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領地経営クエスト  作者: 小説クエスト
13/90

ランスロットの気持ち

「アイーシャと結婚するのは、そんなにイヤか?」


 直球勝負で、ランスロットに聞いてみた。


 少し考え込んで、ランスロットは話をしはじめた。


「えーと、アイーシャのことが嫌いではないんです」


 まんざら嫌いなワケではなさそうだ。


「もう少し詳しく教えてくれないか?」


 ちょっと軽めのジャブを打ってみた。


「特別好きといった感情が湧きません」



 これは困った。

 どちらかと言えば、好きなのかもしれないが、このままでは決定打に欠ける。

 かと言って、強引に進めるには、怪しげな状況となっている。

 この場合は、外堀りから埋めてみよう。


「他に好きな人がいるのか?」


 ちょっと言葉をつまらせながら、

「エッ・・」

 という言葉がランスロットから出てしまった。

 もしかすると、痛いところをついたのかもしれない。


 沈黙の後、

「・・そういった人はいません」

 とランスロットは答えた。



 ウソをついているのか、本人が気付いていないのか、何かギコチナイような気がした。

 この部分を強引に聞き出すことも重要かもしれないが、様子見も必要となる。

 今、突っ込んで聞いてみるのが、得策なのかどうか考えてみる。

 一瞬のうちに頭をフル回転させて色々と考えるが、いい案も出てこない。


 では、変化球で勝負をしてみよう。


「何か問題があるのか?」


 こうなれば、本心を確認しておかなければならないと思った。

 問題解決をする為には、色々な可能性についても研究しなければならない。



「実は・・、辺境の地へ行くことが決まっているのに、そんな危険な所へカヨワイ女性を連れて行くワケにはいきません」



 シールダーだけあって、守り重視の思考なのかもしれない。

 もともと、【鉄壁】の防御を誇る我が隊のエースでもある。

 慎重に慎重にと考えて、あたりさわりのない言動と発言をしているのかもしれない。

 また、他に好きな人がいる可能性だってある。

 相手の真意が読めないので、どこまで入り込むべきか悩むところではある。


 では、もう一歩踏み込んでみよう。


「じゃぁ、婚約しておくなんて方法もあるけど・・。もちろん、先延ばしも自由にできる・・」



 ランスロットはこう答えた。

「ありがとうございます。そういった方法もあるのですね・・」

「ただ、今では無いと思うんです」



「そうか、わかった」



 そう言って、その場から離れることにした。

 もちろん、力技ちからわざで白状をさせることも可能である。

 しかし、それをすると、後で後悔をすることも多くなる。

 世の中では、すべてのことを全部知っておかなければならないなんてことはない。


 状況からすると、このまま強引にもっていっても、良い結果にはならないように思えた。

 そして、あまり強く聞くと、ケンカになる恐れもあると踏んだのだ。

 こんなことで、大切な仲間を失うことほど、戦力ダウンになることはない。

 冷静になって、じっくりと考えることも大切なのだ。


 何が重要なのか考えずに、その時の気分のまま特攻して行くと、撃沈されてしまうことになるからだ。



 ランスロットの気持ちを確かめるつもりで、呼び出したのだが、自分から逃げるように建物から出て行くことになってしまった。




 会話の内容から判断すると、ヴィエラ山脈の辺境地へ行くことを希望しているのはわかった。

 それだけわかれば、もう充分なのかもしれない。


 ただ、アイーシャとは、今は婚約すらするつもりがないようだ。

 このあたりは、嫌な予感が的中してしまった。

 状況的に、これ以上悪化させることはなかったが、釈然としない。


「あーあ。問題解決できなかったな」


「パーティー内に、気になる女性がいるのか?」


「それとも、亜人の女性を囲って、ハーレムでもつくろうとしているのか?」


 と変なことを考えてしまったが、本人がしゃべるつもりがないのなら仕方がない。

 そういえば、以前の自分自身も、結婚をしたがらなかったような気もしている。

 そんな可能性だってあるのである。


 ランスロットについては、「付き合っている彼女がいる」と言った噂もない。

 ランドルフからも、そのような情報が来ていないからだ。


「ランドルフが、そんなこと知ってしまったら、いの一番に報告に来るしな・・」


「別の作戦で行くしか、今のところ方法がなくなってしまった」


 パーティー内の恋愛感情ほど、やっかいなモノはないのだ。

 過去に、色々な冒険者パーティーが、恋愛によって破壊されているのを見てきた。

 パーティーで三角関係となると、目も当てられなくなる。

 さらに、横恋慕に、裏切り、寝取られなどがあれば・・。



 トリスタン王とラウニー王妃については、特例なのかもしれない。

 お互いに兵士や冒険者になる前から、好きあっていた。

 ラウニーは一応貴族の家柄ではあったが、皇太子と付き合う程の高貴な家柄ではなかった。

 その為、許嫁のような間柄とはなっていないのである。

 そして、兵士や冒険者になって、付き合うことになった。

 そのまま、お互いに好き同士となって、結婚をして、子供までつくっているからである。



 次は、ラウニー王妃とメグミの出番になってしまうだろう。


 本当にやっかいな問題だ。

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