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起承転結のはじまり
可愛いものには裏がある
会社のエレベーターの中で、
知らない可愛い子がおっさんに胸を鷲掴みにされていた。
ブラウスを捲り上げられて、ブラの上から胸を揉まれているその子は、the女の子だ。
目が点になっても、俺はきっちりブラの色形素材を見ていた。
ピンクに梯子編みのリボンと綿の白レース。
サイズはDくらい。谷間は多分作ってる。
顔を真っ赤にしていた彼女の名前を知るより先に、気づいたら俺は
「君の姉さんから聞いたよ?危ない目によく遭うんだって」
口を開いたらすらすらとまことしやかに
なめらかに作り話が出た。
絶句しているオッサンのバーコード頭に唾を吹っ掛けてやりたい気持ちを隠さずに、俺はそのこの手を取った。
「俺の婚約者の妹だよ、分かったらさっさとその汚ねえ手離せ」
凄んだ瞬間に、高速でオッサンは手を退かした。
痴漢の顔ってみんなこんな気持ち悪いんだろうか、なんて思いながら
エレベーターの閉ボタンを押す。
女の子を連れ出したと同時に、オッサンの顔は視界から静かに消えた。