第97話:手間がかからない身体をいつの間にかゲットしてたよ
王都に入ったときには、既に日が沈んで月が見えてた。
カスケールさん達に食事を配っていたら、凄く時間がかかって疲れちゃったよ。
早く宿を探さないといけないな~。
「クックック。どこも満室ですね」
「この時期は王都で何かあるの?」
大小いろいろな宿屋さんが王都には10軒以上あるはずだけど、全て満室の札が掛けられていたよ。
これは私に対する嫌がらせかもしれないね!
「そういえば、近々領主会議の期間でしたわね」
「会議?」
「そうですわお姉様。フェルド王国中の領主達が一堂に集まり、それぞれの領地の方針や成果を報告して、意見を言い合うのです」
「へ~」
「このフェルドは中央集権ではなく、地方分権ですわ。国としての基本的な法はありますけれど、領地の運営に関してはそれぞれの領主に任されています。ですが、それぞれの領地のバランスを取るために、1年に1度の領主会議をして、命令ではないですが、王がその内容にお言葉を述べるのです」
「へ~……」
中央集権って何? 地方分権? 意味が分かんない言葉だらけだよ。
とにかく、その領主さん達が宿屋さんを貸しきってるから、満室なんだって。
魔物が出る道のりを通って王都まで来るんだから、護衛の兵士さん達とか人数が多いし、仕方ないのかな。
ていうか、カスケールさんも領主さんだよね? ここに来る領主さん達はあのテント郡を見てどう思ったんだろ?
きっと避けて通ったんだろな~。関わり合いになりたくないし……。
そんなことはどうでもいいかな。今は寝るところをどうするかだよね?
て、そんなの決まってるよ。
「ジスケルさ~ん!」
そして、城内の豪華な貴賓室をゲット!
他国の王様とか、特使さんや外交官さんとかが会合に来たときに宿泊するための部屋で、ギュレールにある私の家の玄関ホール並みの広さがある。
重厚な扉を開けると、床には高級そうな赤い絨毯が敷かれていて、立派な彫刻がされてるテーブルと椅子が中央にド~ンと置かれていたよ。
でも、1番に目を引いたのは、そのテーブルの側に鎮座している天蓋つきのベッド!
こんなベッドなんて、漫画の中でしか見たこと無いよ!
「この部屋は身分の高い貴族しか使用できません。ですので、お供の方々は別室をご用意させていただきます」
感動していたところに、案内してくれた執事っぽい人の言葉が飛び出してきたよ。
身分差社会の厳しいところだね……。
「クックック。ほほ~……私がサクヤ様と一緒のベッドで寝れないと?」
……。
「って、最初からクックさんと一緒に寝るつもり無いからね!!」
普通にサラッと何気ない顔で言ったから、みんな理解するのに微妙な間が空いちゃったよ!
「クックック。まあ、それは冗談ですが……部屋はいらないですよ。中庭にテントを張らせていただきます」
冗談に聞こえなかったんだけど。それよりも、どうしてテント?
「クックック。モフモフさんはどのみち城内の狭い通路は通れないですし、サクヤ様に何かあったときは、外からのほうが動きやすいですからね。外から窓を破って突入できますし」
へ~。いろいろ考えて行動してくれてるんだね。でも、窓を壊しちゃったときはもちろん弁償だよね?
考えるのは止めよう。どうせ言っても無駄だし。
クックさん達と別れた後、部屋の中を物色……違った! 探検!
広い部屋だから、いろいろな物が置いてあるね。
ほとんどが高そうな装飾品とかだけど、食器棚まであったよ。
この世界のガラスは高級品らしくて、ほとんどの家の窓は木の板の窓だけど、この食器棚は前面にガラスが使われてる。
さすが王様が暮らす城だね。
その食器棚の中には、ガラスで出来たグラスがいっぱい並んでる。
1つ持ってみようかな。
下の段はピカピカの高そうなお皿。グラスは更にその上。
届かない……。背伸びして、やっとグラスの底に手が届いて、指で引き寄せて……。
グラ……ひゅ~ん、ガシャッパリン!
うわ~! うわ~!
焦って伸ばしてた腕を下ろしたら、更に下の皿に肘が当って。
パリン! ガシャパリン!
うわ~! うわ~! やっちゃった!
「えっと……」
これだけ数があるんだから、普段から数えてないよね? 割っちゃった物は絨毯の下に隠したらバレない?
……誰かがその上を歩いたらバレちゃうよね?
奥の手を使うしかないよね!
まずは、棚にあるグラスをじっと見て、頭の中にそれをイメージして……。破片に向かってぇぇぇ!
「クリエイト!」
グラスと皿の欠片が光輝いて! ……て、あれ? あ! グラスと皿の欠片を分けておくの忘れてたよ!
そして結果は……。
ガラスと陶器が合体して、ガラスと陶器が交互に並んで綺麗な模様をした、一回り大きいグラスの形をした何かが出来上がったよ。
グラスとしての実用性なし! 片手で持てないくらい重いし、大きすぎる。
テーブルの真ん中に置いておこうかな。
花瓶としてだったら違和感ないかも。
そんなことしてたら、ドアがノックされて3人の女性が入ってきた。
そしてテーブルの上のグラスのような物をジ~と見つめてくる。
最初からここにあったよ? と笑顔でアピール。
「何か用ですか?」
「あ、はい。ご入浴の準備が出来ましたので、お迎えに上がりました」
よし! 誤魔化せた!
それよりもお風呂だね! 旅をしてると、基本は濡れたタオルで身体を拭くぐらいしか出来なかったから、綺麗に洗って清潔をゲットしちゃおう!
お風呂から帰ってきて、ベッドの中に潜りこむ。
お風呂は驚きがいっぱいだった。
3人のメイドさんにパッと服を脱がされて、身体を洗われて、お湯の中で100数えさせられて、身体を拭かれて、あうあうって思ってるうちにネグリジェに着替えが終わってた。
身分の高い人は、1人でゆっくりとお風呂も入れないらしいよ……。
そういえば、お風呂で1つ気になることがあったな……。
「サクヤ様、髪と爪のお手入れはどうされますか?」
「え? 髪も爪も全然伸びてないよ?」
「あら。旅の途中でもこまめにお手入れされてるのですね」
なんて、やり取りがあったんだけど、この世界に転生してから、1度も髪と爪を切ったことなんてないよ。
それってつまり……あれだよね。
髪の毛も爪も切らなくていいから凄く手間が減って超便利!
髪の毛と爪は伸びなくていいから、その分背が伸びてほしいな!
明けましておめでとうございます^^
遅くなっちゃったけど新年初投稿です^^
これからも不定期投稿ですけどよろしくお願いします^^




