければいいのである」


 幻獣のユニコーンと獣にグリフォンの二匹は、近くの獣舎に繋がれているが、贅沢なエサが用意されている。

 ゴブリン達は・・、疲労困憊で倒れて、村で寝込んでいる。

 とてもではないが、動くことすらままならないのだ。




「拠点移動の宴だ―!」

「みんなー!乾杯!」


「乾杯!」

「カンパーイ!」

「かんぱい!」



 挨拶もそこそこに、宴が始まった。

 私は、長々とした挨拶は嫌いだった。

 皆、しょうもない説教を聞かされても、何も嬉しくない。

 私は、余計なことは無しで、さっさと酒を飲みたい派なのである。

 極力、非効率な事はしないようにしている。


「さぁ、ジャンジャン飲んでくれ」


「乾杯!」

「カンパーイ!」

「かんぱい!」


 あちらこちらで、乾杯の音頭が聞こえる。


 ストックをしておいた、酒やワインもジャンジャン出してくる。

 もちろん、冷えたビールや果実酒もたっぷりと準備されているのだ。


「美味い!もう一杯」

「ヒャッホー。最高!」


 ランドルフは、ご機嫌である。

 皆、いっぱい酒などを飲みだした。


「はい。はい。ドンドン持ってきて」

「ビールおかわり」

「こっちも、ビールおかわり」



「皆が喜んでいる。これでいい」


 今は、時間もあるので、【テレポート】を使って、私自身でも輸送を兼ねて、お使いをしている。

 【マジック収納アイテム】は、色々なモノを入れて移動ができる。

 オストマルク王国の名物料理とゼルトブルクの名物料理も並んでいるのだ。

 もはや、高級料理店と見間違うばかりの豪華な食事だ。


「すごい料理だ。色々と準備してくれて、ありがとうメグミ」


「どういたしまして。うたげは、いつでも歓迎ヨ」



 メグミには、付いて来てくれているので、感謝しか言えないようになっている。


 しかし、村として考えれば、しっかりと道路をつくらなければ、陸路での輸送もままならない。

 獣が通ったような道しか、整備されていないのだ。

 まったく、流通や運輸ができる状態ではない・・。

 商人もこのままでは、たどり着くことは、難しいだろう・・。

 課題はそのまま山積みとなっている。



「もっと酒をくれ。もっともっとだー」


 皆が楽しそうに、飲めや歌えの宴の最中だ。


 そのような暗いことを考えていても仕方がないので、自分から率先して酒を飲む。

 仕事の後の冷えたビールは、美味かった。

 いっきに一杯目を飲み干して、おかわりをすることにした。


「ウン。美味い。おかわり」




「よーし。ランドルフこれから、ひとつ酒樽を飲み干します。よーくご覧あれ」


「ゴク。ゴク。ゴク。ゴク。」


「オー。スゲー。もっともっと」


 よく見ると、お調子者のランドルフが酒樽ごと持って、酒を浴びるように飲んでいる。


「それは、流石にやりすぎだろう・・」


 留守組になって、仲間外れにされているの思っていたのだろうか。

 それとも、何かストレスが溜まっていたのだろうか。

 今晩は、やけにペースが速い。


「まぁ、今晩位は、許してやるか・・」



◇◆◇◆◇



「ポロン。ポロロン」


 エルフのヴェロニカが琴のような楽器を演奏している。

 とても美しい音色だ。


「ピーヒャララㇻ・・。ピー・ピー」


 それに合わせて、翼人フォークマンのアルフォンスも笛を吹きただした。

 これも見事な音色となっている。


 キャンプファイアーの幻想的な火と、素晴らしい音色で、全員が聞き入ってしまう・・。



 皆、笑顔で溢れている。

 素敵な瞬間だった。


「皆が楽しければ、それでいい・・」


 飲んでばかりで、新しい村の開発は何もできていない。

 それはそれで、置いといて、今夜は派手に飲むことにした。

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