後発隊の出迎え
そろそろ人手も足りなくなりそうなので、ランスロットとランドルフを出迎えにオストマルク王国の王都へ行くことにした。
68名のゴブリンを捕獲し、奴隷にしたこともあり、2人を予定より数日早く迎えに行く。
先程の土木作業員としてゴブリンの技量は、ギリギリ合格だった。
「もしかすると、本当はアウトだったのかもしれない・・」
なんにせよ、新しい拠点の村などでは、やるべきことは多数存在する。
あまり、厳しく判断をすると、誰も着いてこれなくなるので気を付けるようにする。
今は、アルフォンスとフィガロが、スパルタでゴブリンをビシバシ調教している。
日本の教育機関ならば、完全にハラスメントでアウトである。
そこは、殴る・蹴るの軍隊方式。
上司の命令は逆らえない、口答えも許されないのだ。
アルフォンスとフィガロの調教でも、才能のあるゴブリンはいないと報告がきている。
それについては、誰もが同意見となるだろう。
そんな使えない68名ゴブリンが、チョロチョロと動き回っていても、うっとうしいだけだ。
ましてや、主力であるアルフォンスを投入するだけの仕事ではない。
アルフォンスも、その内ブチ切れて、全ゴブリンを葬ってしまうかもしれない。
せっかくMPポーションとSPポーションを使用し、奴隷にもしたので、それはもったいないように思える。
あのゼルトブルクでも、ただのゴブリンを奴隷として買ってくれるかは、微妙な所なのだ。
私とメグミが担当することになったら、速攻でブチ切れて、次の日には土に埋められることが確実なのは内緒の話だ。
そこまでずっと我慢をして、ゴブリンに手をかけない忍耐力があるかと聞かれると、答えることができないのが現実だからだ。
このままでは難しいと思われるので、明日からは元祖適当男のランドルフに、ゴブリン隊の隊長を任せようと思うのだ。
ランドルフもソードマスターまでにはなれたのだが、性格的にはチャランポランだ。
チャランポランなヤツは、チャランポランなヤツと波長が良く合う。
そのレベルで満足をすればいいのである。
もともと、武人であるアルフォンスは、兵士や武人に求める基準が高い。
ゴブリンでは、そんな高い基準を超えられるワケがないのかもしれない。
アルフォンスがそれ程、指導に力を入れなくても、ゴブリンの方がバテて、バタバタと倒れてしまうかもしれない。
ゴブリンでは、技術とレベルでも、最低の基準値までも届かないからだ。
辺境地の先発隊からは、特に引き継ぎを聞いてはいない。
百戦錬磨の猛者達でもある。
自分のミスは、自分でケツを拭くことができる優秀なパーティーばかりだ。
このパーティーの基本理念は、『自分のケツは自分で拭け』だからでもある。
「ぶっちゃけ、アイーシャの件だけ片付いていれば、なんとかなる」
王族などが絡む問題は、やっかいなので、力技で解決することは得策とは言えない。
他の問題は、権威であったり、お金であったり、対応の仕方でなんとかなる。
あまりにも酷いクレーマーが相手ならば、半分に切り捨ててしまい、強引に解決することも可能なのだ。
それをする力も権威も金も備わっている。
実際に、そんなことをするかはわからないが・・。
【テレポート】を使い、オストマルク王国の王都へ着いた。
「お待たせした。やっと拠点としている村へ行くことができるな」
「はい。王都での問題は、解決しています。」
ランスロットは、即答した。
「アイーシャからも手紙が届いたきりですよ。ふっふっふ」
ランドルフは、告げ口をしながら、不敵に笑っている。
ランスロットとランドルフからの報告では、ほとんどの問題が解決されていた。
「で。アイーシャは、もう来ていないんだな」
「はい。もう顔を合わせておりません」
「手紙は、何と書いてあった?」
「もうしわけありません。まだ手紙の封を開けておりません」
「そうか。それなら仕方がない」
アイーシャは姿を見せなくなり、ランスロットに手紙だけが届いていたようである。
ランスロットは、実際に、その手紙の封を開けずに取っておいている。
予定より早く、全員がそろうことになり、宿舎の解約だけが問題だったようだ。
「では、拠点の村へ行く準備をしてくれ」
一件落着となり、ランスロットとランドルフを新しい村の連れて行くことにする。
「ランドルフ。お前には、ゴブリン隊の隊長になってもらう。村を襲ったゴブリンを捕まえて奴隷にた。68名いる。知能が低く、言うことを聞かないが、しっかりと面倒をみるように」
「ハイッ。わかりました」
「ゴブリンには、土木作業と警備の仕事をさせてくれ。他にも仕事を振るかもしれないので覚悟をするように」
「ハイッ」
ランドルフには、ゴブリン隊の隊長をさせることを伝えた。
ゴブリンの特徴と、今までの経緯も伝えている。
「少しは、ランドルフも責任感を持つようになるのだろうか・・」
やはり、王都で留守番をしていても、ランスロットと2人で、夜な夜な酒場で飲み歩いていたようだ。
「それは、それで構わない」
今日が、10人が全員、辺境の地に集合して、宴ができる最初の日だ。