プロローグ
偉大なる勇者であるジンは、魔王の討伐をして、領地を持つことになった。
王都を奪還したオストマルク王国は、魔王軍との戦いで荒廃しており、復興事業で手が足りないようだ。
貴族や商業都市国家、宗教都市国家の暗躍もあり、オストマルク王であるトリスタンに恩賞として辺境の土地を希望したのだ。
この世界は、人間の国、亜人の国、魔人の国がある。
魔王軍を退けることはできたが、魔人の国には大魔王が存在する。
魔人の国も大きく、それぞれの地域などに魔王が存在するのだ。
人間の国でも、西の帝国であるガリア帝国、ルドルフ皇国、ゼルトブルク商業都市国家、テーベ宗教都市国家、自由都市や貿易都市、そして中央の帝国であるハートランド、東方の国などがある。
1度目に魔王を倒して冒険者となった際、色々な人間の国をまわったが、東方の国などの国をまわることができてはいない。
人間の国でも、このような状況だ。
亜人・獣人の国では、ドワーフの国やエルフの里には行ったことがある。
でも、亜人・獣人の国も広くギルドのクエストをしながらでは、とても周りきることができなかった。
自由都市にいた魔人や魔王軍の捕虜から、魔人の国についての情報が入っているが、今の戦力では正面から勝つのは難しいだろう。
なぜなら、オストマルク王国の2回目の魔王討伐でも、王都奪還まで7年の歳月が過ぎたからである。
そして、ドラゴンや竜騎士や魔獣士を揃えており、数百万の軍勢を持つ中央帝国のハートランドであっても、大魔王の軍から領土を守るので精一杯なのだ。
オストマルク王国、ルドルフ皇国、ガリア帝国の近接する3つの国は、絶妙なバランスで国力が保たれている。
それは、商業都市国家のゼルトブルクと宗教都市国家のテーベからの操作があるからだ。
トリスタンは、もともとオストマルクの王になる予定ではなかった。
それは、トリスタンの上に兄が2人いて、トリスタンとは前線の指揮官として、一緒に戦っていたからだ。
でも、魔王討伐が終わり、暫定王であるトリスタンの兄が、正式な即位をする前に暗殺されたのだ。
そして、もう一人の兄も毒殺されてしまい、トリスタンが王に即位することになった経緯がある。
暗殺と毒殺には、オストマルクの貴族がかかわっていたのだが、裏には商業都市国家のゼルトブルクと宗 教都市国家のテーベの影が見えていたのだ。
オストマルク王国の王都の闇も深い。
だから、いったん王都を離れ、王都から北に約1,000㎞離れた、ヴィエラ山脈の麓にある辺境地の領地に移ることにしたのだ。