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領地経営クエスト  作者: 小説クエスト
20/90

ヴィエラ山脈の麓の村で休憩中

 臨時会議が思っていた以上に長引き、麓の村でも休憩をすることになった。


 会議が長引いた原因は、メグミだった。

 拠点についての話し合いの時に、急に乙女の人格になったのだ。


「拠点についてだけど、私は、山城がいいワ」

「ヴィエラ山脈の見晴らしのいい場所に、ドイツのノイシュバンシュタイン城のような優雅で白いお城がいいノ」

「そして、キラキラした朝日で、目を覚ますの・・。ウフッ」



 ウォーレンが、すかさず突っ込む。


「何故に山城なのですかな?」



「だって、綺麗だし、眺めもいいヨ。もちろん、防御力だって高いでしョ」


 メグミは、夢見る乙女のように、妄想の世界に入っている。

 こうなると説得するのが大変になる。


 冷静な声でウォーレンが答える。


「今のところ、誰かが攻めてくるワケではないので、山城である必要はありませんな。だいたい、徒歩では登れないような所にお城をつくって、誰が来るのですかな」



「理路整然と対応してくれてありがとう!」

 と参謀のウォーレンに対して、心の中で思ってしまった。


 乙女のメグミの人格の時は、ワガママが多いからだ。


 様子を伺っていると、やはり全然納得していない様子だった。



「財政的にも、建築コストが余分にかかるようなモノは厳しい」


 ウォーレンへの援軍で、話を切り出した。


「えー。そんなぁー。どうにかならないィー?」


「ちょっと待ってくれ。ノイシュバンシュタイン城を建てたことによって、領主がどうなったか説明をさせてくれ」


 まだ、プリプリと言っていたので、ノイシュバンシュタイン城を建てたせいで、その国がどうなったかを伝えた。


「確かに、ノイシュバンシュタイン城は、観光の名所となっている」

「しかし、ノイシュバンシュタインなどの城をいっぱい建てたので、国が財政破綻寸前にまで落としたんだ」

「その王様は、蟄居・監禁されて、病気療養中に謎の死を遂げてしまっている」

「そんなことは、まっぴらゴメンだ」



 後に観光名所にはなったが、国の財政を圧迫し、国を財政破綻寸前までの状態にしたのだった。

 その影響もあってか、王様は病気療養中に、謎の死をとげてしまっている。

 単純に、精神異常と蟄居・監禁させられて、暗殺されたのかもしれない。

 それだけは避けたいモノだ。

 誰だって、そんなことで死にたくはない。


 箱物については、つくったはいいが、維持・管理のコストもかかってくる。

 日本の地方自治体でも、余計な箱物をつくって、財政が苦しくなった例は山ほどある。

 分不相応の建物が田舎のあちこちに建築されたが、誰も利用しないなんてことは全国各地で見られるのだ。

 やはり、身の丈にあった、施設にするべきだと考える。

 無駄なモノは、何がどうであっても無駄なのだ。


 ちなみに、このノイシュバンシュタイン城は、シンデレラ城のモデルとなったと言われているお城だ。



「わかったわ。山城については、諦める」


 すると大賢者のメグミの人格になり、ようやくヴィエラ山脈の山城の計画は、白紙となったのだ。



◇◆◇◆◇




 乙女のメグミ、大賢者のメグミ、普通のメグミ、ヤバイメグミ。


 今は、四重人格位になっていると踏んでいる。

 もしかすると、もっと他にもあるのかもしれない。

 メグミ自身の問題なのか、女という生き物の問題なのかもわからない。

 一つ言えることは、これが公私ともに、ウチのナンバー2だからやっかいなのだ。


「あー。疲れた」


 どっと疲れが出てきてしまい、休憩をしている。


「これ。ちょっとヤバイな」


 適度に休憩を挟まなければ、集中力が持たない。


「こんな状態なら、判断ミスをしてしまうかもしれない」


 集中力を欠くと、かえって判断ミスや、失敗をしてしまう確率も上がってしまうのだ。



「フー。なかなかダメージが抜けない」


 どうも、敵の精神魔法の攻撃よりも、色々なダメージを受けているようだ。


「こんな時は、おいしい料理を食べて、精神的なダメージを回復させるのが一番だ」


 だいぶ遅くなったが、村人に昼ごはんをつくってもらっていた。

 しかし、このヴィエラ山脈の麓の町では、どうもおいしい料理の文化が根付いていないようだ。


「おまたせしました。村でのおもてなし料理です」


 ジャガイモを蒸かしただけの料理が、テーブルに出ている。

 このジャガイモには、塩はかかっているが、コショウはかかっていない。

 目玉焼きも、塩での味付けだけだ。


「醤油やソースって、つくれるのかな?」

 そんなことも考えてしまった。


 そもそも、この世界のコショウは、贅沢品となっている。


「いただきます」


 老婆のつくる料理に感謝しながら、現状を把握しているのである。



 理想と現実は、違うのである。

 しっかりと、現実を見た上で、理想の城をつくっていかなければ、砂上の楼閣となってしまう。

 かと言って、ガチガチの現実路線では、面白くもなんともない。

 ワクワク・ドキドキしなければ、それは、まったく意味のないことなのだ。



「何をやっても、それは異世界だからOK」


 そして、もっと豊な村にしなければならないと思うのであった。


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