プロローグ 2
私の名前は、加藤 仁。
皆からは、ジンと呼ばれている。
ちなみに、身長は182㎝である。
今は、35歳になっていて、妻もいる。
妻である加藤 恵、 旧姓 細貝 恵26歳も、日本からこの世界に召喚されており、偉大なる勇者一行のパーティーだ。
身長は、ちょっとだけ高めで、168㎝となっている。
私は、13年前の大学生(22歳)の時に、勇者として、この世界に転移させられた。
転移召喚された先は、オストマルク王国の王都だった。
それは、魔王軍の突然の襲撃により、オストマルク王国と魔人の国との国境となっている海を突破され、町や集落を蹂躙されたので、召喚させられたのであった。
後から調べると、宗教都市国家のテーベと連携して、どうも召喚されたらしいことがわかった。
勇者を異世界から召喚する魔法は、一般的な魔法ではなく、特別な召喚魔法のようである。
術式も複雑であり、いつ解明されるのか、微妙なところでもある。
その後も、色々と調べたが、日本へ帰る方法すら、未だに見つかっていない。
異世界には、本当に謎が多い。
異世界のオストマルク王国にも、ギルドが存在する。
いち冒険者としても、よくお世話になった。
もちろん、今もSクラスの冒険者として、ギルドにも登録している。
普通の冒険者では、Aクラスになることも、並大抵ではできない。
Gクラスからスタートすることになり、通常では、Cクラスになるまで、数年がかりとなっている。
昇級するにも、ギルドの承認が必要となっているからだ。
余程の実力の持ち主か、それだけの実績を残しているか、どちらかが基準となる。
冒険者では、当然のように戦闘系のスキルやレベルが重要となっている。
インチキをしたり、【運】や他者の手助けでは、ギルドからも昇級を拒否されてしまうのだ。
依頼を受けたクエストの失敗が続けば、ランクの降格もある厳しいモノである。
私の場合は、特別なAクラスと言った意味で、さらに上のスペシャル・クラスとなっているのだ。
もちろん、このSクラスの冒険者は、オストマルク王国では他にいない。
そのような意味でも、特別となっている。
【クエスト】とは、一種の任務や支援のことである。
≪QUEST≫ 英語では、追求や探索などと訳される。
簡単な作業から、難しい冒険や討伐まで、様々な種類のクエストがある。
得られる報酬も、経験値や金貨、アイテム、魔法の知識、生産レシピなど、また様々となっている。
第一回の魔王討伐を終えて、冒険者として各地をまわっている時に、今の領地であるヴィエラ山脈の麓の辺境地を通ったことがあった。
村は1つしかなく、国境である壁の外側の領土である。
北側には亜人の国があり、人口は減少して行く一方なのだ。
そして、村と言っても250名しか住んでおらず、広い領土内で探しても350人も住んでいないのである。
北西にあるルドルフ皇国の皇都からは、500㎞離れており、国境からも200㎞離れているので、歩いての交易もままならないのだ。
たぶん、あれからそんなには、変わっていないだろうと思っている。
だが、この領地の近くには、おかしな貴族は住んでいない。
魔人の国は、海の南側となっていて、この領地に侵攻してくるはないだろう。
そこが、一番気楽でいいのかもしれない。
そして、領土を切り取れば、切り取るほど、自分の領地となるようにトリスタン王と契約をしているのだ。
亜人・獣人は、集団で移動して生活している部族も多い。
エルフの里やドワーフの国が特別なのかもしれない。
レベル65の私ならば、このあたりで相手になるモンスターもいないだろう。
ドラゴンなどのように、強くて凶悪なモンスターは、この辺りでは聞いたこともない。
と言っても、普通の人間ならば、レベル40までが限界となっている。
オストマルク王国でも、レベル30を超える人間は、軍人を除けば、そうそういるものではない。
ベテランの冒険者でも、大抵がレベル40以下となっているのである。
なぜなら、それ以上のレベルに上げるには、クラスアップをしなければならないからである。
もちろん、クラスアップの儀式が必要となっており、それ相応のお金もかかるようになっている。
異世界からの召喚者なので、私はクラスアップをせずとも、限界レベルを突破している。
ちなみに職種は、アイコンに大勇者と表示されている。
だから、偉大なる勇者様とあちこちで言われて、迷惑をしているのだ。
どこの世界でも、いかがわしい貴族連中が、私を取り込もうとして、自分の娘を差し出そうとするのだ。
または、敵対視されている貴族連中から、食事に毒を入れられたりもするのだが、勇者に備わっている【鑑定スキル】によって命を救われたこともある。
王都にいた時は、色んな意味で、警戒が必要だったのである。